音楽のページ
考えた時期:2004年2月
あのザ・ファンク・ブラザーズが2月上旬ベルリンにやって来たのです。テンポドロムという有名な会場で演奏しました。ここはコンサートを聞くにはあまりベストの場所ではないという風に私は考えているのですが、ザ・テンプテーションズを見たのも、ザ・コミットメンツのアンドリュー・ストロングを見たのもここでした。座席に座って有名な音楽家の演奏を聞くという発想は近年のドイツにはあまりないようで、大きなフロアーがあり、前の方に舞台が作られ、真中よりやや後ろの方にミキサーの座る場所があり、あとは勝手にせいという態度です。会場全体はテントで被われており、風が吹くような大嵐の日は結構大変。ここは建物ではなく、テントなのです。しかしザ・テンプテーションズやザ・コミットメンツ出るような場所ですから、ザ・ファンク・ブラザーズがここに来るというのも自然と言えば自然。私にとってはザ・テンプテーションズやザ・コミットメンツは永遠のアイドルみたいなもので、本心を言うと、もうちょっと丁重な扱いをしてあげたいところ。しかし逆に建物の奥に入ってしまい、ボディーガードに囲まれ、全くファンが近づけない超高級コンサートホールでは、私たちは疎外されたように感じてしまうから、テントの方がいいという考え方もできます。
私は残念ながらザ・ファンク・ブラザーズを見に行けませんでした。諸々の他の事情もあったのですが、なぜかちょっとためらってしまったのです。あの記事を読んでしまったせいではないかと思います。最近モータウン、ソウル歌手は受難時代に入ったようで、ダイアナ・ロス、ジェームズ・ブラウンのペケ事件、マイケル・ジャクソンとジャネット・ジャクソンの大騒ぎがあり、どうも歌でない事で話題に上ることが多過ぎる感があります。私はあの人たちには是非歌を歌ってもらいたいのです。先日すてきな思いやりを発揮してくださった方がおり、私は当時のモータウンをたっぷり見る機会がありました。まだ溌剌としていたあの当時のスターを次から次から見ることができました。私をすっかり虜にした理由は40年経った今でも分かります。みなが喜びにあふれた表情で生き生きと歌っています。デビューした時点ですでにかなりの実力を持っていた人ばかりですから、実力は40年経って磨かれこそすれ、落ちることはないでしょう。ザ・テンプテーションズを見た時も、メンバーの大部分が交代しているとはいえ、歌の下手な人はいませんでした。暫く歌っていない人でもあの当時あれだけの実力があれば、ちょっと練習しただけで元に戻るでしょう。ザ・テンプテーションズを見ていた時、メンバーの1人の語りが長かったので、客席から Sing a song, brother! と野次が飛んでいましたが、私も「歌ってくれ!」と言いたいです。新曲でなくてもいいのです。当時の曲だけでも充分。イントロを聞いただけで心がウキウキして来るのです。
さて、ベルリンに来たザ・ファンク・ブラザーズの方ですが、報道写真を見ると左からテナー・サックス、キーボード2人、ドラムズ、ビブラフォン、ベース、2人目らしいドラムズ、ギターが3人見えます。そのさらに後ろにどうやらブラスがもう少しいるようです。記事は一応表向きのストーリーを伝え、デトロイトが中心に話が進んでいます。ベルリンに出演を予定されていたアイザック・ヘイズは急に出演を取り止め、これで南北ソウルの和解はできなかった、残念だ(アジアの某国の話ではありません)と書いています。代わりに来たのはビリー・プレストン。ドイツ側からのゲストとしてシュテファン・グヴィルディスが出演し、 Papa was a rolling stone を歌ったそうですが、新聞はあまり良く合っていなかったと書いています。プレストンのコンディションも良くなかったそうです。もう1人のゲスト、スティーヴィー・ウィンウッドが良かったと誉めてありました。彼は What's going on を歌ったようです。ダブリン・ソウルもザ・コミットメンツで名前が知られましたが、ウェールズのトム・ジョーンズも白人。しかし歌はブラック。いいんですよ、肌の色はどうでも。ジミー・ラビットが言っていたように、魂がブラックであれば誰が歌ってもいいんです。アフリカ系のオペラ歌手、白人のソウル歌手、日本人のヨーデル歌手。ちゃんと歌えれば誰でもどうぞ。
後記: 先日一連のヒット統計を出した雑誌と同じぐらい有名な雑誌が最新号でジョシュ・ストーンを扱っています。白人、英国人、中流階級で、全く人生の苦労を知らない16才なのだそうですが、素晴らしい喉を持っていて、これまでの人生の重みを歌にするというイメージを打ち破ったと書いてあります。わがままなジコチュー娘ではなく、親の言うことを素直に聞く洞察力のある少女らしく、将来性は保証してあります。是非そのうちに聞いてみたいと思っています。
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