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Spanien 2007 78 Min. 劇映画
出演者
Manuela Velasco
(Ángela Vidal - テレビ・レポーター)
Ferran Terraza
(Manu - 消防署員)
Jorge-Yamam Serrano (若い警官)
Pablo Rosso
(Pablo - カメラマン)
David Vert
(Álex - 消防士)
Vicente Gil (年配の警官)
Martha Carbonell
(Izquierdo - アパートの住人、最初に発狂)
Carlos Vicente
(Guillem Marimon - アパートの住人)
María Teresa Ortega
(Abuela - アパートの住人、老女)
Manuel Bronchud
(Abuelo - アパートの住人、老人)
Akemi Goto
(アパートの住人、日本人主婦)
Chen Min Kao
(アパートの住人、日本人)
Daniel Trinh
(アパートの住人、日本人の子供)
Maria Lanau
(アパートの住人、ヒステリックな母親)
Claudia Silva
(Jennifer - ヒステリックな母親の娘、扁桃腺にかかっている)
Carlos Lasarte
(César - アパートの住人)
Javier Botet
(Nina Medeiros - 屋根裏部屋の痩せこけた女)
Ben Temple
(アパートの住人、インターン)
Ana Isabel Velásquez (コロンビア人)
見た時期:2012年3月
ファンタ不参加作品
ファンタに続編が出るというので、ビデオ屋さんで REC/レックと、REC/レック2 を探したところ、REC/レックが見つかったので急いで見ました。
★ 先入観があった
ブレア・ウィッチ・プロジェクトの亜流だと聞いたので、今月までスルーしていました(ブレアの宣伝に載せられた。騙された。むっと来た。おばかさん)。ところが REC/レックを見てみると意外な感想になりました。けなしたい所もあるのですが、褒めるべき点もぞろぞろ出て来たのです。何よりもまず、あのブレア・ウィッチ・プロジェクトと比べては気の毒です。ブレア・ウィッチ・プロジェクトには観客を騙すと言う点では見事にしてやられましたが、そのため見た人はカッカと怒ってしまいます。それに対し、REC/レックはアイディアの点では他にREC/レックよりユニークな作品がたくさんありますが、エンターテイメント性という点から見ると、なかなか良くできていました。少なくとも見せられて後からカッカと怒るような点はありませんでした。
ただ1つだけ絶対にやっては行けない事があります。
映画館でなく、DVD を借りて見る場合、絶対にメイキング・オブを先に見ては行けません。
先に本編を見ると、怒るべき所で怒り、褒めるべき所で褒めることができます。ところがメイキング・オブを見てしまうと、全体がファミリーという雰囲気、和気藹々になってしまって、ホラー性が全滅してしまうのです。スタッフ、キャストの仲がよさそうで、とても楽しそうに撮影しているのですよ。それを知ってしまうと、怖がるべき所で全然怖くなくなってしまいます。
★ 感じの悪いレポーター
主演でもあり最初から最後まで出てくる女性レポーターがいます。
報道陣の劣化は世界的傾向のようで、スペインもご他聞に漏れず、経験の浅い、軽薄な感じの人がテレビ・レポーターをやっています。アンヘラがジャーナリストの悪い面をそれらしい演技で体現しながら、観客の怒りを1人で集めまくってくれます。軽薄、信用できない、ずるい等々負の形容詞を動員したくなるキャラクターです。「かわい子ちゃんだからと言ってもやって良い事と悪い事があるだろう」と文句を言いたくなりますが、「ジャーナリストというのはそういうものだ「と言われてしまえばそれまで。取材される側は断わろうにも断われず、アンヘラはパブロというカメラマンに常にカメラを回すように指示します。良心がとがめることはなく、若さゆえの楽天的な行動、危険を危険と自覚しない愚かさなどをたっぷり見せられます。特種を取るためには何でもやる上に、モラルもパパラッチ寸前。いずれはそういう品の悪い所へたどり着くだろうという女性です。
トップ・クラスのレポーターになっていずれはニュース・アンカーにでもなりたいのでしょうが、今はまだぱっとしない取材の仕事。とは言っても自分のやる気に対しては誠実で、ある日消防署にカメラマンとやって来ます。責任者と話をつけ、食事中の消防署員にいい顔を見せ、休み時間には一緒にバスケット・ボールをするなど、打ち解けるように努力。さすが職業意識は強い。根回しの才能は光ります。
元々計画していたのは、消防署員の出動に密着して、臨場感あふれる救出作戦か、消火活動をレポートすること。早速出動の呼び出しがかかったのでついて行くと、そこは古いアパート。
このアパートが全編を通じて出演者以上にすばらしい効果を上げています。フランス、スペインなどには今もこういう古いアパートが残っています。REC/レックに登場するのは天井の高さが少なくとも4メートル、エレベーターのついていない4階建てぐらいのアパート。1つ1つの部屋は面積も広く、ドアや壁は木でできている部分もある非常に古典的な作り。ベルリンにも古いアパートはありますが、フランスやスペインとやや作りが違い、REC/レックのアパートは一段階大きくて高級な感じがします。
老女が騒ぎ出したというので、近所の人が通報。すでに2人の制服警官が出動していました。そこへ消防署からも2人ほど出動し、レポーターのアンヘラがカメラマンと一緒に密着。消防署員マヌーはアンヘラが手なづけてあるので撮影許可が下りていますが、警官はカメラが回っているので怒っています。アパートの住民が数人騒ぎを聞きつけて1階に出て来ています。
トラブルは上の階で起きているので、警官と消防とレポーターはそちらに向かいます。するとネグリジェのような薄物を着た老女が血だらけになってふらついています。取り押さえようとした時警官の1人が噛まれてしまいます。重症を負い退散。この老女はなぜか凶暴で、なかなかうまく取り押さえることができません。
これが事の始まり。その後噛まれた人たちは老女と同じような行動を取り始めます。危ないというのでアパートの住人とまだ大丈夫な警官、消防署員などが外に出ようとした時、外からアパート全体を囲まれてしまい、SWAT が乗り出して来ます。わけも分からずアパートの中に閉じ込められてしまうまだ健康な住民。アパート内に老女のように狂った人間が増え始めます。
外からなかなか情報が入らないので事情が暫く分からないのですが、ラウド・スピーカーや警官の無線機を通して徐々になぜ周囲を囲まれてしまったのかが分かって来ます。このアパートの住民から犬を預かった獣医が警察に通報したのが半日から1日前。診療所で犬が急に凶暴になり、他の犬を噛んだりしているうちに、何匹もの犬が凶暴になったそうです。役所は危険を察知し、犬が飼われていたアパートを急襲。周囲をすっかり閉鎖してしまい、中の住人は閉じ込められたままになったというわけです。
ここまで見て思い出したのが、最近ファンタで見た Fase 7 というアルゼンチンのコメディー。あれは4年後に作られた REC/レックのパロディーだったんだ・・・。
こういう風に否応なし、説明無しに健康な人も巻き込んで隔離してしまう話がお好きな映画界。そう言えばカサンドラ・クロスもこの種の話でした。
中にいるアパートの住民にもようやく話が見えて来ます。外から防護服を着た人が1人送り込まれて来て、その男が住民の血液検査をして、陰性だったら外に出てもいいということになります。前日のアパートの犬の件も住民に伝わります。アンヘラは犬の飼い主がこの家に住む少女の犬だと気づきます。ということは少女と母親は感染している可能性が高いと分かりその話を始めたとたんに、それまで扁桃腺にかかっただけだと思われていた少女がいきなり母親の顔に噛み付きます。とっさに消防署員や警官は母親に手錠をかけて階段の手すりから動けないように拘束。すでに死者、感染者が出ているので、皆危険の度合いは皆に分かっています。少女は素早く逃げてしまい、アンヘラや消防署員が追いかけます。その間にも犠牲者が増え続け、最後にはレポーターのアンヘラ、カメラマンのパブロ、消防署員のマヌーぐらいしか正常でなくなります。1番最後にはアンヘラとパブロだけになり、逃げ道があるかも知れないと逃げ込んだ上の階のアパートに中から鍵をかけて篭城します。
暫くは安全と思って一息ついてふと周囲を見回すと、そこは実験室。過去に何か事件があったらしく、1人の女性の新聞記事も切り抜いて壁に貼ってあります。なんじゃ、これは・・・。
その部屋に通じている屋根裏を覗いてみたらびっくり。裸に近い、がりがりに痩せた老女が出て来ます。彼女もゾンビ状態で、最後は2人を襲って来ます。そして誰もいなくなった・・・。そしてなぜこの家の犬が感染したのかも分かった・・・遅かった・・・。
1番最後に明らかになりそうな謎ですが、短くて時間切れ。直接の続編はまだ見ていないので、そこで謎がどういう風に扱われるかはまだ私には分かりません。3作目は REC/レックと時系列的に同時進行した話なので、謎には触れられていません。なので私はまず [REC]² を見つけて、それを見た後間もなく公開になる[REC]4 を見なければ行けないようです。
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