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ヘブンズ・プリズナー /
Heaven's Prisoners /
Mississippi Delta /
Mississippi Delta - Im Sumpf der Rache /
Omicidio a New Orleans /
Paradis piègè /
Prisioneiro do Passado /
Prisioneros del cielo /
Vengeance froide

Phil Joanou

1996 USA/UK 132 Min. 劇映画

出演者

Alec Baldwin
(Dave Robicheaux - 貸しボート屋、元殺人課刑事)

Kelly Lynch
(Annie Robicheaux - デイヴの妻)

Badja Djola (Batist)

Samantha Lagpacan
(Alafair - 飛行機事故から救出された少女)

Mary Stuart Masterson
(Robin Gaddis - 顔見知りのストリッパー)

Eric Roberts
(Bubba Rocque - デイヴの幼馴染み、地元の顔役、麻薬取引に絡んでいる)

Teri Hatcher
(Claudette Rocque - ブバの妻)

Vondie Curtis-Hall
(Minos P. Dautrieve - 麻薬捜査官)

Hawthorne James
(Victor Romero - 殺し屋)

Don Stark
(Eddie Keats - デイヴを襲ったやくざ)

Joe Viterelli
(Didi Giancano - 地元の大ボス)

見た時期:公開当時

死ぬ人がばれます。見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

行きがかり上ヘブンズ・プリズナーもご紹介します。公開当時見たので、もう10年以上前のことになります。タイトルはドイツ版のミシシッピー・デルタの方が良かったと当時も思いました。主演はアレック・ボールドウィンで、キャストは全体的に良かったです。当時の登場人物で In the Electric Mist にも登場するのは以下の通り。ロビショーの最初の夫人は殺されてしまうので、2009年版では別な女性が妻に納まっています。既に長い間結婚している様子で、養女と3人普通の家族として違和感無く描かれています。

ヘブンズ・プリズナー In the Electric Mist メモ
Dave Robicheaux Alec Baldwin Tommy Lee Jones 1996年には殺人課刑事を引退して貸しボート屋をやっていた。2009年には保安官か署長に返り咲いて犯罪捜査をやっている。
Batist Badja Djola Walter Breaux ヘブンズ・プリズナーでどんな役だったか覚えていない。2009年にはロビショー家で家政夫をやっている。
Alafair Samantha Lagpacan Alana Locke 1996年にはアラフェアは他人の子供。2009年には正式に養子になっており、役名は Alafair Robicheaux。

★ 原作

ジェイムズ・リー・バーグのハードボイルドのシリーズになっている小説が元ネタです。バーグは1987年からこのようにたくさん書いています。映画化されたのは2本。その他に主人公がロビショーではない作品がテレビ・ドラマになっています。作家自身はテキサスの生まれで、ルイジアナの人ではありませんが、映画化されたロビショーのシリーズは2本とも乾いたテキサスではなく、湿地帯が舞台です。

・ The Neon Rain
・ Heaven's Prisoners(映画化)
・ Black Cherry Blues
・ A Morning for Flamingos
・ A Stained White Radiance
・ In the Electric Mist with Confederate Dead(映画化)
・ Dixie City Jam
・ Burning Angel
・ Cadillac Jukebox
・ Sunset Limited
・ Purple Cane Road
・ Jolie Blon's Bounce
・ Last Car to Elysian Fields
・ Crusader's Cross
・ Pegasus Descending
・ The Tin Roof Blowdown
・ Swan Peak
・ The Glass Rainbow

小説は読んでおらず、映画化はこの2本切りなので、比較はその範囲です。主人公は仕事中毒の刑事で、ヘブンズ・プリズナーではアルコールの問題を抱えています。小説の2作目です。その先4作目ではもうかなり時間が経ったことになっており、ロビショーはお酒は避け、もっぱらドクター・ペッパーを飲んでいます。断酒の会にも同僚と一緒に通っており、お酒はヘブンズ・プリズナーで懲りた様子です。

★ あらすじ

ヘブンズ・プリズナーはまだロビショーが悟りを開く前の話です。ニューオルリンズの殺人課を退職し貸しボート屋になっている、まだそれほど年でない元刑事デイヴ・ロビショーが妻とのんびりしていたら、目の前に飛行機が墜落。やっとのことでエルサルバドル人の少女1人だけ救助できました。家で介抱し暫く世話をしていたら、麻薬捜査官が現われ、手を引けと言います。その上ご丁寧にもやくざも脅しに来ます。元殺人課の刑事には怪しく見えてしまう事件。

奥方の反対にも関わらず、徐々に事件に深入りして行くデイヴ。次第に分かって来るのは、墜落した飛行機が麻薬の密輸に関わっていたこと、墜落で死んだ男は実は麻薬取締の囮捜査に関わっていた捜査官で、身元がばれそうになり逃げて来ていたこと、そして自分の幼馴染が今では犯罪者で麻薬取引に手を出していることなど。

誰かが差し向けた殺し屋は妻を殺してしまいます。深入りするなと言ったのは妻、捜査官、やくざ。にも関わらず、沼に落ちて這い上がれない人のようにどんどん事件の深みにはまって行きます。そして意外な人物が采配を振るっていたことが分かり、ショーダウン。

★ 南部の雰囲気とボールドウィンの独特の雰囲気

In the Electric Mist も雰囲気に非常に気を使っていますが、ヘブンズ・プリズナーもその頃頻繁に映画の舞台にされたカリフォルニアやニューヨークをはずし、ルイジアナを選んであり、当時としては非常に他の作品と違う雰囲気になっていました。その上不完全な人間を上手に演じていたのがボールドウィン。当時はまだ二枚目スターとして通っており、他の兄弟よりは出来のいい演技をしていました。押し出しも良く、このままスター路線で行くかと思われていましたが、ちょうどベージンガーがオスカーを取る作品を撮っている頃と重なり、夫婦揃ってオスカーを取るようなスターは出さないという妙な規則とぶつかっている頃です。

実は私は2人とも大スターの雰囲気を持っていたので、大スター夫婦でそのまま行くかと思いましたが、何やら問題があったらしく、9年近く持った結婚生活が破綻し、子供の養育権をかけて醜い争いになったのはご存知の通りです。娘が生まれたのは1995年で、この時期は夫婦共に仕事の調子は良かったように思います。

結局オスカーは奥方が取り、父君は遅れること6年でノミネートのみ。しかし演技の巾は元から広かったのか、トラブルの間に広がって行ったのか、とにかく弱い男や、悪人も演じられるようになっています。彼が出ると他の俳優に出せない雰囲気が出ます。(元)奥方より実力のあるシーンを何度も見ました。弟たちよりもずっといいです。

★ トミー・リー・ジョーンズに繋がるか

繋がりません。

2本ともそれ自体はとてもいい出来だと思います。小説がどうであれ、映画だけを見て評価するとかなり上の方の点数がつきます。人物の描き方ではアレック・ボールドウィンの方が内面に切り込んでいて、本人のどうしようもない苦しい立場が伝わります。

ではトミー・リー・ジョーンズがダメかと言うと、そうでもありません。一見表情に乏しい化石のような顔ですが、年齢を経てあれこれその都度決心をし、捨てなければならないものを捨てた結果、まだ手元に残っているものに喜びを見出し、彼なりの親切心も取り戻し、人間らしさを持ち、養女の成長を喜ぶ・・・といった立場で、それを出そうとしています。

しかしボールドウィンから14年経った男がトミー・リー・ジョーンズかと言われるとどこか違和感があります。監督も変わっているし、当時は英国がお金を出し、今度はフランスがお金を出していることも考えると、2本はそれほど密に繋がっていないと考えるべきでしょう。バートン版のバットマンとノーラン版のバットマン以上の開きがあります。

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