映画のページ
2003 USA 137 Min. 劇映画
出演者
Sean Penn
(Jimmy Marcus - キオスクのおやじ)
Emmy Rossum
(Katie Marcus - ジミーの娘)
Laura Linney
(Annabeth Marcus - ジミーの後妻)
Tim Robbins
(Dave Boyle - ジミー、ショーンの親友)
Marcia Gay Harden
(Celeste Boyle - デイブの妻)
Kevin Bacon
(Sean Devine - 刑事、ジミー、デイブの親友)
Laurence Fishburne
(Whitey Powers - 刑事、ショーンの同僚)
Tom Guiry
(Brendan Harris - ケイティーのボーイフレンド)
Spencer Treat Clark
(Ray Harris - ブレンダンの弟、口がきけない)
見た時期:2004年2月
25年前3人の少年がボストンのアイルランド人のコミュニティーに住んでいました。路上でいたずらをしていたら、刑事風の男が2人現われ、子供たちを叱り、1人を車で連れ去りました。連れ去られたデイブは4日間行方不明になり、その後すっかり混乱して戻って来ました。性的ないたずらを受け、精神的なショックはその後の25年に深い傷を残します。
少年3人はそれぞれ別な道を歩み、ジミーは1度前科ができた後、娘を思い更正。妻に死なれ、再婚し、現在は家族で仲良く暮らしています。ショーンは刑事になり結婚しましたが、妻と上手く行かず現在別居中。デイブは結婚し、子供ができましたが、何かあると脆く崩れそうな危ない生活を送っています。
そこへ降ってわいたように2つの事件が起きます。1つはデイブがもしかしたら人を殺したかも知れないこと。夜酒場から帰る途中に襲われ、相手を殺してしまったかも知れないと妻に打ち明けます。手に怪我をし、血を浴びて帰宅しました。
もう1つの事件の方が注目を浴びます。ジミーの19才の娘ケイティーが何者かに殺害されているのが発見されます。暴力の痕跡はありますが、性的な暴行の形跡はありません。
実はケイティーはボーイフレンドのブレンダンと駆け落ちを計画していたため、ブレンダンが容疑者として上がります。その一方で手に怪我をしているデイブに疑いの目を向けている刑事もいます。捜査にあたるのが皮肉なことに当時の親友ショーン。ある意味で不自然な組み合わせではありますが、こういうコミュニティー出身の友達が大人になって敵対する職業につくという話はシティ・オブ・ゴッドなどにも出て来ました。
大金持ちはいない地域で、皆ぎりぎりのところで生きています。夫が刑務所に入ったりすると妻はすぐ苦労。ですから夫が人を殺したかも知れなくてもデイブの妻は黙る覚悟はできていました。ところが同時に起きたケイティーの殺人事件。そしてデイブの言っている男の死体は一向にあがって来ません。ケイティーは徐々にデイブが殺したのはケイティーではないかと思い始めます。観客にも性犯罪でなく暴力犯罪だと分かってくるので、危ない精神状態のデイブの犯行と言われればそのまま納得しそうな雰囲気になって来ます。
事件を追う刑事2人の間では意見が分かれ、ホワイティーはデイブを怪しいと考えます。友達をひいきしてのことなのか、冷静なのか、ショーンはもう少し他の部分もと、デイブ1人に絞りたがりません。その間に古い記録が出て来たりして、過去の事件が浮かび上がって来ます。ケイティーと駆け落ちする予定だったブレンダンの父親が行方不明になる前に使った銃と同じ凶器がケイティー殺害に使われているのです。
ブレンダンの家族は何年も前に父親が家族を放り出してトンズラ。毎月どこかから生活費が送られてくるので、家族は何とか暮らして行けます。弟のレイは口が利けず、兄は手話を習い弟と会話をしています。ブレンダンの父親は過去にジミーと関わりがあり、当時ジミーは彼に裏切られた形なので、現在ではジミーとブレンダンの家族は仲良くしていません。当時司法取引が行われ、ジミーは罪になりませんでしたが、ブレンダンの父親は町から消えています。犯行に使われた銃はそのまま家に隠してありました。
このあたりから観客はデイブを徐々に容疑からはずしにかかります。過去の行きがかり上ジミーは娘がブレンダンに近づくのを嫌います。ブレンダンの母親もジミーの一家を毛嫌いしています。ケイティーとブレンダンは言わばロミオとジュリエットのようなもので、駆け落ちという手段を選ばざるを得なかったようです。ですからケイティーの死はブレンダンには本当に大きなショックだったのです。しかし彼以外の家族に同情心はありません。
凶器に近づける人間、性的な暴行でなく、暴力だけの襲撃、それも襲った側は素手でなかった可能性がある、ブレンダンとケイティーの関係をこころよく思わない人間、と布石をたどって行くと、デイブはだんだん容疑の焦点から外れて来ます。
デイブはセレステの告白で彼を黒だと思い込んだジミーとサベージ兄弟に片づけられてしまいます。ティム・ロビンスは自分の立場を充分理解できていない上、言葉に長けていない男を上手に演じています。他方、ショーン・ペンは情熱を入れ過ぎた演技で、却って嘘臭くなってしまいました。
警察の方では徐々に真相に近づいており、当時のジミーとブレンダンの父親の事件について詳しい事が分かり、ブレンダンを尋問します。観客にはブレンダンが白らしいと見えますが、武器については口をつぐんでいます。警察から解放され、家で武器の隠し場所を見たら無い!これで観客には犯人が判明。ここにはわざわざ書きません。
というわけで犬死に終わったデイブ、誤解しても仕方ない状況で誤解したセレステの運命は過酷です。映画が終わる時点では誤認殺人のジミーはまだ自由の身。ショーンが「お前を捕まえてやるぞ」と言っているようにも取れるしぐさをするところで幕。
あっ、ジミーにはもう1つ秘密がありました。ブレンダンの父親が事件の後消えたのはジミーが消したから。送金はジミーの手配で行われていました。毎月500ドルほど。10年以上送金をしています。これからはデイブの家族にも送るので毎月1000ドル。殺しておいて、遺族年金を出す町の顔役。ブレンダンの父親の場合は本人にも落ち度があるので、殺されるのも闇の世界では仕方ないかと思いますが、デイブは浮かばれません。
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