5月のもう一言

利孟
花苗を選るや変りも無いけれど
五月雨や一口ビールのつくランチ
荒瀬ゆくやうに身を撚り五月鯉
暗渠へと消える外濠時鳥
麦の秋天使が減らす樽の火酒
ウィスキーの熟成樽で、年々蒸発して減ってゆく分を「天使の取り分」というんです、割に知られた話です
比呂
水煙の天女の裳裾風薫る
これは薬師寺の塔の天辺の水煙のことね、有名なんだが勉強して欲しいね
聖五月オラショ唱ふる島訛
父の日や父似は良しと言はれても
女の子は父親に似ると美人になるというやつですね
畦に届く小昼のむすび麦の秋
大でまり指鳴らし解く催眠術
面白い素材ながら、オオデマリはどんなもんか
昭雄
麦秋の木造校舎九九の声
牛の眸に穂波の燃ゆる麦の秋
聖五月二列で進む鼓笛隊
プカプカドンドンが見えますね
一村を神代に戻す麦の秋
一村ね、ちと?
風くれば光に変はる麦の秋
ミヨ
木の芽風通行止めの鎖解く
冬季閉鎖されていた林道なのだろうがそれが見えないのは弱いでしょ
松蝉の声より晴れて避難小屋
避難小屋と蝉てのが?
アラビア文字刻む時計の聖五月
1、2、3がアラビア数字、T、U、Vはローマ数字、アラビア文字はコーランなどを記す横にのたくった唐草模様みたいな字

・・・・・こういうのがアラビア文字・・・・・

熱気球彼方見てをり麦の秋
誰が見ているの?熱気球がですか?
噴水や子らの歓喜の空くづれ
噴水&くづれるの取り合わせは多いね
信子
毎日研ぐ米二合小鳥来る
歳時記に吾の師の五句窓若葉
重次の句はあれこれ載っているが、まとまって五句というわけでもないのでして
ドクターヘリ音捨てて立つ聖五月
捨てるは決め台詞だから安易に使わない
息を吐き切つて腹筋麦の秋
ロングブレスですか?詠み切れてません
列をなす棒の高低畑五月
貸し農園の支柱あれこれが林立しているというのだが、そりゃ分からん
美恵子
応援の声太くあり麦の秋
コエフトクアリ、日本語ではあるけれどこなれてないね
栃の葉の揺れて香りしコーヒーの香
香が香るて言葉の無駄遣いは俳句では勿体ない
五月雨や利休鼠の巴波川
雰囲気はありますね
五月雨や苔生す径を尋ねけり
尋ねでは「どこにありますか?」でしょ、訪ねでしょうが、そこへ行きましたて言わずに、苔生す径がどうだったかを詠むのです
組み体操一糸乱れず麦の秋
組み体操は最近話題ですけど
輝子
石庭の隅で新茶旅半ば
石庭でお茶を飲んだだけで良いでしょ、旅なんぞは余分です
庭木にまた鳩住みし五月来ぬ
麦の秋見え隠れ行くランドセル
幼な手よあつ五月鯉捕らへるや
晴子ワールドにどっぷりだな
母の日に歳を重ねて旅枕
良人
麦秋を囲む水田に影の無し
燧ヶ岳背に池溏に映る夏の空
写真の方が良いと思うけど
穂を傾げ風を通せし麦の秋
雑雑と雨音高き麦の秋
雨×麦秋は取り合わせが悪い
卯の花に光さんさん馬走る
あっちこっちととっちらかってるな
川縁の水音頼る五月闇
窓外に広がる田圃麦の秋
確かに田圃もあろうけれど、麦は麦畑だよね
空青く光の包む麦の秋
風受けてサイクリングや麦の秋
小径行くほとりの五月濡らす雨
五月雨を分割しちゃったね
木瓜
麦の秋ひと汗拭ふゴッホかな
汗が盛夏の季語なのが残念だけど、面白い
五月雨然程急ぐな人生路
パス!
酸つぱさや清廉の爪夏蜜柑
清潔な爪はありましょうが、清廉の爪なんて正常じゃないですね
黴失せて何やらひとつ物足らず
黴に風情を感じてるのね、分からん感覚
新茶汲む指に馴染みし罅茶碗
指に馴染むて言い方しないでしょ、使い込んで渋の滲みた貫入は罅ではないし
聖子
車中より見し麦畑のにほひけり
見し」は過去形では無いでしょうかね、どこで見ても変わらんのでそれなりの仕掛けが要ります
田水張り家浮き上がる夜のあかり
感じは分かるが、こなれてない
立ちこぎを追ひかけてくる夏の雨
自転車で必死に雨の降り出す前にというのでしょうが、自転車がありませんね
麦秋や旗日の旗のびしよ濡れて
麦秋にも雨は降りますが、晴れて黄色一色の畑ってイメージが強いのでは
風光るどこか揺れゐて鳥の声
敬子
麦の秋自問自戒の余生かな
花菜畑行きつもどりつ英会話
そういうことがあったかも知れないが、句にはならない
花菖蒲母の遺愛の割烹着
割烹着が遺愛?、おぼちゃんじゃあるまいし、使い捨てのものでしょ
花うつぎ虚空蔵菩薩頷ける
ツブヤクとルビしているが、ウナヅクです
聖五月洗礼受けし友傘寿
八十になって改宗ですか、今までの不信心はついて回るような気がしますが