368回点盛り
利孟 角失せし頭すり寄せねだる餌 虚あ☆ ネクタイの曲り直され新社員 義○比 行く春や薄くれなひの菓子の色 比○あ 雨音の静かな夜明け人麻呂忌 あ 花といふほど無き花の青楓 あやの コック人形立つ洋食屋暮遅し 利義☆雨 遺されし歌書に傍線人麻呂忌 利☆義比 よそゆきの出番来らず春行けり 利〇虚 外出禁止令ね、今年だけの話しとして終わってほしいもの 裏山の花樹爛漫に落し角 利義 花樹?、花じゃ無ければ季語にならないと?、まあ季重なりでもこちらが自然でしょう 厳かに電話を取りて新社員 利 オゴソカニってどんなかな?、おもしろいけど 比呂志 行く春やソプラノ歌手の抜ける声 利虚☆ 謎多き新型コロナ人麻呂忌 虚〇あ〇 戦いの勝ちを誇りて落し角 利☆ 食堂に名札の一団新社員 利 麗かや思考の中に眠り落ち 義春 行く春や誕生仏の台座跡 利〇雨☆ 初鰹今朝ご祝儀の競りの声 利〇 角落ちてなよなよ歩む群のあと 利あ 去勢したわけじゃ無いけど、お釜チックがおかしいね 新社員スーツはアオキツーパンツ 虚 これはさすがにパス 万葉の都にひとり人麻呂忌 利 虚承 七三にいちご白書や新社員 利雨〇 いちご白書を若気の至りとして髪も七三にということか?、多分今の時代には分からない 落とし角裃脱ぎて定年と 利〇雨 いや、これはほっとしたことでしょうな セクハラもパワハラもなく四月馬鹿 比☆ 行く春や見送る妹がはにかみて 義 人麻呂忌月を愛づりて銀山に 雨竜 新社員緩むネクタイ絞め直す 利〇 落とし角雲ひとつ無き青い空 利比 そんなに角は邪魔だったのかね?、面白い 亡き母の言葉育む穀雨かな 利 言葉育むってのは、亡き母だからどうかな? 行く春やぐずる子供の母の声 ありのまま朝日を愛でむ人丸忌 あやの ☆ 角失せし頭すり寄せねだる餌 雄々しく威容を誇っていた鹿も、被り物を脱いだ軍人や聖職者のようで、素朴な姿に焦点が絞られていますね。 〇 謎多き新型コロナ人麻呂忌 謎多い人麻呂の生涯と怪しい謎も多い新型コロナ菌の、☆と〇の違いの謎の取り合せですね。 ・ 角落ちてなよなよ歩む群のあと 動きや顔つきに変わりがない筈でも、一変した印象を主観でユーモラスに仕立てられていますね。 ・ 行く春や薄くれなひの菓子の色 刻々と色の変わる薄暮の空の色のようなお菓子がありますね。うすべにという干菓子が浮かびました。 ・ 雨音の静かな夜明け人麻呂忌 夜明けの雨は、街の音が静かな最近では尚一層、人麻呂の聞いた雨音に近いのだと思えます。 比呂志 ☆ セクハラもパワハラもなく四月馬鹿 昨今ならではの俳句であろう。やもすると、エイプリルフールでは済まされない時代になって、冗談も通じないつまらない世の中になってしまった。正に四月馬鹿である。 〇 行く春や薄くれなひの菓子の色 干菓子か練り切りか、そろそろ季節のお菓子の変わる頃、好きだった桜の練り切りも来年までお預け。 ・ ネクタイの曲り直され新社員 何とまあ子離れしない母親なのか、息子の身だしなみが気になってしょうがないのであろう。この先が思いやられますね。 ・ 落とし角雲ひとつ無き青い空 角が無くなった雄鹿は何となく弱々しく見えるが、晴れ晴れとした雲一つない青空の対比が対照的で滑稽である。 ・ 遺されし歌書に傍線人麻呂忌 和歌が好きだった父、ふと目に止まった書棚の万葉集を開くと気に入ったところに傍線が引いてあった。故人を懐かしむ光景が見えている。 雨竜 ☆ 行く春や誕生仏の台座跡 誕生したお釈迦様が、育って残った台座と行く春が見事にマッチ、やがて大きな仏となったことを思わせる。 〇 七三にいちご白書や新社員 学生時代の思いがまだ残る新人が頭を七三にわけてきりっとした新入社員のいきいきとした表情が浮かぶ。 ・ 万葉の都にひとり人麻呂忌 春ひとり奈良を訪れ奈良の空気に触れ和歌を口ずさむ。柿本人麻呂の歌を。 ・ コック人形立つ洋食屋暮遅し 歴史ある古い洋食屋、そこに開店当時からある古びれたコック人形の姿と春暮れていく情景がマッチ。 ・ 落とし角裃脱ぎて定年と 定年を迎えて新しい人生を迎える気持ちと角を落としてまたやり直す鹿の気持ちが一致。 虚承 ☆ 行く春やソプラノ歌手の抜ける声 リズミカルな声が透き通って行くようです。楽しくなる句です。 〇 謎多き新型コロナ人麻呂忌 旬 な話題と万葉の謎多き柿本さんとの対が面白いと思いました。 ・ よそゆきの出番来らず春行けり 今年の行事は全てが自粛、準備したよそゆき、寂しいですよね、せめて記念写真を撮りましょう。 ・ 新社員スーツはアオキツーパンツ 数有る洋服屋さんからアオキですか?楽しく共感出来ます。 ・ 角失せし頭すり寄せねだる餌 失せし、なのか?とも思いますけど、有りますよね、こんな風景。 義春 ☆ コック人形立つ洋食屋暮遅し 暮れが遅くなり気付かなかったものが見えた。それがコック人形とは、おもしろい景色で楽しくなりました。 〇 ネクタイの曲がり直され新社員 初出社の息子を母親が送り出すシーンで、母親の気持ちと一寸照れた子どもの顔も見えるようです。 ・ 行く春や見送る妹がはにかみて 初出社か入学か、いつもの兄姉とは違う大人の兄姉を送り出す妹の心理がよく出ていると思いました。 ・ 裏山の花樹爛漫に落し角 華やかさと落とし角の寂しげなものの対比がよく、寂しげがより深まって感じた。 ・ 遺されし謎多き新型コロナ人麻呂忌 いにしえの歌集に傍線の文字をいれたことで偉大なる歌人の活動が生き生きしてきました。