第385回四天句会
令和3年10月13日
Zoom句会
   
兼題 土瓶蒸し 鹿 身に入む
席題 薬掘る

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ご興味のおありの方はお探しください




  利孟  
身に入むやさくと最中の皮くづれ  
罠に脚捉はれ鹿の怒れる瞳  
薬掘る伊吹の山の影遠く  
まづ猪口の蓋に手酌の土瓶蒸し  
秋の空見上げて風見鶏揺れて  

  義春  
黄昏の波立つ阿蘇の芒かな  
薬掘る籠の半ばに足らぬほど  
山の香の猪口に溢れて土瓶蒸し  
身に入むや一人夜更けのウヰスキー  
鹿の声小雨に烟る大社  

  あやの  
参鶏湯とろとろ煮上ぐ夜長かな  
ひさびさの話しゆるらか土瓶蒸し  
人声の絶えた奥山薬掘る  
爪ほどの母の折鶴身に入めり  
夕暮れの国道鹿に見つめられ  

  恵一  
秋燕や平城京跡朱雀門  
アンデスの石の畑分けマカを掘る  
身に沁むや夜をのぼれる観覧車  
香の籠もる松茸小屋の土瓶蒸し  
濡れた鼻近づけ吾を見上げ鹿  

  雨竜  
秋彼岸虚空を睨み仁王像  
鳴く鹿や若草山の老夫婦  
山小屋を閉ぢて身に入む風の音  
腰曲げて斜面に薬掘りにけり  
土瓶蒸し一気に山の匂ひかな  

  虚承  
角界に生きて花道一葉落つ  
身に入むや召され愛犬火葬車に  
鳴き声をあげて潤む目鹿の恋  
薬掘る妻丹精のハーブ園  
香のあまき真薯を作り土瓶蒸し  

  比呂志  
足掛かりしつかと決めて薬掘る  
身に入むや背に冷たき検査台  
十三夜一筆添へて社内便  
土瓶蒸し暖簾くぐれば香のあふれ  
身じろぎもせで疑ひの眼の鹿