映画と関係ないページ
事件発生:2001年3月
逮捕:2002年12月
ハンニバル・レクター博士と違い、実話。《気色悪い》ページです。趣味でないとおっしゃる方は飛ばして下さい。目次へ。映画のリストへ。
続続報: このニュース見事にメディアから消えました。次に登場するのは恐らく裁判が始まる時でしょう。
続報: どのニュースでもこの事件のコーナーを設けてはいますが、静かな扱いです。余罪が心配されているのですが、今のところ出て来ていません。留置場で加害者はこの事件について淡々と自供しているそうです。静かな発言ですが「ドイツには 800人 ほど同じ趣味の人がいる」などという言葉が飛び出します。時たま周囲の人の取材が出ますが、被害者や加害者が精神異常だったなどという噂も無く、ごく普通の市民生活を送っていた事だけが証言されています。何も変な所が無かったというところが怖い。
全然違う記事を予定していたのですが、ドイツでとんでもない事件が起きたので、速報を入れます。私たちはトーマス・ハリスなどを読んで「怖い怖い」と言いながら、実は楽しんでいますが、《現実の方が怖い》という事件に出くわしました。本物のカンニバーレ(人肉嗜食者)が警察に捕まりました。
ドイツ人は映画や小説などでは猟奇事件の犯人にされ易く、ドイツ系のアメリカ人を悪者にしておけば皆納得して話は丸く収まる、みたいなところがありますが、その割には実際の猟奇事件は少なく、この10年ほどでは日本にすら追い抜かれている有様です。そして今回のような事件は過去にオーストラリアとアメリカにあったのだそうですが、ドイツでは初めてらしいです。以下ローカルの報道をまとめてできるだけ、起きた順にまとめてみます。
2000年、ベルリン。大手ハイテク企業のエンジニアがインターネットの広告に応じ、西南ドイツの小さな町に旅立ちます。44歳(42歳という説もあります)、エンジニア、過去に結婚していた人で現在独身。旅立つ前に高価なコンピューターなどを売り払ったという説と、死後友人に贈るという遺言を残したという説が報道されています。
↓西南ドイツの小さな町には亡くなった母親から50近い部屋のある大きな家を受け継いだコンピューターの技術者が住んでおり、インターネットの広告に応じたエンジニアを待っていました。現在41歳ですから、当時は30代の終わり。母親が生きている間はお母さん子、死後ガールフレンドができたもののうまく行かなかったそうです。コンピューターの技術者になる前は職業軍人で、家族は固い職業についています。近所の評判は良く、礼儀正しかったようで、およそ犯罪とは結びつきませんでした(まるで小説から借りて来た設定のようですが、現実)。
↓2人は合意の上で、エンジニアの体の一部を切り取り、料理して2人で(!)食べ、その後エンジニアは技術者に殺されます。その様子は全て合意の上でビデオに収まっています。残った技術者はエンジニアの体をばらばらにして、冷凍。時々食べていたようです。
↓当時ベルリンの同僚などが失踪届けを出していますが、長い間みつかりませんでした。インターネットをサーフしていた人が変な広告に気付き通報。警察は再び動き始めます。広告主を突き止めるのは簡単で、あっけなく御用。
↓犯人は犯行を隠しておらず、素直に自供しており、家にはかなりの数のビデオが残っています。証拠隠滅の形跡も無いようです。現在自供に基づいて敷地内の掘り返しが進んでいます。
事件担当の刑事たちは心理学者のカウンセリングを受けながら仕事を続けていますが、余罪が出て来るかもしれず、言葉で表せない精神的な負担を受けているようです。恐々核心に近づいています。
犯人の余罪が心配されているのは、新たにインターネットに広告を出しているから。・・・という事は繰り返しているかもしれない、と心配されています。地下室に屠殺場があり、冷凍冷蔵庫からは凍った肉が発見され、骨とビデオがみつかっています。
本人は捕まってから素直に自白しているのだそうで、ラジオは犠牲者と合意の上の事だと言っており、ビデオにもそれを証明するようなシーンがあるようです。インターネットにはこの男が相手に何を期待しているか比較的分かりやすく書いてある広告が80近く出ていたらしく、少なくとも5人が連絡して来ていたという話です(この点に関しては否定する報道も出ています)。
事件が事件なので本来なら日本で言うならスポーツ系の新聞などが大騒ぎしていいはずですが、今のところ事の割に静かという印象です。まじめな新聞、雑誌、ラジオが報道し、スポーツ誌は多少トーンを落としている感じです。
犠牲者と犯人があまりにも納得しながらやってしまい、立件するにもいわゆる一方的に犯人が悪い殺人罪にはなりにくいなどの点が、周囲をぞっとさせ、沈黙させているのかと思われます。食べたという事自体には刑法がなく、怪我をさせた、殺した、死体を損壊したという事で立件になるのではないかと思います。事件があまりにも軌道を外れているので、どう言っていいか分からず戸惑ってしまったというのが現状なのかも知れません。
ドイツ人のカンニバーレ事件で有名な話では、第1次世界大戦の直後ハノーファーで肉屋がもしかして24人殺し、格安の肉として客に売っていたかもしれないというのがあります。大戦直後の食糧事情につけ込んだのでしょう。この話は日本にも伝わっており、ドイツ人の評判を落とすのに貢献してしまったように思えます。しかし事件の根本の性質は両者でかなり開きがあります。今回の事件は当事者の個人的な考え方、好みの問題だったようです。
人々が強制もされないのに沈黙するのは、当事者が2人とも通常反社会的な行動を取る人間ではなく、インテリジェンスもあり、お金にも困っていなかった上、犯行が本人たちの希望で行われたという点が引っかかるからでしょう。《あいつは頭がおかしかったのだ》とか、《あいつは気の毒にも狂人の餌食になったのだ》と言えると、無理をしてでも取り敢えず事件を呑み込めるのに、今回の事件にはそういう言い訳けのきっかけが一切無かったので、新聞を読む人は消化不良を起こしてしまったのでしょう。
レッド・ドラゴンを見終わってから知った事件です。こんな報道を見てしまうと、3本立てのジョークがジョークでなくなり、楽しい映画も楽しめなくなってしまいます。
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