宗匠の一言
卯の花や村の人寄る直売所 村の社交の直売所」をこうしたが、村を寂しいもの何も無いものと見るのは、発想が一方的だとおもうのですがいかが 卯の花やレシピ片手に取る小瓶 レシピ片手に立つ厨であったが、レシピというと、バター、ワイン、スパイス、厨といえば、味噌醤油、糠味噌、おなじ台所ながらちがうもの 狛犬の踏ん張る足に乗る蜥蜴 這うとしているのはちょっとせせこましい こんにやくのうすきお造り夏初め 刺身っていうとある程度の厚さがある、蒟蒻の刺身って普通に言いますけど、それって薄いに決まってるわけで、薄いといっただけではなんか貧相に感じます 白木蓮散りし駅舎の赤き屋根 駅舎の屋根赤くて散りし白木蓮」よりは整理できてるでしょう 筍採りの足裏にあたる地の命 探筍の足裏のさとる大地の命」探筍など、苦し紛れに出来損ないの造語をすることはよろしくない、なぜならば一読句意明快とは、日常的に使われる平易な言葉を詩的に使うという努力のことをいうのです、足の裏にまで悟りがあってもしかたなし、大地で「ち」と読ませるなどは、美女を「おんな」と読ませるごとき、狡猾にして品位に掛ける 初夏の風草原にわたりけり 初夏の風そよぐ草原遠き峰」なぜ、遠き峰の話をしなければいけないのか、草原の向こうに山が聳えているならそれだけを詠んでくれ 初夏や雀斑の浮く片笑くぼ 深えくぼ」だったが、深いとほげた穴の方に視線が集中して雀斑が見えないでしょう、片えくぼだと、笑顔が見えると思いませんか 初夏や空へ大声「ア・エ・イ・オ・ウ」 発する」で充分でしたが、発声練習を言いたかったのでそうしたのでしょうが、かえって「アエイオウ」で分からせた方が良いのでは はつ夏や葉音ひそかに風わたる 葉音忍ばせ風わたる」というのは足音を忍ばせるのとは違って尋常な使い方ではない 初夏や連山青く天聳る 近き連山天聳る」というのでは変だ 単衣着る都合5本の紐まとひ 単衣着る紐一本も省けずに」だったが、紐など使わずに着る人もいるわけで、何本の規定があるわけではないのだから、どこを基準に省いたかという点が分からないわけ。 それより、がんじがらめにしたとか、後の二本を緩めにしたとか、芸を見せないと 美容院の鏡の奥の薔薇匂ふ 美容院鏡の奥の・・」このようなとき無理に助詞を省いて5音にしておかしな体言止め風になるよりは助詞を入れて6音にした方が句意が明快になるということは意識しておくべし。特に「びよういん」のような「イン」といった「ん」の音は1音より少なめにカウントできるのでうまく使うと6音でも奇異に聞こえないリズム感がでてくることがある 胸深く風のあふれて夏初め 深呼吸にとるのか、胸元に風が通るのかで鑑賞がずんと違ってくるのが面白い句 ============ 宗匠の一言これで終り == |