第408回四天句会
令和5年9月12日 Zoom句会
   
兼題 あかとんぼ 鰯雲 初秋
席題 厄日




  利孟  
夜もすがら家鳴りに目覚め野分来る  
鰯雲噴煙流る草千里  
山からの風に湧き立ち赤とんぼ  
初秋や銀のポットを磨き上げ  
米欧の予報図並べ見せ厄日  

  義春  
見廻りてまた田に向かふ厄日かな  
つるし柿甲斐出陣の赤備へ  
磨崖仏掠め飛び交ひ赤蜻蛉  
初秋やベッドに座り鶴を折る  
鰯雲湖に煌めく安土城  

  あやの  
鰯雲スクールバスに積む楽器  
秋初めフィールドベストの皺伸ばし  
赤とんぼ水満満と調整池  
群衆心理てふ惨劇も震災忌  
米と水野菜買ひ置き厄日かな  

  比呂志  
初秋やボルドー色に爪を塗り  
尾の作る小さき水輪赤とんぼ  
鰯雲普請始まる分譲地  
無花果の尻の割れるをもぎにけり  
訓練の炊き出し料理厄日かな  

  恵一  
厄日かな線状降水帯生まれ  
初秋の胡弓ふるへる町の辻  
捕へられつるみを解かず赤とんぼ  
鰯雲石仏多き野をゆけば  
鶏頭や眠る紅色フラミンゴ  

  虚承  
初秋や母の見舞ひを予約して  
西の空焼けるに溶けて赤とんぼ  
ビル街の狭きキャンパス鰯雲  
ビル風に騒ぐ街路樹残暑かな  
厄日かな国会議員の防災着  

  雨竜  
降る雨の重き厄日や土嚢積む  
石の椅子とまりては立つ赤とんぼ  
秋の海沈む夕陽を独り占め  
初秋や踵の擦れたスニーカー  
鰯雲千鳥ヶ淵の鳥の群れ