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2004 USA 95 Min. 劇映画
出演者
Sarah Polley
(Ana - 看護婦)
Ving Rhames
(Kenneth - 警官)
Jake Weber (Michael)
Mekhi Phifer
(Andre - ルダの夫)
Inna Korobkina
(Luda - アンドレーの妻)
Michael Kelly
(CJ - ガードマン)
Kevin Zegers (Terry)
Lindy Booth (Nicole)
Bruce Bohne (Andy)
Ty Burrell
(Steve - 背広の男)
Kim Poirier (Monica)
Boyd Banks (Tucker)
R.D. Reid (Glen)
見た時期:2004年3月 ファンタ前夜祭
2004年 ファンタ前夜祭 1
世界初公開。アメリカの初公開の4時間前に始まりました。アメリカの順位ではいきなり1位に飛び込み、メル・ギブソンのパッションは1位をあけ渡しました。パッションはちょっと疲れる映画なので、口直しにゾンビというのはぴったり。
95分ということですが、内容がいっぱいでもっと長く感じました。
★ ゾンビは早い!
同名の1978年の作品のリメイクです。解説によると前の作品をきれいに越えてすばらしい出来だとのことです。いくつかパクリがありますが、元の作品のパクリ中心なので許されます。当時のプロデューサーがこちらにも参加していますし、当時の脚本を元に作ってあります。
前の作品がどうだったかは知らないので前提にできませんが、2004年版は力がこもっていました。ミスティック・リバーやパッションなどと比較しては行けません。この作品と比べるべきはまず何よりもスパイダー・パニック!。ちょっとレベルが上の28日後・・・もいいでしょう。肉砕け散り血飛沫が飛び交うゾンビ物語から上手にスパイダー・パニック!のような立て篭もり、脱出作戦へと移行します。そして最後は・・・?スパイダー・パニック!より結末はシビア。しかし全体はザッツ・エンターテイメントの色彩で統一してあります。わりとインテリの嗜好にも耐える28日後・・・と比較できるのは町全体がゾンビと化して、大勢のゾンビ対僅かな人間という対決になったり、ゾンビがやたら早く走り回る点です。
28日後・・・を見るまでゾンビがこんなに素早く走るのか、ゾンビはオリンピックに 向けてトレーニングをしているのかと考えたことはありませんでした。しかしゾンビの動く速度を速めると、観客の恐怖は増します。ノソノソやって来るゾンビなら、迎え討つ側に準備する時間があって勝ち目があります。しかし何千人ものゾンビがあっという間に群がって来て人間を食い殺すとなると、一瞬の判断を迫られ、観客はドキドキ、ハラハラ。
出演者で有名なのはヴィング・レームス程度。他には有名人は出ません。主演の主人公の1人サラ・ポリーは口を閉じているとウマ・サーマンのような感じのブロンドの女性。強そうに見えないのに頑張るところがいいです。共演者のアンサンブルは調和が取れています。
★ あらすじ
筋はと言うと、28日後・・・のような説明は一切抜きで平和な町がゾンビに占領されてしまいます。アナも目の前で娘がエクソシストのような感じのゾンビになり、最愛の夫を噛み殺し、優しかった夫が危険なゾンビになるところを目撃します。これは伏線。彼女はこの体験でゾンビの恐ろしさを一瞬のうちに悟ります。で、娘と夫を断念して車で脱出。既にここで一瞬の判断を迫られます。
取り敢えず町を出たものの、その後もゾンビに追いかけられ車は大破してしまいます。ようやく車から這い出して来た時に制服警官ケネスと出会い、一緒に移動し始めます。道中さらにカップルのアンドレーとルダ、と男性マイケルに出会い、5人でショッピング・モールへ避難。このショッピング・モールが砦のようになります。
そこで最初の試練。ドイツやスイスでも見かける大規模のモールなので、食べ物、衣類などが揃っていますが、事の重大さをまだそれほど真剣に取っていないガードマンが3人いて、避難して来た5人を泥棒扱い。部屋に閉じ込めてしまい3対5の対立が起きます。中の1人がだんだんアナの側に傾いて行き、無茶を言う2人を逆に閉じ込めてしまいます。一方外ではどんどんゾンビが増え、かろうじて生き残ったアンディーが隣の建物に立て篭もっていることが分かります。アンディーとアナたちは大きな板にメッセージを書いて、望遠鏡で見せ合って会話。真向かいの建物ですが、危険で近づくことができません。モールは大型トラックで逃げ込んで来た人たちが加わり、やや人数が増えます。
ゾンビに噛まれた人は死んだ直後にゾンビになるということが分かり、1度噛まれてしまうと今元気な人でもやがては・・・ということで生存者は苦しい決定を迫られます。最初に来たルンルン・カップルも奥方が噛まれていたらしく、夫はやむなく彼女を部屋に閉じ込めます。間もなく2人の子供が生まれるのですが・・・。
といった風にショッピング・モールでドラマが一通り展開した後、近くにある島へ避難しようということになります。幸いバス、工具、食料などが揃っていたので、全員協力してバスの改装にかかります。その頃までにはワカラン人だった2人のガードマンも事の重大さを悟り、全員仲良くなり始めます。エゴ、ジコチューなどと言っている場合ではないのです。隣のアンディーも連れて行こうというのでまた1つドラマ。
で、全員車に乗って外へ。そこからは恐ろしい数のゾンビに群がられ、脱出はほとんど不可能に見えます。撃ちまくり、斬りまくるものの車1つは放棄せざるを得なくなり、多少犠牲者も。ようやく港にたどり着いて、さて・・・。ここから最後まではちゃんと見ましょう。
高度な知識がなくても、ポップコーンが充分あれば楽しめます。私が誉めたいのは、こんなつまらない筋をここまでハラハラさせる展開にし、生存者の間のやり取りも退屈しないようにできている点。ゾンビという点を除けばB級アクション映画ですが、ヴィング・レームズ以下よく頑張っています。あくまでもB級ですが、おもしろいB級の方がつまらないA級よりいいという視点からすると、この日のナンバー・ワン。ファンタ前夜祭のオープニングを飾るにふさわしいです。
今年は去年と違い、普段ファンタをやる会場でなく、地下。こちらは大きさから言うとファンタのメインのホールとほぼ同じぐらい観客を収容でき、この日はほぼ満員。2日の券は別々に買えますが、1日分の券を買うと3本セットで、どれか1つだけ見るということはできません。それを嬉々として買ったのはファンタの常連。知っている顔がたくさん。
この映画館は大手の映画デパートで、20近い大小のホールがあります。本式のファンタはその中で1番いいホールとその隣のやや小さいホールを使います。今年の前夜祭は売れ行きが良かったらしく、去年と同じ場所では入り切れませんでした。こんな大きな映画館でこんなにたくさんホールがあると普通は人間的な繋がりができず、客は放り出されたような感じになってしまいますが、ここは例外。最後の映画が終わったのは夜中の3時近くでしたが、「間もなく閉館にする。僕たちも疲れたから、早く帰って」というような趣旨の人間的なアナウンス。安い給料で働いている人たちですが、ファンタの時は従業員の親切さが目立ちます。
アメリカより4時間早かった。世界で最初にギャーっと言ったのは私たちだった!
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