2月のもう一言
利孟 |
横綱の破顔福呼ぶ豆を撒く |
語り得ぬ話墓まで梅こぼる |
クロッカスやや不揃ひの起立礼 |
ワイパーに抗ひ溜り春の雪 |
灯に透かし拭き上ぐグラス名残雪 |
一構 |
還暦や赤きベストで福は内 |
香は四方に刑務所跡の梅の花 |
普段見慣れた風景をすっきり切りとったのが良かった |
晩酌の肴となりし福の豆 |
福は内受験を終る中学生 |
中学生、高校生と孫が楽しみなこと |
高校生闇に一擲福は内 |
大声上げるのが恥ずかしい高校生の孫・・とは読めないよね |
敬子 |
園児らの声甲高き鬼やらひ |
園児ら」は私にとっては許せない措辞なんです |
梅が香や家訓の軸の観音像 |
家訓を書き並べた軸に観音様が書いてあるってのはおかしかないかな? |
筆跡に亡夫の面影梅の花 |
思い起こせよなんですかね |
コーヒーの香り米寿の小正月 |
小正月のコーヒーてのはどういうことか、米寿がどうからむか? |
冬紅葉長寿の語尾のやはらかに |
もごもごしているってこと、分からない |
青樹 |
緋の襷女優勇みて鬼やらひ |
梅の香や田舎蕎麦屋の順を待つ |
夜の静寂漂ふ梅が香荒屋敷 |
三句切れ、中八、と俳句の体裁として外れる、梅が香と言えばもうそこにあるから、漂うは蛇足です |
梅の香に誘われ偲びの旅に出づ |
母の絵に梅まる貰ひし日の遙か |
梅の花だから季語なんで、梅○は一年中貰えますよね、それに加えて、思い出を思い出として詠まずに、眼前のこととして詠むことが俳句と思ってください |
信子 |
子の快気祈る雪男体山仰ぎ |
豆撒きの年々端折る鬼は外 |
喉元に含む麻酔や桜冷え |
よく分かるけど、経験してない人には何のことか分からないという、胃カメラ! |
犬の名のももやさくらや梅日和 |
こういう面白さも俳諧らしくて結構かと |
梅見月透析室の窓明かり |
美恵子 |
梅一枝床の間に差し炉の支度 |
炉は囲炉裏と同様冬期の季語ですから、季重りの句です |
神垣や苔生う枝に咲くやこの花 |
下7は定形を崩しすぎです、難しい言葉を探す必要は無いのです、一読明快を目指しましょう |
福寿草豆炒る母の背の丸き |
ああ、背が丸い、年取ったな!というには背の丸きもあるんだが、丸き背と体言止めにしてみると背中を丸めて炒ってる様子が見えてその思いも含めての景になる |
豆撒きや息子の背中父に似て |
豆撒きと息子の背中が「や」で分断されては、豆を撒く後ろ姿があれ?っとはならない |
梅の花米寿祝の紅を差す |
良人 |
野仏に六間離れ梅一樹 |
ちと添削しすぎたが、寸法とか数とかを読むときにはその数字に意味が無ければいけません |
村里に朝日届きて梅開く |
何が何してなんとやらと因果関係を詠わない方が雰囲気が出やすい |
青空に浮かぶ白雲梅光る |
素直な句です |
野に続く梅林里を香につつむ |
川岸を埋める白梅瀬音消す |
瀬音消すが苦しいね、もっとありそう |
昭雄 |
梅真白炊かずの窯の火伏札 |
梅咲くや故山といふも風強し |
故山などというても、風が穏やかな日ばかりでは無いので?? |
裂帛の気合闇撃つ鬼やらひ |
随分大層な豆撒きですが、 |
梅真白湖畔の宿の胡弓の音 |
胡弓の音が唐突すぎるでしょう、山の寂しい湖で・・ですから、 |
窯守の陶師の妻か胸に梅 |
窯守てのは、火の番をしてるのか?、胸に梅ってなんか妙なところでロマンチックなシーンで分かりません |
比呂 |
堆黄の香盒に龍春満月 |
堆黄なんて特殊なモノよく見たね |
海へ打つ鱗付けし升の豆 |
元句は鱗をイロクヅと読ませるようだが、ウロコハリツクの方が分かりやすかろう |
すけすけの原爆ドーム寒紅梅 |
山伏の祓ひて福の豆と為す |
風音の強張り続き冴返る |
風音が強張るなるほどです |
ミヨ |
冬木の芽虚空に散らし星と化す |
散らしというと、誰が散らす?、木自身が散らさなければいけないが主語になっていない |
熱燗や志功絵ほのと陸奥泊まり |
節分や潮路引っ張る岬鼻 |
潮路は潮流で道ではありません |
豆撒や齢の嘆き一打ちす |
齢の嘆きは分かるようでどうですか? |
梅東風やおもむろに開く好文亭 |
特別公開をおもむろにとは言わないでしょう |
木瓜 |
鬼やらひ天にじらりと星燃ゆる |
冬の一等星と言えばオリオンのベテルギウス、青白い光が「じらり」はまずいでしょう |
寒明けや芥捨てに行く妻の背 |
芥はアクタ、塵がチリ、まあ音律から芥をチリと読んではおきますが、いけません |
春めくや六十五パー(%)の幸の前 |
分かるような分からん様な |
恋猫の天を突く声夜のしじま |
上中句は上出来、夜のしじまでガックリなんです |
ひたすらに道はひとすじ梅真白 |