風雲電影院

インファナル・アフェア（Infernal Affairs 無間道） ２０１６年３月２１日 三日月座ＢａｓｅＫＯＭシネマ倶楽部 　2002年香港映画。当時の私ときたら、中国製のリージョンコードフリーのDVDプレイヤーを買い込み、香港版の新作DVDを買っては観ていた。香港映画はすべて画面の下に中国語と英語の字幕が出るから、広東語がわからなくても、これを見ていれば台詞の内容はわかる。私は主に英語を見ていのだが、知らない単語が出てくると、サッと中国語字幕に目を移す。そうすると漢字からなんとなく意味が想像できたりした。 　『インファナル・アフェア』のときは、観始めてしばらくしてから、これは脚本がかなり上手く作られている映画だと気が付き、冒頭から観直した。わからない英単語が出てくると、電子辞書で調べた。だから１時間40分程度の作品だが、観終えるまでに４〜５時間かかったはず。 　日本での劇場公開は2003年の秋。私は2003年の２月に観て、この風雲電影院の３月にも書いた。ちなみにベルリンさんも書いていますね（実にうまくこの映画を整理してくれているので是非お読みください）。しかし、あれからもう14年たったことになるのか。 　もちろんそのあと映画館にも観に行ったし、日本版のDVDも買って観ている。今回観たのはもう十年ぶりくらいで、４度目ということになるのだと思う。改めて１時間40分というなかに、うまくまとめているなぁと思う。くどくどしい説明をうまくカットしてあるというのか、台詞で説明したがるようなところを映像で見せて、観客にうまく理解させるテクニックを使っている。トニー・レオンがアンディ・ラウのオフィスで自分が文字を試し書きした封筒を発見したシーンで、一発でトニー・レオンはアンディ・ラウがイヌだと見抜く。丁寧にカットバックまで入れているが、そんなのもいらないくらいの上手いアイデア。 　ほんの短いシーンなのだが、トニー・レオンが昔の恋人に街で出会うシーン。彼女は小さな女の子を連れていて、トニー・レオンが女の子の年をいくつかと問うと、元彼女が「５歳です」と答える。トニー・レオンがその場を離れたタイミングで女の子が「私６歳なのに、なんで５歳と言ったの？」と母親に問いかける。それだけですべてがわかってしまう。くどくどと説明なんていらない。あとは元彼女が去って行くトニー・レオンの背中を無言で見つめるカットがあればいい。すごいね。 　今回観ていて気になったのは、携帯電話の使い方。直接シーンはないのだが、マフィアがアンソニー・ウォンをビルの屋上で痛めつけて、誰がイヌなのか白状させようとする。そこでなぜ彼らはアンソニー・ウォンの携帯電話を奪わなかったのか。あそこで携帯を奪えばトニー・レオンがイヌであることがわかったはずなのに・・・。エリック・ツァンのボスは、取引の前にイヌによってこちらの情報が漏れるのを警戒して部下の携帯電話を全部出させたくらい頭がよかった。あそこでアンソニー・ウォンを殺してしまった部下たちは頭が悪かったということになるのか。いや、頭のいいエリック・ツァンのボスなら、部下の携帯電話を全部チェックしていてもおかしくはないはずなのだが。 　まあそこまで粗探しするのは野暮ってことでしょうが。 ３月２２日記 静かなお喋り３月２１日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る

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