第400回四天句会
令和5年正月17日 Zoom句会
利孟
側溝の捨て湯の湯気に落とし雪
手唾して掌の思ひ出す藁仕事
初茜屋敷稲荷の水替へて
七種や小川のあとのうねる路地
初場所の闇を震はせ跳ね太鼓
あやの
弥次郎兵衛のやうな平穏初茜
大人ばかりの家の小さな雪だるま
初場所や芸妓艶めく日本髪
七草にほのと色足し海のもの
渋滞の水道道路日脚伸ぶ
恵一
立札の「蒙御免」初相撲
初茜駿河の海に飛ぶ鴎
ロッカーに置くマフラーのとぐろ巻き
雪道の凍る足跡たどりては
七草粥卵を割りて溶き入れて
雨竜
七草粥鬼のナースが破顔して
初茜麻酔の覚めた窓染めて
初場所や幟の揺れる江戸の空
大天狗の小さき御守り初詣
深雪晴れ歩を躍らせて音楽隊
比呂志
七草を歌で諳んじ粥を食む
初茜富士に真向かふハイウェイ
キャンピングカーのガラスに咲いて霜の花
雪道の歩狭めペンギン歩きかな
横綱のをらず満員初相撲
義春
今朝の雪轍の残る木曽街道
福寿草介護ホームの窓にかな
初場所や芸者好みの四つ相撲
七草や古稀過ぐ体に気の満つる
初茜の空へと競ひ熱気球
虚承
見上げれば点描画にも見えて雪
七草や息一つ吐き穿くズボン
テレビ見る父の蘊蓄初相撲
コンビニへ夫婦連れ立ち寝正月
みかん剥く蜜柑二つ割りにして