第423回四天句会
令和6年師走10日 Zoom句会
兼題 年の暮れ、紅葉散る、年の市、漱石忌
フリースの袖に火の焦げ年の暮れ
黄落に包まれ蹴上げジョガーゆく
漱石忌風吹きすさぶ阿蘇五岳
インバウンドに溢るアメ横年の市
注連を綯ふ納屋に取り置き今年藁
あやの
倫敦塔の飛べない鴉漱石忌
冬帽子アランドロンの孤愁かな
年の暮ちびた軽石取り替へて
年の市善男善女も外人も
散紅葉お薬師通りにちんどん屋
虚承
漱石忌身振り手振りの英会話
道祖神拭ひ清めて年の暮れ
注連飾り牛蒡注連もと年の市、
熱燗に摘まみあれこれ夫婦呑み
軽トラの幌に舞ひ積み散紅葉
石蕗咲くや水琴窟の音洩れて
踏ん切りは妻の後押し年の市
年の暮忙しと言ひつ無為に暮れ
紅葉散るなかを黒部の隧道へ
漱石忌潜りて泳ぐ道後の湯
恵一
ペコちやんの首振り人形年の市
散り紅葉色よみがえるねねの像
煤逃げを加へ釣堀込み合ひて
道ならぬ恋の行方や漱石忌
庭師来て池の紅葉を掬ひとり
雨竜
告別式に故人のテープ散り紅葉
年の市売り手買ひ手の声高に
街騒に師走の声のまじりけり
年の暮重ねた歳にまた一つ
漱石忌茶店こころの猫となり