2004年　ファンタ前夜祭

これぞファンタという典型的な作品。死体の山で終わります。誰が犯人なのか、なぜ彼が犯人なのか、などについてはあまり現実的な説明はなく、観客はそういうものなのかと受け入れる以外に方法はありません。要はたくさん殺されてたくさん血が流れればいいのです。期待ははずれません。

あって無いような筋は以下の通り。

家賃が安いというので古いアパートに越して来た夫婦。夫は病院勤務なので出かけていることが多く、主婦の妻は1人で地下室へ洗濯に行ったり、近所の人と知り合ったりして時間を潰し始めます。

ところがせっかく知り合った人が急に消えてしまったり、隣から物凄い悲鳴が聞こえたり、不思議なトンカチの音が聞こえて来たり・・・。ああ、孤独な専業主婦の妄想が始まったのだなと思います。

警察に通報し、警官も調べに来ます。しかし折り悪く（？）それは俳優が練習をしていた・・・、壁の穴から変な物を発見・・・など、観客は主人公の立場で見ているので、このアパートはおかしいと思いますが、他の登場人物にはそういう事が全然分かっていないという展開で話が進みます。

誰にも信じてもらえない主人公はしかしまだ映画の途中なので、さらに様子を探って行きます。秘密の通路発見。たまたま覗き趣味の少年が撮っていたビデオに女性が殺されるシーンが映っていたので、少なくとも少年と主人公の夫は話を信じ始めます。ところが肝心の奥方は失踪。

少年が改めて警察に通報。まだ残っていた住民も一緒になって探し始めますが、1人、また1人消え・・・。

最後は少なくともこの夫婦は助かるのですが、続編が作れなくもない終わり方。

主演を張っているのがファンタ・ファンにやや知られて来たアンジェラ・ベッティス。普通の映画の主演を張るようなタイプではなく、小柄、非常に痩せていて、やや病的な目をしています。ジェニファー・ロペスやジュリア・ロバーツと全く反対のタイプです。しかしこういう作品にはぴったりで、観客には彼女の精神が病んでいるのか、周囲が変なのかなかなか分かりません。

見ていて痛々しいほど痩せているので、殺人鬼と対決したらあっという間にやられてしまうだろうと思いきや、頭を使い、行動力いっぱいで、だんだん核心に近づいて行きます。悲しいかな、主婦のたわごとと信じてくれない人が多く、1人で懐中電灯持って歩き回るしかありません。他の映画ですと、なぜ警察を呼ばないのかとか、応援を頼まないのかとストーリーに腹を立ててしまいますが、ツールボックス・マーダーでは彼女がなぜ単独行動を取るのか説明されています。

実はこのアパートには謎が隠されている・・・わけですが、その辺の与太話はあまり真剣に取らず、あとは次々山積みされる死体を見て悲鳴を上げましょう。ポップコーンがあると楽しいです。