映画のページ
2000 DK 112 Min. ドグマ 映画
出演者
Anders W. Berthelsen
(Andreas - 牧師)
Anette Støvelbæk
(Olympia - よく物を落としたり物にぶつかる女性)
Peter Gantzler
(Jørgen Mortensen)
Ann Eleonora Jørgensen
(Karen - 床屋)
Lars Kaalund
(Halvfinn - 臨時のイタリア語教師)
Rikke Wölck (看護婦)
Elsebeth Steentoft
(教会の事務員)
Sara Indrio Jensen (Giulia)
Bent Mejding
(教会の前牧師)
Jesper Christensen
(Olympia の父)
Lene Tiemroth
(Karen の母)
見た時期:2002年5月
ドグマ映画というのは日本ではどのぐらい知られているのでしょうか。ハリウッド式に映画を作っているとお金ばかりかかって大変だというわけで、欧州の監督が数人集まって独断でドグマという規則を作ってしまいました。当時この中で1番有名だったのはラース・フォン・トゥリアでした。しかし良い作品が次々と生まれ、トゥリアが目立たなくなってしまいました。めでたいことです。いえ、私はトゥリアの作品は結構楽しんで見ている方ですが、彼に負けず力強い作品が出て来てめでたいということです。誤解のないように。
ドグマが言い出した規則というのは10ほどあって、主として大金のかかる特殊効果を締め出しています。ハンドカメラ使用、照明は普通の光でなければ行けないなど、ちょっと厳し過ぎる傾向もあり、中には規則のいくつかを無視する監督もいるようですが、要は、映画の内容(ストーリー、演技)などに重点を絞ろうという意図です。ドグマ映画に行く時は一応船酔いの薬を持って行った方がいいですが、最近は手元のしっかりしたカメラマンもいるようです。
最初の4つ、5つは見ていたのですが、ドグマももう12になりましたか。
この作品はストーリーのきめが細かいです。これだけ大勢の人間が複雑に絡み合った話ではありますが、ほのぼのとしていて、人間の暖かさ、希望が見えます。始まりは寒々として、絶望的なんですけれど。
若い牧師の アンドレアスは妻を失い、ちょうどやもめになってある小さな町に臨時の牧師として赴任して来ます。前任者も最近妻を失いノイローゼ気味で牧師としての仕事ができなくなっています。赴任したてのアンドレアスは教会の事務員の女性に迎えられ、後任が決まるまでということで仕事を始めます。教会は葬儀の日に午後のアポイントを午前と間違えて来る人がいたり、多少混乱しています。
あるホテルでは、レストランの従業員ハルフィンが客と喧嘩をし、挙句は追い出してしまったりで、首になる寸前。同じホテルで働いている中年男のモーテンセンは同じレストランで働いているイタリア人ジュリアに恋心を抱いていますが、言い出す勇気がありません。態度が悪く、身なりも悪いハルフィンは床屋に送られて来ます。床屋のカレンは問題児ならず、問題母を抱えて苦労をしています。いつもつまずいて転んだり物を落として壊してしまうオリンピアは問題父を抱えて、これまた苦労。一生懸命のオリンピアを慰める役はアンドレアスに回って来ます。そうこうしているうちに誰かが「イタリア語を習いに行ったらどうだろう」と言います。親の問題のストレスを忘れるため、シングルでパートナーがおらず夜暇が余ったため、理由はともかくこうやって皆が夜の授業に集まって来ます。
イタリア語の授業はドイツの Volkshochschule (国民大学)のような感じの地味な学校で行われています。ドイツでは専用の建物を使っている所が多いですが、時には昼間違う目的に使う施設で夜はこういう学校を開いている所もあります。幸せになるためのイタリア語講座では大学の講義室のような所です。出席者は10人にも満たないため、閉鎖の危機にさらされています。ベルリンの場合大目に見てもらっても8人を切るとつぶれます。ここに徐々に上に書いた人たちが出席してきますが、冒頭から問題にぶつかります。講師が急病で授業ができなくなります。そこで代理を頼まれたのがこれまでは生徒だったハルフィン。ジュリアと言い争う程度のイタリア語ができるので、選ばれます。
これだけ説明してもまだ物語は意外な方向に展開して行き、驚く所、笑う所がたくさんあります。そして Bent Mejding 演ずるところの教会の前任者のきつい言葉があります。これと似たような事を最近ドイツで1番偉い本物の教会の監督から聞いたことがあります。「神様、あなたはどこにいたんですか」と、ある大勢の死者が出た事故の直後に公の場で言っていました。普段宗教にあまり関心がないのですが、この率直な問には感心してしまいました。神に催促をするぐらいの人だから、人類のために一生懸命仕事をしているんだろうと思います。
デンマークというのはドイツの隣国で近いようでありながら私はあまり事情を知りません。1番身近な話題は映画、刺繍とデンマークのホットドッグです。たまたま北ドイツにいた時、ちょっと足を伸ばしてホットドッグを食べに行ったことがあります。映画を見る限り生活はドイツとそれほど違わないようです。いずれ訪ねて行きたいです。
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