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フォーガットン /
The forgotten /
Die Vergessenen

Joseph Ruben

2004 USA 91 Min. 劇映画

出演者

Julianne Moore
(Telly Paretta)

Christopher Kovaleski
( Sam- テリ−の息子)

Matthew Pleszewicz
(Sam、5歳)

Anthony Edwards
(Jim Paretta - テリ−の夫)

Gary Sinise
(Jack Munce - テリ−の精神分析医)

Dominic West
(Ash Correll - 元ホッケー選手、娘がサムの友達)

Kathryn Faughnan
(Lauren Correll - アッシュの娘)

Alfre Woodard
(Anne Pope - 市警の刑事)

Robert Wisdom
(Carl Dayton - NSA エージェント)

Lee Tergesen
(Al Petalis - Quest 社の男)

Ann Dowd
(Eileen - 財務処理をしている女性)

見た時期:2004年11月

要注意: ネタばれあり!

直接のショーダウンは書きませんが、かなり筋がばれます。日本ではまだすぐ公開されないような雰囲気ですが、映画を先に見たいという方は退散してください。
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画面は暗く、主人公が動き回るのは秋のよう。ニューヨークの寒そうな雰囲気がよく伝わって来ます。主人公が暗く寒く感じているので季節を秋にしたのでしょう。

テリ−は1年ちょっと前に息子サムを飛行機事故で無くしてからしょげ返っています。子供10人を乗せた飛行機が墜落してしまったのです。1人息子の死に耐えきれず、精神分析医にかかっていますが、まだ回復していません。自宅には思い出の品が大事にしまってあり、毎日取り出してはため息をついています。

ある日家に帰ってみると、思い出のアルバムは白紙、ビデオは消されています。写真にも夫婦は写っていますが、サムは写っていません。誰かが写真の中から、息子だけを消してしまった・・・。しかし夫のジムは「テリ−は前に流産した。自分たちには子供はいない」と言うのです。「テリ−は幻想を信じているため精神分析医にかかっており、医者もゆっくりとテリ−を現実に戻そうと努力している最中だった」と言うのです。

患者テリ−は絶望の中で大混乱。分析医が自宅にまで出張して来てくれ、夫と2人で気持ちを静めさせようとします。「精神病院に閉じ込めずに治療しようと思ったんだけれど、駄目かなあ」などと話し合っています。問題なのはこの分析医がゲーリー・シニーズだという点。怪しいなあ。簡単に信じては行けませんぞ。

後記: シニースは今時信じられないぐらい長く続くテレビ・ドラマで立派な人物を演じていますが、映画ではよく怪しげな人物を演じ、最後は犯人だったりします。こういう風にテレビと映画で役の演じ分けをする俳優はかなり前からいます。

絶望したテリ−は家を飛び出し、近くをさまよいます。息子が生きていた頃良く来ていた公園などをぶらついています(彼女には写真など無くても息子の顔ははっきり思い出せるのです)。子供が生きていた頃の思い出は暖かい季節、今は寒い夜。しかしふと思いついて、アッシュ・コレルのアパートを訪ねます。アッシュも同じ事故で10歳前後の娘を失っているはずなのです。アッシュは元ちょっとは名の知れたスポーツ選手。現在はアルコール浸りの生活をしているようですが、そんなことはどうでもいい、アッシュなら息子を知っているはずだというわけです。

ところが不思議なことに、アッシュも「子供はいなかった」と言うのです。確かローレンという娘がいたはずなのですが・・・。強引にアパートに入り込み、子供がいない男に「あんたには娘がいた」と言うだけでなく、勝手に部屋を見て回り、壁紙まではがしてしまうので、アッシュは警察を呼びます。しかし警官が来る直前、テリ−が壁紙をはがしてみると、そこは子供部屋・・・。アッシュはテリ−を警察に渡しますが、頭の中には疑問符が植え付けられた様子。

テリ−は警察に連行されそうになりますが、そこへ NSA のエージェントが現われ、「この件は俺たちが引き受けた」と言って、市警から事件を取ってしまいます。そこへ突然何かを思い出したアッシュが飛んで来て、「逃げろ!」と言います。格闘の末とにかくパトカーからテリ−を逃がすことには成功します。

テリ−はひどく追い掛けまわされ、アッシュと一緒に逃避行。途中では別行動も取りますが、この後ほとんど2人で事件の解明に当たります。

一方目の前で管轄が変わり、事件を取られてしまった刑事は浮かぬ顔。「何でただの器物破損に NSA が出て来るんだ?」と言うわけで、簡単にあきらめません。

テリーとアッシュは《子供はいた》という前提で動き始めます。前に図書館に行って事故の記事を調べた時、新聞は一切事故を報じていなかったという点はテリ−が確認しています。自分のアルバムには記事の切り抜きが張ってあったのに・・・。子供を乗せた飛行機の会社名を覚えていたので、2人で出かけてみますが、廃屋。管財をやっているらしい女性がいて、会社の持ち主の住所を教えてくれます。当然そちらへ向かいます。一体子供をさらって何をしたのか、子供は本当に事故で死んだのか、どこかに留め置かれているのか、など疑問が浮かんで来ます。

テリ−は無論母親ですから《子供は生きている》という希望的観測の元に動いています。観客の私は五分五分だとは思いましたが、もし生きていた場合、スペインの恐怖映画のようにカルト団体に連れ去られたか、赤裸特工や韓国映画のように子供をかっさらって兵隊やスパイを養成しているのかなどと思いをめぐらせていました。

すると後半になって超自然現象。なるほどそれでドイツの雑誌は Akte X だと言ったのでしょう。日本語名は分かりませんが、有名なアメリカのテレビ・シリーズで、一部は映画にもなっています。

スリル、サスペンス、アクションをここまで盛り上げておいて、最後超自然現象というのは《残念!》ですが、後半まで上手く持たせています。最後を呪いとか超自然現象にしてしまう映画は時々あり、大スターも出ている場合があるので、《なぜ?》とよく思いましたが、結末に意義があるのではなく、それまでに描写される状況の方が、監督や俳優が伝えたいメッセージの本文なのかとも思います。

以前ドナルド・サザーランド、デンジル・ワシントン、ジョン・グッドマン他そうそうたるメンバーで悪魔を憐れむ歌という犯罪物を作ったのかと思ったら最後超自然現象になってしまったということがありました。あの時も《なぜ?》と思ったのですが、言いたい事は結末以外の所にあったのかも知れません。

ま、その辺は適当にしておいて、意外だったのは最後の展開。私も大半の観客と同じで、拉致した人たちは子供を使って何かをしようとしたのだろうと思っていました。ところが目的はそうではなくて、子供を無くした親の方だったのです。子供を消してしまい、世間の状況も《子供はいなかった》という風に偽装した後、親はたやすく子供を忘れることができるか、そういう実験をしていたエイリアンがいたのです。そのため親の方は長い間監視されていたのです。拉致加害者は、ご丁寧にも写真を消し、新聞記事を消し、記憶を消して回っていたのです。偽装のために精神分析医、NSA のエージェントなどがいいように使われているのです。

この作品を選んだのはその日映画館に行ったらあまりおもしろい選択肢が無かったためなのですが、Akte X 系だと言われていたので、この作品にも全然期待はしていませんでした。それにしては途中までおもしろかったです。とにかく意外な所でバッと驚かされますし、そう簡単に結末は見えません。

唯一難癖をつけるとすればジュリアンヌ・モーア。この人はここまで有名になる前結構おもしろい作品に出ていました。今でも印象に残っているのが暗殺者ビッグ・レボフスキーブギーナイツなど。それに比べ最近はつまらない作品ばかり。私が個人的に運が悪かった、私が見ていない作品には個性的なものもあると誰か言ってくれないかなあ。モ−アの1番の難点は笑う時の顔と泣く時の顔がまったく同じになってしまうこと。ドイツの吹き替え女優が全然起伏の無いしゃべり方をするので、画面を見ていてもこの人が喜んでいるのか悲しんでいるのか分からないのです。歯を剥いてにやっとしているのか歯を剥いて悲しみをこらえているのか区別がつきません。努力でここまで上がって来た上、結構高年齢になってもメリル・ストリープやシゴニー・ウィーヴァーより色々役が回って来ている人なので、これからも頑張ってもらいたいとは思いますが、メリハリをもう少しつけてもらいたいという希望も。

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