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ユリさんが「クロワッサンの店」のためにデザインしたハンカチ クロワッサン1984年4月10日号(No.154) photos Takeshi Doi |
「私、ハンカチをあまり使わない人なんです」
普通のハンカチの役目としては、という意味です。それはティッシュに頼んじゃう。
「ナプキンにしたり、息子のお弁当包みにしたりはしますけど」
そのユリさんがクロワッサンの店のハンカチを作ったということが不思議といえば不思議でした。
「どうして私に話が来たのかな」
でも、作るからには作るハンカチは決まってました。
「ギンガムが好きなんです」
ギンガム以外にないっ、のでした。黒・白もいいし、赤・白もかわいい。紺・白もいいし、
「赤とピンクも好きなの」
大きさも、うんと細かいのから大っきなのまで。
「このジャケットも、ほら、ギンガムでしょう?」
ギンガムのジャケットにギンガムのハンカチ、両方見せてみたい、楽しみたい! としたら、どうしましょ。ヘタすれば、ウールと木綿、素材の違いで野暮になる。
で、こう、です。
「スカーフを入れてるつもりでやってるんです」
なるべくたくさん見せたいからこんなふう。
「赤と白のギンガムのハンカチをGパンのお尻のポケットに入れたりはよくしてるんです」
その変形ですが、Gパンからウールのジャケットに飛躍するところがセンスの磨きよう、使いよう。
「すごく大人っぽくもなるでしょう? ギンガムって」
ハンカチをハンカチらしく使わない人だから、思いつくことだったかもしれません。
クロワッサン1984年8月25日号(No.163)
これだけは伝えたい 私の感覚(センス)
「ハンカチ使い」より