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2002 USA/Kanada 105 Min. 劇映画
出演者
Ray Liotta
(Henry Oak - 麻薬関係のベテラン刑事、カルベスのパートナー、死後はテリスのパートナー)
Donna Croce
(オークの妻)
Jason Patric
(Nick Tellis - 麻薬専門の潜入捜査官)
Krista Bridges
(Audrey Tellis - ニックの妻)
Gavyn Donaldson
(ニックの息子、2人1役)
Myles Donaldson
(ニックの息子、2人1役)
Alan Van Sprang
(Michael Calvess - 死亡した麻薬専門の潜入捜査官)
Anne Openshaw
(Kathryn Calvess - マイケルの未亡人)
Stacey Farber
(Kathryn - 少女時代)
Mallory Mahoney
(マイケルとキャスリーンの娘)
Carly Marie Alves
(Lilian Rose Calvess)
Chi McBride
(Cheevers - 殺人課の警部)
Tony De Santis
(Art Harlan - 検死官)
Dan Leis
(Elvin Dowd - 麻薬の売人)
John Ortiz
(Octavio Ruiz - カルベスの情報屋)
Bishop
(Eugene Sheps - 麻薬の濫用で病院に担ぎ込まれたジャンキー)
Busta Rhymes
(Darnell Beery - 自動車修理工、麻薬の売人)
Richard Chevolleau
(Latroy Steeds - 自動車修理工、ダーネルの相棒)
Lloyd Adams
(Walter Dandridge)
見た時期:2004年1月
ファンタで是非見ようと思っていたら、他の作品と重なり、そちらの方がベルリンで見る機会が少なそうだったので、やむなく延期。先日 DVD で見ることができました。力作です。
私はレイ・リオッタをひいきにしているのですが、時々変な役やあまりぱっとしない役もありました。実力はあると思えるのですが、どうも変な役をオファーされることもあったようです。
これまでに見たのは
まだ見ていないけれど是非というのが
最近見たアイデンティティーはジョン・キューサックと絶妙なコンビで非常に良かったです。NARC ナーク はどうやらアイデンティティーの直前に撮影されたようです。アイデンティティーはユージュアル・サスペクツのように、見終わってから確認のためにもう1度見るのも楽しいです。しかしとにかくキューサックとリオッタというこれまで全然別人だと思っていた2人が非常に似た雰囲気を出しているのがおもしろいです。話の筋から言うと似ているのが当然なのですが。あっ、ばらしちゃった。すみません。
リオッタの魅力はキューサックと同じく目。清廉潔白誠実そのものに見えるキューサックに比べ、どことなくいかがわしさが漂うところが良くてファンになったのです。ところが NARC ナークのヘンリーの役はいかがわしさとは全然違い、怪しい面が強調されており、この新しい役まわりでも成功しています。「いかがわしさと怪しさ、そんなものは同義語だろう」とおっしゃる方、是非 NARC ナークをごらん下さい。普段のリオッタはいかがわしい、NARC ナークのリオッタは怪しいとはっきり区別できるようになります。そんなリオッタ分類能力を身につけても何の役にも立たないじゃないか。 − 確かに。話を元に戻して、何しろ姿がもういつものリオッタと違うのです。すらっとしていたリオッタがどっしり太め。肉布団がずしっと入っています。あの巨体で殴られたらさぞかし大変だろうと思っていたら、ソックスにビリヤードのボールを入れて、警察署の中で容疑者をしたたか殴ってしまいます。このキャラクターはちょっと脚本の失敗かとは思いますが、迫力です。
なぜ失敗かと言うと、彼の役は冷静さをベースにして、よく考えた末の出来事ということになっているからです。激怒に任せて無茶をやる部分と、他の冷静な面がマッチしません。しかしプロットのミスというほどには目立たず、ジェーソン・パトリックと2人で謎の事件を追います。
パトリック演じるニックは任務の途中で一般市民に死者を出してしまい、停職中の潜入捜査官。しかし有能だったので、警察の方も何とか復職させようとして、妥協案を出します。彼はそれを呑んで職場復帰。プロファイラーとか潜入捜査官という職業は私生活もかなり侵食されるようです。そのためニックの家庭も犠牲になりそうな様子。リオッタ演じるヘンリーはそういう暗い話はもう過去で、現在はからっと独り身。仕事に打ち込んでいますが、打ち込み過ぎてビリヤードのボールで逮捕された容疑者も打ち込んでしまいます。これはやり過ぎ。上司は適度に目をつぶっています。こんな有能な刑事は辞めさせたくないということです。彼を仕事に駆り立てているのは麻薬という犯罪。この犯罪に我慢がならないのです。麻薬に絡んだ事件は私も特に嫌っていますが、あまりにも規模が大きくて市民1人では到底戦えないといじけてしまいます。自分が教えている若い人を麻薬から遠ざける、世の中には他にもっといい事がある、とそちらに目を向けさせるのがせいぜいでした。人が麻薬に手を出さなくなるような社会を作るのが早道ですが、それを分かっていても実行するのは大変。ヘンリーやニックはそういう一般人と違い、じかに密売人と接しています。ですから命の危険の大きさ、そして1人逮捕してもまた次が・・・という無力感との戦い、家庭が犠牲になる同僚などを横目で見ながらの毎日です。あまりやり過ぎるとやがて自分の家庭がギクシャクし始めたり、自分が中毒になってしまったりと危険きわまりません。それでも仕事を続ける人がいるんだという警察の宣伝映画でもありますが、非常にまじめに撮ってあります。
身を削って家族の平和を犠牲にしてまで働く麻薬捜査官の生活はフィルム・ノワール風というか、ハード・ボイルド風に良くでき上がっています。カメラも寒々としていて、筋にマッチ。そして何よりもリオッタがこういう深みのある役を貰ったというのがファンにとってはうれしいです。以前は精神異常者の役のオファーが多かったようですが、やってみればコメディーも似合うようです。コメディーといえばハートブレーカーですが、ハンニバルでもホプキンスと2人コメディーを演じているつもりだったらしく、撮影の合間には大笑いしていたとのこと。そして NARC ナーク はかみさんにプロデュースをさせています。それともかみさんが作品を見つけて来て、亭主に主演をやらせたんでしょうか。いずれにせよ、夫婦で気に入ってこの作品を選んだようです(リオッタにかみさんがいて、子持ちと聞いた時は一瞬唖然としましたが、私生活と仕事上のイメージが違うのはこの商売では当たり前)。興行的には大成功はしませんでしたが、レイ・リオッタを見直した人は多かったです。DVD 店ではよく見かけます。
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