第270回四天句会
平成24年2月21日

   
  兼題 柊 セーター 初午
  席題 うらら(か)

 席題は、利孟の初孫「麗」誕生にちなんでの出題、 宗匠権限にて祝いの孫俳句を知らずに作って頂いたという趣向です
 点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります、ご興味のおありの方はお探しください



  利孟
余寒なほ将軍墓所の鉄扉
襟巻の狐硝子の目が睨む
助六の足袋の黄身色午祭
アーガイルセータータグの編み子の名
うららかや橋に小店のつくだ煮屋
柊を挿すや脇戸の竹格子

  あやの
湯気上る方へ人波午祭
セーターの胸にイニシャル兄妹
柊の挿され灯しのなき古屋
夕映えや薔薇の芽紅きビーズほど
ジーンズの牧師の説話うららけし

  武甲
柊挿すホスピスといふ終の家
赤セーター学生服を重ね着て
初午や旗飴を舐めめぐる店
麗らかや飾り手彫りの鳩時計
臘梅やロープウエイを一人占め

  恵一
セーターをかぶりて首の四苦八苦
寒稽古父の一差し目をこらし
盛り塩をして柊を挿しにけり
うららかや胸あちこちと聴診器
初午や給食に出てしもつかれ

  比呂志
セーターの模様一と目の抜けてをり
初午やにわか仕込みの巫女群れて
大欠伸しつつ炬燵を出でにけり
麗らかやゆつたりと繰る大百科
柊を避けつつ秘密の路地抜ける

  義春
海鼠腸を含めば知多の浪の音
大きめの手編みのセーター火を守る
初午や陶の白狐によだれ掛け
麗らか屋磯の少女の白き足
柊を挿して一声鬼は外

  雨竜
初午や赤子の二本足の蹴り
赤セーター着て還暦の同窓会
青空や花柊のこぼれ散る
残雪の山に回向の行基像
うららかや日向を借りる家の影