第363回四天句会
令和元年11月8日
   
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兼題 秋惜しむ 石榴 新酒
席題 恵比須講

  利孟
餡の色うつすら透けて亥の子餅
蔵出しの裸の瓶の新走り
灯を映す小棚のグラス秋惜しむ
着弾を監視の小山石榴の実
大黒の塵も払はれゑびす講

  比呂志
秋の蚊の毛に阻まれて刺しきれず
石榴割れ赤き地獄の門開く
留守番の駄賃頂きゑびす講
酒瓶の斜めのラベル新走り
穴一つ増えしベルトや秋行けり

  義春
なみなみの枡に口寄せ新酒かな
裏路地に落ちて石榴の不発弾
紅葉狩無人のリフト下り来る
町内が我が店に寄りゑびす講
木犀の儒家を埋めて金の粒

  あやの
漆喰に揺るる灯新酒酌む
麹の香ニッキの匂ひ恵比須講
病窓に広ごる畑秋行けり
祖母の味たぐり寄せては菊膾
四五粒のざくろに倦きて遊びけり

  雨竜
竹林の小径の風や秋惜しむ
白雲の沸き立つ沢の新酒かな
まなかひに遠きふるさと石榴食む
夷講野菜供へる福娘
秋の雨31度の斜度の坂

  武甲
終章のどんでん返し秋惜しむ
試し飲み新酒で〆る蔵めぐり
学芸員募る小見出し文化の日
甘党の柘榴シロップソーダ割


  虚承
銀杏散る予備校模試のランクB
酒蔵の深き暖簾や新酒の香
石榴似のお尻探偵謎を解く
お通しと取り敢へず燗秋惜しむ