第205回 平成26年2月23日
兼題 春浅し 梅


 瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次







  利孟
 梅ヶ香や膝の擦れたる紺作務衣
 春浅し渡り廊下でゆく湯殿
 蕗味噌や朝の湯槽を一人占め
 春の雪消えて目鼻でありし炭
 吊し雛ゆれて女雛の口笑ふ

  ミヨ
☆山の湯のかろき桶音春浅し
△梅日和路地へ迷へば犬矢来
△籠もりたるとをたたいては雪しまき
・浜焼の炭火呆けて安房泊
 五穀米足るる旦暮や初彼岸

  比呂
☆如月や魔鏡の映すよもつくに
△身を反らす足漕ぎ舟や春浅し
・枝垂梅狛犬耳が痒さうで
・昨夜の雪ほろと零して梅三分
 猟師小屋まどゐて猪の煮詰まるる

  昭雄
☆雪折れの木霊鋭き奥白根
・欄の朱塗りの橋や梅真白
・ポケットに菜のみの春の拳かな
・スカイツリー何処も正面梅真白
 梅真白美しくはかなくおそろしく

  巴塵
△梅ヶ香や室の八島に立つ煙
・梅真白ふはりとかゝる朝の月
・癒しあふ待合室や春浅し
 主なき梅の立枝や下枝かな
 古手紙梅の折枝色心

  鴻
・田舎道日陰に山の残り雪
・電線にふくら雀の押し合ひて
・盆梅の咲きたる部屋や夕日射す
 紅梅や庭木の中にひとり咲く
 梅園に方向漂ひ歩を止める

  信子
・今生の板東の雪掻きにけり
・しんしんと闇に音なし真夜の雪
・春浅き水迸る鯉の川
 逆転の笑顔泣き顔スケーター
 スキーヤー着地決めたる息づかひ

  聖子
・知事室へほころび初め梅の鉢
・春寒し窓に結露の議会棟
・老梅を濡らして雨の降り続く
 春浅し館案内の響く声
 梅開花送らせてなほ雨続く

  輝子
・傾ける月の明りや梅siroし
・透きとほる空早咲きの梅白し
・雪を掻く音のしきりに昼過ぎる
 梅の菓の香り頂き花と見ゆ
 陽を受けて薄着したるか浅き春

  良人
・堤防のかげ日溜まりの梅見頃
・梅林の香の籠りたる散策路
 遠山も空もうすれる浅き春
 野の空の青さ薄れし浅き春
 日の光受けて白梅色を増す

  一構
・ふくふくと膨らむ梅や雨もよひ
・梅白し石段に置く作務箒
 春浅し日差し称へて出勤す
 春浅い無人駅にもある別れ
 春浅し朝の湖日が走る

  木瓜
・浅春の雨を纏ひて木々静か
・川流る洋々として春浅し
 春めくや無風なれどもときめかん
 絵てぬぐひ重ね眺める梅の花
 梅たちて香り散りぬる郷屋敷

  敬子
・春浅しからくり時計うたひだす
 春浅し枝に長居の番取り
 閉店に七福神の氷柱かな
 紅梅の葛折なる東屋に
 雲流れ心やすらぐ梅の茶屋

  健
・梅の香の包む境内絵馬並ぶ
 まだ未熟若者達は春浅し
 香散見草菓銘の和菓子色がつく
 頑張るや前を向いても春浅し
 まちおこし地元咲かせる梅の里