第283回点盛り

利孟
笏扇無き手の遊ぶ雛納む 雨比武○恵◎
啓蟄や松飛び飛びに御成道
春光や手網のあくたを掻き分けて
菜の花や椀に泡立つ山羊の乳
まさか、乳をホイップして泡立たせたと読まれるとは作者も思い及ばず
出陣といふ身拵へ涅槃吹き
あやの
啓蟄や足場解かれし新校舎 利恵義◎武◎比◎
なにか、焦点が新校舎より足場にあるのがめでたくない、出てきたの狙いがありあり
春光や吊られて売られ子供下駄 利◎比○
菜の花の土手を抜け行く総武線
総武線てそういう路線じゃないですね、宗匠が沿線にいるんですからもう少し気遣いが必要です
排気音高きバイクや地虫出づ
暴走族が蠢いてるって句かもしれないが、そうやると川柳てきになっちゃってどんなもんですか
隣家より朗読の声ヒヤシンス
春で窓を開けてるから聞こえるというのかもしれないが、なにもないでしょう
武甲
春光の中へ納射の矢を放つ 利○雨◎恵○
弓道部の卒業儀式とは思い及ばなかった、もう少し神事などの厳かさがあるように読んだが結構軽めでした
小さき手で添へる樟脳雛納め 利○義恵
「で」だと誰の手かは分かりづらいが、「の」なら子供の手でしょう
菜の花を背に実況の中継車 利義
菜の花をテレビで流してますってだけじゃね
長唄に頬染め舞ふ子春祭 利○
長唄にさほどの意味は無いのでは、秩父の春の祭り風景のようです
啓蟄や飛翔を前の身づくろひ
なんとなく、芋虫がごにょごにょみたいな季語で、羽化に結び付くかな?
比呂史
春光や三洲瓦の燻し銀 利義○武
国道の先は埋もれて花菜畑 利○
菜の花畑の中を地平線までみたいな絵でしょうね
ふんわりと顔を包みて雛納め 利武
啓蟄や腕振り歩く老夫婦
最近多いよね、女性は元気で
テーブルを囲む紺色新社員
新入社員歓迎会らしい
義春
菜の花の黄色のうねりわだの原 利比雨○
天空に渦巻く煙霧春の色 利比武
煙霧てのはあんまり渦巻くって感じじゃないでしょう、春の色にはならんでしょうね
啓蟄や瀬の音満ちる伊豆の里
これも場所ほどのインパクトは無いね
紅梅の蕾ほのかに匂うかな
まあ、花のつぼみならなんでも言えるかも・・匂うかどうかはさほど問題ではない
母親の嫌われるとき雛納め
いささかの真実はあるものの、直截に言い過ぎて面白くもないし、雛納めの情緒が感じられない
雨竜
雛納めいつしか妻の独り言 利○
これも独り言ですね
春光の弥増す赤帽如来像
如来といえばお釈迦様、それが赤帽になって荷物を運んでるんじゃおかしいやね、言葉の扱いが粗雑です
菜の花や鎌倉街道上りおり
春の雲烏の声の短かりき
どうでも季語は付きますが
啓蟄やのたりのたりの青蜥蜴
のたりのたりはもう春の海で確立しているから使えないでしょうね
恵一
雛納め目隠しすれど世は巡り 利○
菜の花や黄のきらめきて神田川
春光や多くなりたる独り言
俳句てのはつぶやきだから、こんなもんではありますが、ありがちです
菊炭の花芯に燠の残りけり
啓蟄のデパート売場スーツ買ふ
なにか、特別の感慨が共有されるような売場なんだろうか?