第324回四天句会
平成28年8月10日

   
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兼題 鈴虫 茄子 晩夏
席題 蝉時雨


  利孟
青の染む糠を流して刻む茄子
伯国と真逆の昼夜月鈴子
蝉時雨行者は水に打たれ詰め
瘋癲の寅がじやあなとゆく晩夏
ランチして後の行列かき氷

  義春
砂浜に埋まる空き瓶晩夏かな
蝉時雨天城街道ゆく一人
大粒を選びて試食梅を干す
たをやかに曲る茄子や籠の中
鈴虫の澄みし音色や嵐山

  武甲
精霊の荷を引く茄子の馬二頭
蝉時雨トトロの森の風止みて
夏祭りDJポリス奮闘中
晩夏光向きをそろへて遊漁船
鈴虫に合はせる芸の音色かな

  比呂志
晩夏かなあばれる枝を整へて
喧騒と競ひておこり蝉時雨
真つ黒に焼き焼き茄子の白さかな
片陰を拾ひ歩きにゆけるかな
鈴虫の声の迎へる旅館かな

  あやの
揚げ茄子の紫紺九谷の皿にかな
薬局の象の溶け出す日の盛り
鈴虫や駅のベンチの坐り艶
蝉しぐれ引越たてかへ著き路地
トラックに揺るる空瓶晩夏光

  雨竜
高尾山蟻と競ひて登りけり
蝉時雨百八段の石の磴
鈴を振り頂く報謝晩夏かな
鈴虫の集ける闇や通夜帰り
俎板にころんと二つ丸茄子

  翠江
焼き茄子や嫁の分までいただいて
リオまでも届け応援蝉時雨
尺玉の音に地の揺る晩夏かな
打ち水のたちまち消えて散る暑さ
鈴虫の音色に惹かれて夕涼み