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ファインディング・ニモ /
Finding Nemo

Andrew Stanton, Lee Unkrich

2003 USA 100 Min. アニメ

声の出演者

Albert Brooks
(Marlin - カクレクマノミ、ネモの父親)

Elizabeth Perkins
(Coral - マーリンの妻、ネモの母親)

Alexander Gould
(Nemo - マーリンの息子)

Erica Beck
(Pearl - タコ、ネモの友達)

Erik Per Sullivan
(Sheldon - タツノオトシゴ、ネモの友達)

Barry Humphries
(Bruce - ホホジロザメ、魚を食べないダイエット中)

Eric Bana
(Anchor - 鮫、魚を食べないダイエット中)

Bruce Spence
(Chum - 鮫、魚を食べないダイエット中)

Ellen DeGeneres
(Dory - ナンヨウハギ、マーリンの友達)

Willem Dafoe
(Gill - ツノダシ、歯科医の診察室の水槽に住んでいる)

Brad Garrett
(Bloat - ふぐ、歯科医の診察室の水槽に住んでいる)

Allison Janney
(Peach - ヒトデ、歯科医の診察室の水槽に住んでいる)

Stephen Root
(Bubbles - キイロハギ、歯科医の診察室の水槽に住んでいる)

Joe Ranft
(Jacques - ジャックズ、歯科医の診察室の水槽に住んでいる)

Geoffrey Rush
(Nigel - ペリカン)

Andrew Stanton
(Crush - 150歳の亀)

Nicholas Bird
(Squirt - 小亀)

Bill Hunter
(歯科医、診療所の水槽の持ち主)

LuLu Ebeling
(Darla - 歯科医の恐ろしい姪)

Bob Peterson
(Ray - エイ、魚学校の先生)

見た時期:2006年8月

比較的小さなお子様連れ、親子で行っても大丈夫です。

アニメは苦手。気に入る作品は少ないのですが、これは良かったです。最近アニメの宣伝が上手で、興行的に成功した作品が多いですが、私はそれでも及び腰。よほど良い点がないと気に入りません。その中でファインディング・ニモには合格点をつけました。

私がアニメを見る時気になるのは

・ アニメ(子供向き)だと言うことでストーリーが弱くなっていないか
・ 描かれている絵がお粗末ではないか
・ 最新の技術を使っていても、動物なのに表面がゴムのように見えたりしないか

などという点。特にストーリーがいいかげんだと即見る気をなくしてしまいます。

この点の改善は最近特に進んでいるようで、元から大人向き、子供、大人両方が楽しめる作品も増えています。明かに子供向きの作品となっているファインディング・ニモでも、大人が飽きないように作られていて、いくつもの配慮が伺えました。子供ならすぐ夢中になるでしょう。

絵がお粗末と言う時代は過ぎたようで、ハリウッドが乗り出して来るような作品にはそういうのは無いようです。そうなると次の問題は描かれた絵が私の好みに合っているか。ここでたいていの作品はこけてしまいます。例えば Mr. インクレディブルは筋はそこそこ楽しかったのですが、絵が今一。3つ目の関門、表面がゴムのように見えるという問題もありました。

あれこれうるさく注文をつけた中で、これまで良かったと思えたのはシュレック(2作とも)、アイス・エイジ(1)、アイス・エイジ 特別編 (スクラットの冒険)など。シュレックは大人にも楽しめるようにできていて、絵も楽しかったです。スクラットは文句無く合格。

この評価の中にクレイ・アニメは入れていません。クレイ・アニメは気に入る作品が多く、他のアニメとどこに差があるのかは自分でまだよく分かっていません。手作りという点が伝わって来て感動するのかも知れませんし、短くてもストーリーの奥が深い作品にぶつかることが多かったのかも知れません。まだこれこれの理由でとはっきりしたものは見つかっていません。

ファインディング・ニモは大人と子供の教育映画で、人にうるさい事を言われるのは嫌だという人には向きません。しかし教育映画にしては楽しく、明るく、冒険に満ち、退屈しません。大筋は生まれた時に母親と他の兄弟を全て失った息子ネモと、唯一生き残った、ひれが発育不良の息子を過保護に育てる父親の成長の物語です。

ここからストーリーの説明あり

大量の子供を生み、イソギンチャクの新居を得、あと少しで大勢の子供に囲まれ幸せに暮せると思っていたマーリン、コーラル夫妻に大きな不幸が襲います。バラクーダに襲われ、夫人、数百個の卵(=わが子)を血祭りに上げられてしまい、自分は気絶してしまいます。気がついたら全てが終わっていて、残ったのはやや傷ついた1個の卵。ここから生まれたのが息子ネモです。

この経験を肝に命じ、その後の父親の頭には息子を護ることしかありません。学校にやるのすら躊躇う始末。息子はそういう父親に反発してできるだけ強いところを見せようとします。それが不幸の元。息子はダイバーの編に引っかかってしまいます。

このダイバーは趣味でダイビングをしていて、本職は歯科医。自分の診療所の水槽に入れる魚を時々海に出て取っている様子。マーリンは息子が拉致された時、ダイバーの水中眼鏡を見つけます。そこには何やら文字が。たまたま知り合った物忘れの激しい女性ドリーに助けられ、それがオーストラリアはシドニーの住所だと知ります。ドリーには人間の書いた文字が読めるのです。

シドニーまではかなりの距離ですが、2匹はネモを探す旅に出ます。そこでおもしろいキャラクターの魚に出会ったり、水流に乗って大冒険をしたり、ドリーと揉めたり仲直りしたり、いくつもの楽しいエピソードが出て来ます。

ようやくシドニーにたどり着きますが、ネモ救出作戦は容易ではありません。ネモの方でも入れられた歯科医の水槽の中で新しい知り合いができ、脱出作戦を試みたりと、たかが100分なのにおもしろいエピソードがどっさり詰まっています。それどころかヒッチコックのパロディーまで入っているので、大人の観賞にも耐えます。

ハラハラドキドキしながら笑い、あっという間の100分。なるほど、ヒットするだけのことはあるな、と思いました。なぜ私が拒否反応を起こさなかったのか考えてみたのですが、それは描いている世界が海底だったからではないかと思うのです。

描くのが森のリスや氷河時代のマンモスでなく、海底の魚介類なので、表面がつるつるして見えても違和感がありません。そしてウィンドウズのモニター保護のアニメで海底シーンも見慣れていたため、あのアニメにストーリーがついたと感じ、さっと入って行けたのかも知れません。

アイス・エイジ系のアニメを作る会社は、コンピューターで大金がかかることを承知の上で毛皮がふさふさしているシーンを多用しています。そこまでやってくれるのなら見ようという気になりますが、制作費の大部分をそういう方向に使ってしまうと他がおろそかになりかねません。それを克服して愉快だったのがアイス・エイジの動物やシュレック(2)に出て来た猫など。もうここまで来るとお金の面から見て子供だましどころではありません。その辺の劇映画より大金が必要です。

贅沢に慣れてしまうと切りがありませんが、私は子供の頃紙芝居や幻灯を見て大いに喜んだものです。あんな少ない絵でもわくわくしながら見ました。クレイ・アニメも今でこそ大金かけて作っていますが、元々は手間はかかるけれど素人でも作ろうと思えば作れるタイプのアニメです。ティム・バートンもアニメには興味があったようで、初期に名作を作っています。

娯楽の提供量がどのぐらいかということも重要な点。夏休みにただ1夜浴衣を着て広場に集まると、近所の人が大勢来ていて・・・という場ですと、何を見せられても楽しいものです。現代は子供の嗜好も市場の大きな関心事。大量に娯楽が提供されています。その中で生き抜いて行くには《凄い》というイメージを作り、人の関心を呼び起こさなければならないでしょう。時代は大きく変わり、幻灯や紙芝居は博物館に行ってしまったのでしょう。その代わりに大人が知恵を絞って作ったアニメを子供が次々に見られる時代に入っています。

今日はアメリカ製のアニメ中心でしたが、あまりアニメを見ない私でも最近できた日本製のいい作品にぶつかったことがあります。素人の目から見ても日本製のアニメとハリウッド製のアニメには大きな違いがあるように思えますが、その違いは今後もキープしてもらいたいものです。

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