第313回四天句会
平成27年9月15日

   
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兼題 鯊釣 無花果 秋の夜
席題 去来忌



  利孟
江戸前の海の濁りや鯊日和
点で描く唐子の目鼻秋の夜
無花果を喰ふや疣取る話など
打ち掛けの寺より続け秋遍路
雨宿りして待つバスや去来の忌

  あやの
鯊日和鉄橋を行く東西線
月餅に詰まる木の実や秋の夜
虎造の森の石松涼新た
無花果や好きか嫌ひも真二つに
濡れそぼつ実と葉と屋根や去来の忌

  義春
貸本に折り皺一つ秋の夜
虫籠に乾びて昆虫ゼリーかな
去来忌や崩れし墓に嵯峨の風
鯊釣やしばし入れ喰ひ芝の沖
無花果を剥く新妻の白き指

  恵一
秋出水家を傾け押し流す
不可思議な顔した鯊の頭を落とす
去来忌や納屋に古びし刀掛け
無花果に添へ生ハムの海の味
腿あげてトレッドミルに足任せ

  比呂志
秋めくや書棚の古書を手に取りて
秋の夜ワインの赤を透かし見て
去来忌や嵯峨野巡りのバス続き
大の字に寝て置き竿で鯊を釣る
無花果のあしらひ程度に皿の縁

  武甲
秋の夜の丸みを帯びる街灯り
無花果に砂糖たつぷりコンポート
ギター提げ訪ふホーム敬老日
上々のはぜ釣り終り屋形船

  雨竜
母からの短い手紙秋の夜
無花果のひしやげて店に売れ残る
落ち柿の鳥の食み痕去来の忌
三陸の願ひを込めて鯊を喰ふ
虫籠に鳴いては和してカルテット