第410回四天句会
令和5年11月14日 Zoom句会
   
兼題 胡桃 風除け 鶉



  利孟  
雪虫や馬の背に置く赤ゲット  
熊撃ちの油光りの歩兵銃  
二つ割りされて鶉のよく焼けて  
風除けの重き扉に差す油  
知恵の輪を解くかにほじり胡桃の実  

  あやの  
風除けに埋もるる家並能登の海  
秋深し羊雲浮く心字池  
天板にざざと広げて剥き胡桃  
おが屑をつつきて浴びて鶉かな  
出没のニュース頻りに都会熊  

  恵一  
風除を出て星空を仰ぎけり  
武蔵野や農家の隅の鶉小屋  
ご吉兆の声高らかに鶉鳴く  
硝子越し白熊客を見て泳ぐ  
柔道部胡桃二つを掌に鳴らす  

  義春  
秋高しデニムの米寿ミュージシャン  
風除や夕餉に語る父の無事  
月光の伏見の家並み鶉鳴く  
鈴鳴らし登る妙高山落胡桃  
校庭にうろつく小熊籠城す  

  雨竜  
風除けに風の泣き出す出雲かな  
ご吉兆と鶉鳴かせて出陣す 
熊出づと防災無線の尖り声  
殻割りて剥いて胡桃のほろ苦し  
秋風や涙目つもるバスの中  

  比呂志  
風除の石塀軒の高さほど  
二つ三つ試し割りして胡桃割り  
熊の爪痕の残りし農具小屋  
せつかちに走りては伏す鶉かな  
半割りを仕上げに並べ栗羊羹  

  虚承  
湯豆腐や嵯峨野老舗の長廊下  
鶉鳴く流木掛かる沈下橋  
鬼胡桃手間と味との鬩ぎ合ひ  
風除けや老いた教師の弾くソナタ  
黒熊に登山の杖の細きかな