夢を見ているとは、こんな感じかも?

昨日と今日はどこがちがう? 時々、そう思いながら、目が覚める。

違う毎日が欲しいわけじゃないけど、今日が特別な一日であってほしいからだろうか?

脳は、新奇な体験に敏感だ。新奇という雰囲気に「島皮質」がからんでくる。
いつもとは違う日常、そう感じた瞬間に、海馬は「短期記憶」の候補として確保する。
偏桃体は、その体験に「感情」を割り当て、色鮮やかな目印をつけている。

「こんなこと前にもあったかな」、「いや、はじめてのことだよね」とおしゃべりが始まる。
すると、海馬は、「とりあえず、あちこちあたってみるね」と楽しそうに動き出す。
なぜなら、海馬は「ドーパミン」というクーポンを「青斑核」からもらって、ウキウキだから。
大したことじゃないんだけど、こんなこともあったよと大脳皮質のある領域が反応する。
その領域が点滅すると、他の皮質領域から、こんなこともあるけど関係あるかなとフラグが立つ。
皮質のネットワークは、似たようなものをあまり区別せず、いっしょにしているから混乱している。

どれもこれも、あれもそれも、どこで何がどうしたって、まぜまぜになっている。

このままじゃ、こんがらったままだから、「整理整頓」しなくちゃねと
海馬が独り言を大きな声で言いだすのは、眠り始めた頃になるのはしかたない。

目が覚めている間は、あれこれ目の前のことで何かしら考えているからだし、
別の新奇なことがらが発生しているから、それで精一杯だ。

とにかく、目が閉じられ、外部からの感覚情報が遮断されれば、海馬が言うように、
溜まりにたまった「短期記憶」というシナプスのつながりをどうにかしなければならない。

こんがらって、ぐちゃぐちゃな「つながり」は、それぞれ目印をつけておいておこう。
これがノンレム睡眠の第1段階だ。
サリエンス・ネットワークの脳が機能し、とりあえず、大まかに区分けをする。

さて、ノンレム睡眠の第2段階では、シナプスのつながりはいったん、すべて解放する。
昼間の「短期記憶」につけた目印にそって再生し、シナプスをつなぎ直して、編集を行う。
もちろん早送りの再生で、その新奇性を評価し、それなりの仮タイトルもつける。
この時点でかなり疲労もたまってきたから、眠りは深くなる。
休憩を十分にとることにし、老廃物も吐き出してすっきりする。

ノンレム睡眠の第3段階では、ふたたびサリエンス・ネットワークが動き出し、
関連する「弱いつながり記憶」を拾い出し、そこにある文脈やシナリオの洗い出しをする。
この過程で、海馬は使い古したニューロンを廃棄しており、同時に、
海馬内にニューロンを新生し、スタンバイの状態をつくりだす作業も少しづつ進めているのだ。

いよいよレム睡眠になると、海馬が新規に編集された「短期記憶」を
関連する「弱いつながり記憶」に結びつける作業に入ります。
このとき、脳はデフォルトモードネットワークとなっており、さまよい思考を発揮し始める。
結びつける際に、前頭皮質が「文脈やシナリオ」を持ち込みます。
シナリオに応じて、海馬の「どこだ情報」、偏桃体の「なんだこれ情報」、
大脳皮質の「これだろう情報」が持ち込まれて、組み込まれると記憶のネットワークとなる。
そのネットワークが標的とする視覚野等のニューロンクラスターによって、
「感覚空間」=夢が創り出される。

大脳辺縁系まわりで、展開されている活発なニューロンクラスターの発火は、
基本的に「生き残り」のためのシミュレーションを展開し、
身体の動きをともなうリハーサルを行いながら
「シナリオ」に合わせて、夢見の現象をあなたにみせている。

大脳辺縁系は、「どうこんな感じでやれそうだけど?」と提案する一方で、
「まあ、うまくいかない感じはちょっとあるよね!」と同情を示し、
「今日のところは、これくらいで終了し、あとはまた明日ってことにしませんか?」と
あなたにスケージュールを告げながら、大事なことだからねと言いつつ、
「でも、現実と混乱してしまわないように夢の履歴は消すね」…と冷たく突き放してくる。

このあたりのことは、あなたは起床直前になっていて、
ちょっとは記憶を辿れるけど、あまり思い出さないよね。

スッキリ起きたい脳は、夢にはあまりかかわらないで先にすすもうとしている。
だって、今日も楽しそうな一日がはじまりそうだから。
そんなわけで、夢のことはすっかり忘れてしまうかも?
それゆえ、このテキストの最初の一行が意味をなしてくるのだ。

昨日と今日はどこがちがう?

https://www5a.biglobe.ne.jp/~yumeyume/dream1.html