12月のもう一言
あやとりの指のリズムやて冬麗 リズムなどというのはだめ、どんなリズムかを活写することが俳句 熊除けの鈴の行き交ふ登山道 登山は夏、熊除けが季語として働くかはやや疑問ありだが、熊の冬ではなく、秋の季語としてありえるかと、中身としては通学路が面白い 柴漬けや伊吹は風を分ける山 「しばづけ」ではなく、「ふしづけ」、束にした柴を沈めて魚を集める漁法 仕舞田に忘れ鍬あり枯葎 鍬ありはいかんでしょ、仕舞田&枯? 旅立ちの体温めん根深汁 温めようという意思があればもう少しましなものを作るだろう 旅用意大鍋で炊くおでん種 おでん種がひっかかるんです 地下道を出で冬麗の雑踏へ 冬麗というのと雑踏との取り合わせに違和感 生乾きの土器削り冬の入 冬の入ってのはあまり聞かない、寒の入り、冬に入る 眠ってしまい昼電車 では、ちと無理では 日溜りや低き羽音の冬の蜂 あたりまえで、類句は多いよ 部活練習土下座もありぬ空っ風 これが実態だろうが、「しごき」は俳句ではないでしょう 冬蝗とんでぎくぎく立て直し ぎくぎくが面白いのだが、立て直しがわかりづらい 冬うらら糸底馴染むたなごころ 取り合わせが陳腐かも 冬ざれや杭に繋がる貸ボート こんな風景はよくある、しかし、ボートは夏ですね 冬晴れやとある茶房に魚板打つ 喫茶店の魚板と言うのが特殊でしかなく、それも「とある」では× 冬晴れや伸ばす袴の畳み皺 へんみさんの鑑賞では、虫干しのごとく天気の良い日に下げて伸ばすのだと言うが、どうもぴんと来ない、畳み皺をつけるような袴の手入れそのものに疑問があるのです 放牛の腹に黒文字阿蘇小春 黒文字ってのは、楊枝です、阿蘇でなければならんでしょうか? 焼芋の値の折り合ひて買ふ二本 俗な感じで、いささか疑問だけど やきいも屋今日も来てをり恙無し なんか古い感じだな、だけど没 腕白盛り落葉を積みて芋焼けり 腕白盛り×、落葉&焼芋の季重なり |