第351回四天句会
平成30年11月・・日

   
兼題 時雨 芭蕉忌 初霜
席題 落花生



  利孟
初霜や背に広告の木のベンチ
芭蕉の忌採血チューブに血が通ひ
初時雨人足寄せ場をビルが埋め
ワンコイン傘に二人が小夜時雨
柔肌に汗の塩味落花生

  恵一
初しぐれ山よりもどる牛の列
猿啼きて昇る朝日やはせをの忌
纜を解きて投げて冬の雲
初霜のおけるセスナの翼かな
落花生の殻を割り詰め音たてて

  あやの
二本立てのギャング映画や初時雨
落花生割る音夜の新幹線
蕎麦の香の匂ふホームや翁の忌
初霜やポトフの煮える鋳物鍋
直会の隅に銀杏剥く和かな

  比呂四
落花生の株を打ち付け払ふ土
湯豆腐の浮き沈みして火に踊る
初時雨肩寄せ一つ傘に入る
芭蕉忌や清澄公園カフェの街
初霜にワイパー滑る音ばかり

  義春
初時雨薄墨色の甲斐の山
義仲寺に溢るゝ訛翁の忌
初霜の白き農道轍跡
落花生すべて千葉産道の駅
棒銜へ稲田駆け来る子犬かな

  雨竜
秋深し焼き麩に注ぐ湯の香り
芭蕉忌や鉄道一筆書きの旅
初時雨車窓に流れ日本海
初霜や鴉の声の遠ざかる
落花生のからからからと下駄の音