第395回四天句会
令和4年8月9日 Zoom句会
利孟
蝉取りの子のまた見つけ鳴かぬ蝉
後朝の夕顔しをれ実をなして
泡を目で追ひて金魚の孤独かな
華やかに飾り新盆棚淋し
タブレットの画面暗転灼けるかな
恵一
熱風に喪服の列の長さかな
青葡萄あをあをと雨降りにけり
ポイいくつ破るや琉金掬ふまで
夕顔や門に母待つ姉妹
落ちさうで落ちぬ雨粒青ぶだう
比呂志
鱧の骨切るや包丁滑らせて
潜り消え泡一つ吐く金魚かな
夕顔の縒りをほぐして開きけり
自動ドア開きて熱風押し寄せる
青葡萄甲斐を囲ひて高き山
あやの
鏡みな金魚を映す理髪店
瑕一つなき粒そろひ青ぶだう
濯ぎもの干しつ聴き分け蝉の声
熱風の過ぎて厩の中の黙
夕顔咲く退社の足は弛まずに
義春
朝顔や深川芸者の抜ける路地
肚の底震はせ尺玉花火哉
富士山の下の甲州青葡萄
熱風の越後の街を舐め尽くす
小突かれて知らぬ素振りのの金魚かな
虚承
青葡萄駱駝を休め小商ひ
熱風が砂を巻き上げ唇に
剛力の歩み緩まず夏の山
餌を競ひ合へる金魚のおちよぼ口
顔あれど仲間はずれの夕顔よ
雨竜
アスファルトの色干乾びて酷暑かな
熱風とバスの排気の臭ひとが
学生の輝く眼青葡萄
夕顔やキャンプサイトへ登る道
翻りまた翻る金魚かな