第361回四天句会
令和元年9月13日
   
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兼題 栗 台風 爽やか
席題 月



  利孟
古塔婆焚けばしきりて蝉時雨
雨漏りの染みに溜息台風下
月の出や自転車前後に二人の子
朝粥の膳に柴漬爽やかに
揺れ登るジープの潰し栗の毬

  武甲
颯爽と駆け行く車夫や秋の風
出ては入り浸かる湯船や月見酒
爽やかにタブルダイヤモンド富士
毬を剥ぐ手慣れた手付き下校の子
停電の電話殺到台風来

  比呂志
巣に獲物引きずり行ける蟻の列
爽やかにシヤンパンの泡煌いて
名月やバカラのグラス傾けて
台風の目の中に飛ぶ臨時便
端と端結ぶ前掛け栗拾ひ

  あやの
台風過落ち葉まみれの滑り台
爽やかや行き摩りの子に見上げられ
また一つ更地の増えて虫時雨
出窓開け中秋節の酒を酌む
剥き加減まかせに変はり栗メニュウ

  義春
爽やかや帽子吹かれて子牛の背
鈴虫やテンカウントの鐘の音
台風来夜半の冷たいボンカレー
終電のわが家へ急ぐ月下かな
林道の毬栗潰しゆく四駆

  虚承
実無し栗毬の役目も虚しけり
さやけしや補欠球児は声枯らし
孫の手を握り返して稲光り
酌を取る妻と互ひに今日の月
八卦の巽当たりて二百十日かな

  雨竜
蝉の声七日目の空を埋め尽くす
拾ひ物届ける子ども爽やかに
傘を指す間もなく濡れて台風来
まんまるの栗を見つめる子猫かな
カメラマンレンズを絞る月夜かな