12年6月9日(

扉俳句会全国大会番外・袋回し

袋回し:大方はご存じでしょうが、袋回しなる俳句ゲームがあります
 (1)まずは、10人程度で輪を作ります(人数はこれくらいが面白い)
 (2)人数が集まったら、それぞれが一句詠み袋回しがスタートです
 (3)各人がその発句を短冊に書いて、手元の封筒に納めます
 (4)この封筒の表に、納めた句の中からのキーワードを書きます
     キーワードは句中の季語、単語でも、無意味な文字列でも構いません
 (5)キーワードを書き終わったら、その封筒を右隣の人に回します
 (6)封筒が回ってきたら、封筒の表のキーワードを詠み込んで句を作ります
 (7)キーワードを詠み込んだ句を短冊に書き、封筒に入れ、右に回します
  回ってきた封筒には、勝手にキーワードを書いてはいけません
 (8)苦吟していると、左隣から次の封筒が回って来て仕舞います
   こうなると、次に封筒を受け取るはずの人は手持ちぶさたです
   「おい、おい、封筒が来ないよ!」などと嫌味を言うのもありです
  袋回しの鉄則は、袋(封筒)が回ってきたらすぐ詠むこと!です
  ぐずぐず苦吟しては、全体の流れを停滞させることになります
  手元に袋が溜っても、詠む順番を変えて後の袋から回してはいけません

 全部の袋が一巡すると、それぞれの袋には人数分の短冊が入っています
 同じことですが、各人はこの一巡で、人数分の句を作ったことになります
以降の清記、選句、披講などはその場その場のやり方で臨機応変です
 袋回しは・・即吟の力を鍛えること、自分では思いつかない題材で作句できるなど仲々に苦しくも楽しい遊びです
 もちろん、一回りしたらそれで終りというわけではなく、第2ラウンド、第3ラウンドと俳句仲間の楽しい夜は更けてゆくのです

 さて、この記録は扉全国大会の懇親会後の有志(遊子?勇士?)が集っての袋回しの記録にて、2ラウンドを行っての結果です
 途中参加者、袋回し初体験などもいて、ちょっと運び、記録に乱れが生じましたが、ともかくもの結果ご覧下さい

太字の行が題と出題者
以下の行がその題での 句 作者 互選点盛りとなっています
 選句は各自2句、出題者は特選を選ぶ権利ありのルールで今回は行いました
 選句の点盛りを赤字で表記、特選は★で表示しています



    良人
授かれる五体満足夏の朝
五月雨や鬼怒の流れの笹にごり 良人
花四葩団子五本を食うて子規 利孟 比松貫
五月雨の上り鍬出す荒畑 比呂
五月晴れ元気に子らの遊びをり
五郎太石並べし狭庭小鳥くる ミヨ 良★松あ
五月雨や遊具濡れてる幼稚園 渓子 良聖
五月雨や角がをれてる俳句帳 聖子 良貫比健利
  涼し  
山寺の吹き来る風の涼しさよ 良人 貫松あ利比
山林の中を歩けばいと涼し
大水車回りて涼し那須台地 ミヨ 良笙聖
あきること無くて寝返りして涼し 利孟 比良健
涼しさや木蔭にいこふ二人かな 渓子 貫あ利笙聖
    利孟
屋台骨風に打たれてしなりをり 良人 貫松健聖
麦の秋骨をしみして畦を踏む 渓子 健良
夏草やストロンチウムは骨に入る 利干し比
整骨師のかひなたくまし更衣 ミヨ あ聖
梅雨寒や甲骨文の人や馬 利孟 松笙
沼に名の無く河骨の黄の一花 比呂 貫利
骨董市になじみの紳士額の花 聖子 笙良あ
    あやの
どくだみや毒婦とて立つ谷中墓地 比呂 あ貫良
山道の標となりし毒きのこ ミヨ 松良利
梅雨に入る毒消し売りの背の荷物 利孟 あ比
毒ダミの臭ひ消し去る通り雨 良人
毒だみの白き花びら輝きて 渓子
五月雨や毒婦の墓を洗ひをり あやの 松比利貫
賜りし干した毒だみ用途あり 聖子
  夕立  
泥まんぢゆう形とどむる夕立あと あやの
夕立の流れ入る湯のにごりけり 比呂 良★利貫あ聖
朗読の声張り上げて夕立来る 利孟 良貫あ松聖比
夕立に路傍の草の打たれ音 良人
夕立にせかされてゐる一日かな 渓子
夕立や床にそのまま着所寝 聖子
泰山木の花にきつと夕立来る ミヨ
    ミヨ
千年の年輪の卓夏館 良人
縁将棋千の一手を考えて 比呂 貫松聖
滴りや石に三體千字文 利孟 健比
千年の保存樹林に五月雨 渓子 聖利
梅雨籠もり日々書き溜めし千字文 ミヨ あ良比
千年の大樹かしこに簗生活 聖子
千の風聞こゆか墓地の五月雨るる あやの 松利
   
夏の朝湖のほとりに人を待つ 渓子 比良あ
来る人も離れる人も夏の海 良人
バラ園に諸人集ふ昼下がり ミヨ 聖良あ
手のひらの人の字食うて梅雨暗し 利孟 比松貫
善人も悪人も土に聖五月 あやの ★聖利貫
梅雨明けや島人販ぐ干し魚 比呂
人格を疑ふやうな七変化 聖子
  べろ   利孟
虹の橋べろ出し閻魔ののぞく窓 比呂 利★松
べろ垂れて猟犬帰る夏の宿 良人 あ聖利
べろの色較べては食ふ氷水 利孟 あ松良
しわくちやのベロアシャツ出す若葉冷 あやの
子育てやべろべろ嘗めて夏の風邪 ミヨ 比聖
暑き日や犬が舌だしべろべろと 渓子
  夏椿   良人
逝く人の胸に一輪夏椿
夏椿古鐘に三千年の音 利孟 笙松
夏椿片減りしたる庭ぼうき ミヨ 良★あ健聖比
夏椿羽二重団子を食みにけり 良人
降り残す空の闇あり夏椿 聖子 貫利松比
寺の門おとづれし人夏椿 渓子
太陽の赤く燃ゆるや夏椿 良人
鍵持たぬ暮しに慣れて夏椿 比呂 貫利笙聖あ
    渓子
鉄鍋に艶増し跳ねる夏野菜 あやの
うしろ手に歩くくせ持ち夏の月 比呂 良利貫あ
憶えたてテーマ音楽夏来る 渓子
観音の笑みて御座すや夏椿 ミヨ
呼ぶ声に返す木霊や夏の山 聖子 松★利貫あ
半夏雨色即是空々即是 利孟
夏山に浮かぶ白雲二つ三つ 良人
  梅雨  
嫌な時季時の移ろひ梅雨の入り 聖子
塩糀仕込みし甕や梅雨の入り ミヨ
走り梅雨共同井戸の水かれて 渓子 良比
荒梅雨の濡れて重たき藁廂 比呂 松利聖笙
梅雨晴れや手に載るほどの島一つ 良あ
梅雨入りや雀の遊ぶ水溜 良人 健★比聖
梅雨に入る鞄一つで世を逃れ 利孟 あ貫笙
梅雨入りや雨の日暮れをつゆ知らず