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USA 2014 99 Min. 劇映画
出演者
Dan Stevens
(David Andersen Collins - 退役軍人、ケイレブの戦友)
Sheila Kelley
(Laura Peterson - ケイレブの母親)
Leland Orser
(Spencer Peterson - ケイレブの父親、会社員)
Maika Monroe
(Anna Peterson - ケイレブの妹、ウェイトレス)
Brendan Meyer
(Luke Peterson - ケイレブの弟、中学生)
Lance Reddick
(Carver - 少佐、特殊部隊の司令官)
Tabatha Shaun
(Kristen - アンナの友達、ウェイトレス)
Chase Williamson
(Zeke - アンナの恋人)
Joel David Moore
(Craig - 武器密売人)
Steve Brown (Mike)
Brenden Wedner (Ian)
見た時期:2015年3月
★ 主催者の判断が正しかった
日本語の紹介記事には批判的な物が多く、トレイラーを見て、ほどほどの期待、あまり大きな期待はしていませんでした。トレイラーを見る限り他にファンタのフィナーレに適した作品がありそうだったので、なぜザ・ゲストをフィナーレに持って来たのかが分かりませんでした。
結果は主催者の判断た正しかったです。他の作品ですと後味の悪さを引きずって帰宅、夏のファンタまでずっとそんな感じで日々を過ごさなければなりません。問題作を作れば多少後味の悪さがあっても仕方ありませんが、催しの最後にはすっきりしたショーダウンや、笑いがちらっと浮かぶような作品が向いています。
★ パクリと言うか、カンニングと言うか・・・それでもおもしろかった
ファンタの観客は他の映画祭と違い、プロのバイヤーではなく、観客層の人ばかりです。ここで初公開、カット無しのオリジナル版を見た人が世に散らばって行って、友達に感想を話したり、店に行って DVD を借りたりします。利権やリベートで動く層ではありません。なけなしの給料、お小遣いを1年間貯めて年2回映画館に足を運ぶ層です。
その代りかなりの数の作品を見ている人が多く、ジャーナリストのように最初の15分だけ見て、送られて来た解説書をネタに記事を書くような人はいません。記事もブログも全く書かないでただひたすら映画を見ている人も多いです。
その前提で話すと、ザ・ゲストを見てすぐいくつかの似たような作品のタイトルが頭に浮かぶ人がいるでしょう。私でもコヨーテ出演の誘惑の囁き、フリードキン監督の Bug バグ、Banshee Chapter、ボーン・レガシー、ブラッディ・バレンタイン 3D が浮かびました。それぞれ個性があって、単独でお勧めできる作品です。
ザ・ゲストはこういった作品からいい所を取って、ミキサーにかけてうまくならした作品と言えます。対象としている観客はガチガチの映画オタクではなく、ティーンで彼女を誘って大きなポップコーンとコーラを抱えて、カップル用の椅子に座るような世代かも知れません。同時に最近高齢化が進んでいるガチガチのファンタ・ファンの鑑賞にも耐えます。
★ 扱っているテーマはそれなりにまじめ
上に挙げたパクリ元の作品のいくつかは、米国のれっきとした国家公務員である諜報員に対して秘密裏に行われた人体実験がテーマです。米国は一般人が入って来られないエリアを海外に何か所か作り、そこで怪しげな実験をやっていたと噂され、自国民からそれらしい映画まで作られてしまう国ですので、こういう映画を見せられると、「ふうん、そうなの、やったかも知れないなあ」と感じてしまいます。無論国内に大きな2つの党があり、何でも自由に対立できる国ですから、何かの政策の反対派が巧みな宣伝映画を作っただけと言う事もあり得ます。まあ、対立する派があると言う事だけは頭に入れてから見た方がいいですが、それなりに生真面目にテーマを扱っています。
主人公ともう1人の兵士が戦友。2人はこういった実験話に関わっていました。生き残った戦友が、死んだ方の兵士の実家に戦友のメッセージを伝えに現われます。
そこからあれこれ大展開して行くのですが、あまり深く1つの事を追求し過ぎず、万遍なくテーマをザーッと一回りします。
★ あらすじ
冒頭見知らぬイケメンがピーターソン家を訪ねて来ます。最初に応対に出た一家の母親が、そのイケメン青年に「最近戦死したケイレブの最後の言葉を伝えに来た」と言われて、涙にくれます。しかし「今晩はうちに泊まって行け」と言います。軍隊式に礼儀正しく、遠慮がちなイケメンはデビッドと言い、その後帰宅した父親にも勧められ、暫く滞在することになります。
ただ飯を食べさせてもらうのでは気が引けてか、デビッドは息子の学校への送り迎えなど家のちょっとした仕事を手伝います。ただ、年ごろでボーイフレンドもいるアンナとはあまり波長が合いません。
滞在がのびているうちに、ピーターソン一家の周囲で都合のいい不幸が起きます。デビッドが陰に日向に一家の守護神となり、問題と思われる人物を消したり、叩き回っている様子。おかげで父親は昇進ができそう、夜のパーティーに娘が出かける時にはデビッドを護衛につけ、末息子ルークが苛められると、相手をぶっ叩き、ついでにルークにナイフの使い方も伝授。アンナの恋人がドラッグがらみでまっとうな男でないと知ると、殺人の濡れ衣を着せて警察に捕まえさせてしまいます。
一家のうち3人はデビッドに好印象を抱いていますが、アンナは自分の恋人に問題が起きたりするので、軍当局に問い合わせを入れます。すると意外な答。デビッドは少し前に死んだことになっていました。アンナはますます不信感を抱く一方、軍は事を深刻に受け止め、すぐ重装備の特殊部隊を送り込んで来ます。平和な一家の家屋は蜂の巣のように穴だらけ。結局両親は死んでしまいます。
政府は非常に特殊な部隊を秘密裏に養成しており、ケイレブとデビッドはその枠内で実験に参加していました。最近のジェイソン・ボーンの事件と似て、非常時に知性も肉体も超人的な働きを発揮。ただ、一旦〈非常時〉と認識をしてしまうと止める事ができず、隊員は所構わず、後先構わず殺戮を始めます。
重装備の特殊部隊は射撃が上手いだけの普通の隊員で、隊長がアンナとルークに接近し、デビッドと対決。ただ、デビッド1人の方が強く、次々に隊員は倒されて行きます。ショーダウンはルークが社会奉仕をしている建物。ハロウィンの準備中。結局隊長もやられ、姉と弟2人だけでデビッドと対決。最後はデビッドに教えられた通りナイフを使ってルークが仕留めます。この辺はジョン・ウー監督、トラボルタの古い映画もパクっています。
終わり良ければ全て良しになるかどうかは分かりません。大学に行くつもりで食堂でウェイトレスをしていたアンナは両親を失い、未成年の弟とこれから生きて行かなければなりません。仮に恋人の無実が証明されても、あんまり感心しない男。自宅は穴だらけなので修理しなければなりませんが、お父ちゃんの収入は期待できません。政府が机の下で賠償金でも払ってくれるのかな。その上どさくさまぎれにまだ死んでいないデビッドが逃亡。続編が作られるのかも知れません。
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