12月のもう一言
利孟 | |
つかの間は正気の会話からつ風 | |
唾をした指で押さえて炭の爆ぜ | |
みちのくの雪と曇りに尽く予報 | |
シヤンパンの泡の金色聖夜餐 | |
鉄塔の時に寄り道枯野果つ | |
比呂 | |
・ 白息が餌に寄り来る牛舎かな | |
挙り来るより白息が見えると思うのだが | |
・ 毛の国の語尾を吹きあげ空つ風 | |
尻上がりを吹き上げるとまでは? | |
・ 高音なる寒禽高き枝選ぶ | |
◎ 名なきまま外す仮橋寒夕焼 | |
・ 聖誕祭貧乏神も神のうち | |
そういう日でしたっけね? | |
敬子 | |
◎ 牧牛の鼻面を打ち空つ風 | |
手作りのかりん酒風邪を寄せ付けず | |
・ 冠雪し草津白松山は近よりぬ | |
・ 聖夜劇イエスは五歳男児にて | |
店閉ぢるご時世殖ゆる年の暮 | |
信子 | |
これからも暮らす木の家クリスマス | |
寒風や掛桧の花の天地人 | |
切り分けし一つは供え聖夜菓子 | |
柚子提げて訪ふ家の犬に懐かれて | |
うぶすなの町を埋める灯クリスマス | |
永子 | |
◎ 峡の宿水柱注意の木札下げ | |
・ 聖樹の灯見ゆる窓辺の予約席 | |
・ 室咲きのつぼみ次々出荷早や | |
出荷待つって事情知らなければ見えないですよね | |
・ 揺り椅子の父の微睡み白障子 | |
障子は冬、故にわざわざ言わない | |
空風のもてくる塵の吹き溜る | |
幸子 | |
・ 容赦なく窓打つ北風に声紛る | |
・ バスを待つ右も左も懐手 | |
面白い | |
日向ぼこ塑像のごとき顔並べ | |
やや厚き媼の化粧麦踏めり | |
財政も苦肉の策や空つ風 | |
登美子 | |
・ クリスマス父に最初の贈り物 | |
なぜ最初? | |
・ 神主の赤きネクタイクリスマス | |
派手なというのは抽象的結論が出ている | |
クリスマス色とりどりの豆電球 | |
・ 赤い箱どの子も手にし降誕祭 | |
冬の月電球灯す樹の上に | |
ミヨ | |
冬ばらの風をいとひて辣を研ぐ | |
★ 雲を得し龍の吐息か乾つ風 | |
雪を得るのは龍らしくないし空っ風と重なるし | |
・ 柊の小花ふりつぐ裏鬼門 | |
轆轤ひく陽光あれどからつ風 | |
・ 幾許の灯はかなき影の聖樹かな | |
芳子 | |
真夜中に父はサンタとなりて来る | |
・ 閉店の貼り紙破る空つ風 | |
破る>裂くとかめくるか | |
洋梨の固さほぐるる小春かな | |
◎ 薪ストーブに珈琲の香の丸ろむ | |
侘助の紅の一色友来たる | |
憲 | |
不景気やケーキ小さいクリスマス | |
空つ風童の姿どこへやら | |
クリスマス苦しみの増す今年かな | |
×全く駄目、俳句を馬鹿にしてはいけない | |
空つ風街路樹枯れてもろに受け | |
空つ風どこ吹く風と童かな | |
喜市 | |
・ 夕闇に青き電飾ツリーかな | |
・ 冬鳥の声に重なり梢泣く | |
補助関はサンタ飾りの指定席 | |
鉢巻を締めて白菜並びたる | |
玄関に枯葉集めて走り去る | |
昭雄 | |
・ 腸の苦味の詰まる秋刀魚買ふ | |
・ チェロを抱く女足早々クリスマス | |
★ 空つ風に研がれとがれて奥白根山 | |
雑踏が嫌いで好きでクリスマス | |
◎ 蓮根掘り空を掴みて畔上がる | |
ともこ | |
・ 封緘の星のシールやクリスマス | |
・ 空つ風那須野ケ原を舐めつづけ | |
・ 筆先に吸い付く砂子賀状書く | |
たんたんと家事の捗り小六月 | |
枇杷の花看取りの部屋の窓に咲く | |
一構 | |
・ 靄に浮くモンサンミッシェル冬ざるる | |
柿熟るる空に残りし夕目色 | |
時差惚けて閉ぢし眼や冬至風呂 | |
ハウマッチだけの英語や冬の旅 | |
◎ マヌカンピの赤き衿立て夜半の冬 | |
良人 | |
風先へ浮雲ちぎり空つ風 | |
◎ 空風の風の末なる筑波嶺 | |
銭湯の湯船にジングルベル流る | |
風先は赤麻沼原空つ風 | |
星の降る山のホテルに聖樹の灯 | |