映画と関係ないページ
考えた時期:2002年10月
以前にも水の話には触れたことがあったかと思いますが、このコーナーで改めてご紹介。
水が大切な物だという事は子供の時から知っていました。旅行に行って滝を見たり、温泉に入ったり、おいしい水の川に出くわしたりすると大いに喜んだものです。東京の水はまずいとよく言われましたが、それでもまだ捨てたものではありません。何せ日本では水道の水を飲めるんですから。
以前に他の国を旅行したことがありましたが、ドイツ人に「現地の水は飲むな」と言われました。実際には私の胃はサルモネラ菌に対する抵抗力がかなり強いらしく、あまりトラブったことはありませんでした。
親切に注意してくれたドイツ人ですが、そのドイツの水もあまり蛇口から直接飲む気にはなれません。水道局のような所があり、水質はきっちり検査しています。基準もそれなりに整備されていて、有害物が水に入っているとすぐ原因追求、改善。ですからドイツの水を飲んで病気になるなどという心配は必要ありません。それでもあの水を見ると飲む気をなくしてしまう・・・という体験を何度かしたことがあります。
一口にドイツと言ってもいろいろ州があって、水の色が違います。これまで見たのは赤と白と黄色。赤は鉄、白はカルキかなあと思います。多少黄色っぽいのもあります。あまりベルリンから余所へ出ないのですが、電気式の湯沸し器が恐ろしい色をしているのを見たことがあります。小さな機械が壁に取り付けてあって、水の入る部分が透明ガラス。その中に電気で熱するための金属の棒が通っています。ちょっと前の話なので今時こんな湯沸し器を使っている人がいるのかは分かりませんが、当時は驚いたものです。
ベルリンは水の硬度が高い方で、カルキに悩まされます。普通に蛇口から水を出すと、水は透明で何食わぬ顔で流れて来ます。でも湯沸し器の方の蛇口を開き暫くすると、どういうわけか白い水が流れて来ます。60度ぐらいにすると、正体を現わします。ドイツ人もこれには困っているようで、コーヒーメーカーや鍋釜のカルキを取るための薬品を売っています。洗濯機もドイツでは中の水を95度、60度、40度、30度などと温めて洗濯するので洗濯機のカルキを取る薬品も売られています。ドイツ国内でもカルキの強さはまちまちらしく、薬品は3段階ぐらいに分けて、使用する時の量が表示されています。
ドイツに住む日本人が1番困るのがお茶。コーヒー好きのドイツ人も最近はお茶に注目し始め、紅茶だけでなく、日本や中国のお茶も良く売れています。私は離乳が終わった頃から紅茶を飲んでいたんだそうです。物心ついた時は確かに紅茶でした。それ以来朝は紅茶、昼間や夜は緑茶をがぶがぶという生活を送っていました。ドイツに来てからはもっぱら紅茶中心ですが、それでも緑茶も飲みます。そしてその日本のお茶と似たようなすっきりした味の紅茶をみつけ、キロの単位で買い込み、毎日飲んでいます。
ところがこのお茶を入れて1時間ほど放って置くと大変。上に油のような膜が張り、飲む気をなくしてしまいます。緑茶も暫く置くと緑がかった黄色だったはずが、どす黒い色に変わります。味もどうもすっきりしません。
洗濯物がバリバリになるのと同じく、ここでもカルキの威力を思い知らされます。と、ここでめげては行けません。対策があります。
たいていのドイツ人から薦められるのが水フィルター。最近では日本文化がある程度浸透していて、日本人がたくさんお茶を飲み、その時水がとても大切だという事はドイツでもかなり知られています。そして「ドイツ人はフランス人に比べると味に無関心だ」などと言われていますが、この言葉と裏腹に、味を大切にしている人は結構います。ですから可愛そうな日本人がおいしいお茶を飲めなくて困っているという図式も浮んで来るようです。せっかく親切に薦めてくれたフィルターですが、それほど効果はなく、フィルターする薬品に発癌性があると言われてみたり、長い間フィルターの特殊な部分を交換しないと雑菌が発生して病気になるなどと芳しくない噂が立ったりしています。
お金が無かったから買わなかったのですが、その決定、どうやら賢明だったようです。病気になるとかという理由ではなく、ためらっている間に別な方法を聞いたからです。
ドイツには Dr. Oetker という有名な科学者がいて、その人の会社からは食品に関する製品が山のように発売され、大成功しています。医者のような白衣姿の先生が台所まで出向いて来て、健康のご高説を聞かせてくれる、塵一つない手術室のように清潔なキッチンという変なイメージを持ってしまったため、私はこれまで敬遠していました。博士の名誉のためにこのイメージは撤回。実はほうれん草のピザを買ったら物凄くおいしかったもので(すぐ食べ物で誤魔化されてしまいます)。
話が横にそれましたが、この会社から Hausnatron なるものを発売しています。Haus は家だからすぐ分かるとして、Natron は何でしょう。調べてみるとソーダとあります。これを買ったのは堅い肉を柔らかくしようとしてのことなのですが、《お茶を入れる時の水にも混ぜるといい》と書いてありました。ソーダというのはどうも納得できなかったのでもうちょっと調べてみたら重炭酸ソーダのことだったんですね。台所用語で言うと重曹。ああ、なるほど重曹ならまあ聞いたことがある、というので一安心。言われた通り耳かき一杯分ぐらいを、お茶を入れる時にポットに入れると確かにちょっと味が違います。でもこれ、じき止めてしまいました。白い粉を耳かき一杯お茶のポットに入れるっていうの、どうも、何かこう砒素をこっそり混ぜているようなイメージで、アガサ・クリスティーとかS・S・ヴァン・ダインのようで行けません。子供の頃から探偵小説を読み過ぎたようです。
化学的に考えればお酢やレモン汁を混ぜてもカルキは取れます。でもまさか緑茶にレモンというわけにも行きませんしね。と、油断していたら最近町では緑茶にレモンや桃のフレーバーをつけたグリーンティーなる物を売り出しました。私はまだ恐くて手を出していません・・・なんちゃって、結局はそのうちに・・・。
というわけで結局これもだめ。そこに登場したのが「決定版!カルキを締め出せ!」作戦。コロンブスの卵のようで、聞いてしまうとあっさり納得。メリタなどが売っているあのごく当たり前のコーヒーの紙フィルター。ゴッソリ取れます。冷たい水をフィルターで通しただけでも多少引っかかりますが、湯沸し器で熱くしてから通すともっと効果的です。なんせ水が白く濁っていますからね。1度でもかなり取れますが、暇な時には2度漉しする時もあります。とにかくこれであのどす黒い色のお茶とはさようなら。
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