7月のもう一言
ミヨ | |
大鋸屑の嵩出ず入らず氷室守 | |
神苑や朱の襞重ね梅雨茸 | |
夏の宵座す濡れ縁に足だらり | |
足だらりはいかにも投げやりな作り様です | |
川風や浴衣地さらす織日和 | |
織り上げたものを晒すなんてこと浴衣地ではしないでしょう・・上布とかならまだしも | |
茴香や煎じのあとの古土瓶 | |
「煎じのあとの」が理解できなかった、なんども平仮名で良いと云うことではないね | |
敬子 | |
せせらぎの闇へ一途の恋蛍 | |
ありがちな句だけどね | |
腹話術健ちやん元気夏の夜 | |
藍浴衣気に入りの柄三年目 | |
苺ジャム煮上がり夕の星一つ | |
ずいぶん時間のかかる苺ジャムだ! | |
蛍袋池畔に視野をひろげたり | |
?? | |
比呂 | |
月涼しのんののんのと子の告ぐる | |
鶏も子供も跣日の盛 | |
かけらるる浴衣はらりと勝力士 | |
名古屋場所をやってますね、こんな光景ありました | |
遠雷や早耳の蟻遁走す | |
遁走っていうと散り散り見たいだが、巣に戻るんでしょうね | |
カンダダのくも糸絡む白蓮 | |
昭雄 | |
石一つ据えて山葵田水奔る | |
肩上げをはづす婆の手御針胼胝 | |
帯締の軋みを解く夏の夜 | |
門灯を灯し客待つ初浴衣 | |
門灯てのは客の来るこないにかかわらず点けとくもんではないですか?、門の脇で浴衣着て待ってるという風で、これは民家?、料亭?、あるいは妾宅?とあまりにも焦点が絞れない | |
透きとほる切子グラスの脚線美 | |
ワイングラスのステムの曲線なのだろうが、切子のグラスだとステムも面取りしてあったりが普通だからどうしたもんか | |
鴻 | |
舌垂れて犬は酷暑に耐へにけり | |
当たり前ではありますが | |
蛇苺子等数珠作り競ひ合ひ | |
夕風を部屋に引き入れ夏の夜 | |
夕風を夜にってのはちょっと矛盾するがあまり奇異にも感じないね | |
丑の日や土曜鰻に舌鼓 | |
舌鼓は当たり前、そこを踏まえて何か見つけないと | |
縁側に浴衣姿の若夫婦 | |
事実があればそれで良いと云うのではない、そこから何か広がるものが無ければならないのだが、この景からなにか物語が浮かんでくるか? | |
信子 | |
夏の夜や海を背負ふて深海魚 | |
「負う」は、ハ行で活用するから、負ふは終止、連体形ですから「て」にはつながりません、「負ひて」でなければならず、これを音便で「オウテ」と発音するならば、「負うて」と表記します。 | |
大まかに生きて行く末藍浴衣 | |
霧しぐれ見えぬ彼方の佐渡指して | |
さくらんぼ食む食みながら次の枝 | |
一生のさまざま未だ湯帷子 | |
なにやら複雑に生きてこられた様で | |
聖子 | |
浴衣着て俄か正座のつづかざる | |
着てはなくても浴衣は着てるのというのが基本 | |
浴衣着の鶯嬢も手を振れり | |
参院選のさなかだから、それなりにわかる、まあ手を振っても当たり前ですなにもないから、ウグイスならホウホケキョとキョウ読みますから、ヒョウヲヨムなんてふざけるのもときには | |
旅の宿選ぶ花柄染浴衣 | |
髪束ね白きうなじや藍浴衣 | |
束ねなくてもしろいんでしょ、 で、白と藍とはちとウルサイかも | |
もののけもいるらし夏の夜のライブ | |
コスプレやらふくめてあれこれいますしね | |
一構 | |
蔵の町機織る音や夏の夜 | |
三句切れ | |
咲きながら登りきつたる立葵 | |
晩酌は古酒と決めたる夏の夜 | |
決めたる、でなく「選びて」くらいが穏当だろう | |
山百合を抱えた人と会釈する | |
多分山道ですれ違ったのだろうというのがようやくわかりました | |
水草の花ひつそりと袋小路 | |
多分鉢とかに水草を入れてるんだろうが袋小路と繋がるまでに一思案しなければならない | |
良人 | |
夏の夜や囃子太鼓の音軽き | |
ビル風に干し物ゆれる夏の夜 | |
浴衣着てバス停に立つ親子連れ | |
宿浴衣サイズは襟の大中小 | |
確かに | |
宿浴衣揃ひて向かふ露天風呂 | |
こんな風だと宿浴衣でもなんとか浴衣らしいかなと | |
輝子 | |
水枕老父の寝息夏の夜 | |
老父が熱を出していたのか、寝苦しかったのか?、介護していた父親のことだって、句として仕立てるときにそのままを述べる必要はない、そこは出発点でしかないのだから、どう料理するかで、虚実ない交ぜでいかにもと思わせるのが面白いのです | |
夏の夜の飛び交ふ影ぞ街路灯 | |
「ぞ」てのは「係りの助詞」と位置付けられるから、続く言葉の品詞とか、活用形とかに縛りがかかるからむやみに使わない方が間違いがない | |
雨あがり窓開け跳ねし夏の夜 | |
宿浴衣丈の違いのおもしろや | |
古浴衣亀甲柄も色褪せし | |
木瓜 | |
忘れ得ぬキズ持つ浴衣身に纏ひ | |
浴衣になにか思い出の綻びの繕いあとがあるて話の様だが、そんなもの後生大事に来ないだろう | |
幽霊に息かけられし夏の夜 | |
身を雪ぎ浴衣片手に星仰ぐ | |
言いたいことはあれこれあっても、句からそれが伝わらなければ言わぬが花です、また、星仰ぐなどと言わなくても、星といえばそれだけで当然に見ているし、大概は天にはりついているのだから仰いでいる、浴衣片手になんて素っ裸の景はグロテスクなだけですし・・と云う風に人はこの句を読んでますよということと自分の意識のギャップをどうすれば埋められるかが俳句の表現力なのです、大いに悩んでください | |
句と句をば夕立雲と立ち上げむ | |
?? | |
三つうちどれにすべきか夏の宵 | |
三つていえば・・で応えられる人はほとんどいない、てことはこの句は分からないてことです | |
健 | |
常夜灯人並み続く夏の夜 | |
縁日ならそう言った方が良いと思うけど | |
スマートフォン手指忙しく夏の夜 | |
命たる浴衣美人の文庫結び | |
命たるて、帯が肝心てくらいなことかいな? | |
衣紋抜くそぞろ歩きの乙女かな | |
乙女が衣紋抜くにせよ浴衣はちょっと無理でしょうと | |
夏の夜風の如くのスマホかな | |
説明もあったが意味不明としか | |
利孟 | |
夏の夜の屋台の椅子にビール箱 | |
風分けてくれ相席の白ゆかた | |
臭い作り方で、分かる人には分かり易いのだが(比呂さん特選多謝)、ちと無理があったか? | |
地の縁の明るめばはや御来光 | |
かはほりや尻にざらめのかすていら | |
真清水の濁りを知らぬ砂沸かす | |