317回点盛り
利孟
盗み酒くづれ数の子含みては 比義◎
日溜まりに伸びする猫や寒牡丹 義恵
普請場の槌音一つ深雪晴れ
期限切れ弁当回収して初荷
天狼の眼の炎や久女の忌
恵一
天狼の川面照らすや上高地 利あ義○
独楽打つや額に湿布を貼れる子も 利あ◎
敷藁に落つる一片寒牡丹 利比○
薬玉の割れて初荷の車発つ 利○
数の子を噛めばいのちの犇めける
あやの
牙を剥くものは地上に天狼星 利◎恵◎
数の子の明るき音を味はへり 利恵○
上下線過ぐる踏切日脚伸ぶ
ほそき首風に耐ふるや寒牡丹
トラックも御神酒撒かれて初荷式
雨竜
天狼や朝まだ暗き鳥の声 利○比◎
築地から店まで風切る初荷かな 利義
寒牡丹小学生の帰り道
数の子の粒ひとつぶの夢つかむ
ゆっくりと一段ごとの初氷
武甲
天狼やジンギスカンの一代記 利あ○
連獅子の阿吽の間合ひ寒牡丹 利○
初荷旗立てて納める新車かな 利○
純白に染まる植え込み寒の朝
数の子や匠の仕込む音を食む
義春
寒牡丹膝折り覗く菰の下 利恵○
競り落とし大間一本初荷かな 利○恵
数の子や江差の先輩旅館閉め
年賀状束の厚みや半世紀
天狼や一人少年屋根の上
比呂志
天狼や身震ひをして雨戸締め 利あ
法外な競り値のまぐろ初荷かな
ゆつたりと頭を擡げ寒牡丹
数の子の旨味残して塩を抜く