R20
悪の華
XS

第4章  遠い明日の誓い Squalo32-

九代目の死注(XS   家光×スクアーロ、九代目×スクアーロ)
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ザンザスは目の前のスクアーロを見た。
この目だ。
このガラス玉のような目で、
こいつはオレを見る。

命をよこせと言われても、
表情ひとつ変えず、オレを見る。
あの、ジジイと同じだ。
すべてを見抜いたような顔をして、オレを見る。

ザンザスは、スクアーロに銃を向けた。
スクアーロは静かな表情のまま、
ザンザスを見つめていた。

「ひざまづけ」

命じると、スクアーロの表情が一瞬曇った。
それでも、命じられたままに従順に、膝をついた。

ザンザスは近づき、その頭に銃口をつきつけた。
スクアーロは、上目遣いにザンザスを見たものの、
いつもあれだけうるさいのに、
何も言わず、
ザンザスを見つめ返した。

いつもの傲慢な表情とは違う、
かなしむような、
哀れむような目だった。

突然、すざまじい怒りが沸いた。
スクアーロを見ていると、意味もなくいらついたり、殴りたくなる時がある。

ザンザスは、憤怒の炎をまきちらしながら、
スクアーロを殴った。

「ゔっ」
スクアーロは、壁にたたきつけられ、うめいた。
いつもなら、うるさい文句が返ってくるのに、
黙って耐えている。

それがまた、ザンザスの怒りをあおった。
憤怒の炎が燃え上がる。

ドカスが!!
貴様がどうしてオレを哀れむ!!
あの老いぼれが、この世から消えたからってなんだってんだ!!

ザンザスは続けて、スクアーロを殴りつけた。
スクアーロは血を流し、
床に倒れた。

すべてを消してしまいたい。
すべてを焼きつくしてしまいたい。
だが、たぎる怒りをぶつける行き先がない。
ザンザスは床に転がっているスクアーロをひきずり起こすと、
喪服を引き裂いた。

スクアーロは、焼かれるような痛みと、
ぐらぐらする意識の中で、
ザンザスが自分に覆いかぶさってくるのを見た。

ザンザスは憤怒の炎を身体じゅうからぶちまけているようだった。

お前は、それでいいんだあ。
すべてを憎み、
誰にも屈することなく、
誇り高く生きればいい。
かなしんだり、迷うのは似合わねえ。
どんなくだらねえ遊びでも、
支配者らしくふるまえばいい。
お前の誰も追従を許さない高き誇り。
ザンザス、お前は誇り高くありつづければいい。
誰もがひれ伏す、怒りの王。
気に入らねえものはすべてその炎で焼きつくせばいい。

お前は、オレのたった一人の主。
剣を捧げた男。
オレを裁くことができるのはお前だけ。

スクアーロは、乱暴に下半身を拡げられ、
身体を強ばらせた。
ザンザスにとってはきっと、
気晴らしに殴る程度の行為なのに、
いつでもスクアーロは、緊張してしまう。
これで、ザンザスの怒りが治まるなら、
オレの身体なんて安いもんだぁ。

この誇り高い孤高の男は苦しんでいる。
ザンザスを苦しめていた男は、死んでしまった。
死ねばいい。
死んでよかったんだ、あんなジジイ。
ザンザスを縛り付け、
夢を与え、それからこなごなに打ち砕いた。
温和そうな顔をして、
誰でも平等に愛するという顔をして。
あのジジイを聖人のようだと言ったドアホがいた。
何が穏健派だ。
あのジジイが生きていたら、オレの気が先に狂っちまう。

ザンザスの熱い楔が打ち込まれると、
スクアーロは苦痛に顔をゆがめた。

ああ、ザンザスだ。
容赦なく、おれの身体を貪り、
その激情に焼き尽くされてしまいそうだ。
どんなにひどく扱われても、
おれの身体は喜びに昂り、
心はその存在を感じて嬉しくなる。
お前の欲望を感じ、オレは嬉しくなる。

ひときわ奥を突かれて、
スクアーロは、こらえきれずに声をあげた。
「うあ゛あ゛っ」
慣れた身体は、苦痛の中から、簡単に快楽を拾い上げ、
ザンザスのくれる快楽の炎に身を焦がした。


無理に突っ込んだというのに、スクアーロは、嬌声を上げ簡単に達した。
「ふん、好き者が」
ザンザスは吐き捨てるように言った。
スクアーロは、時折、誰かのにおいをつけて帰る。
ザンザスでない誰かの。

てめえは、オレのだろ。
だったら、オレの好きにしていいはずだ。
すべてをオレに捧げて、
今みてえに、はいつくばって、よがってりゃいいんだ。
てめえの飼い主は、このオレだ。

いつの間にか、
怒りは欲望に変化していた。
普段生意気なスクアーロの顔は快楽に歪み、
目は潤み焦点も定かではない。
真っ白な身体は赤く染まり、
あちこちにザンザスのつけた証が残っている。
普段は体温の低い身体は熱を持ち、
汗が玉のような肌にこぼれおちている。
ザンザスをくわえこんだ内部は、
その昂りをしめつけ、奥深く誘いこみ、離すまいとする。

スクアーロを征服し、蹂躙することで得られる快楽は、
どんな女や男を相手にしても、得られない。

ザンザスの知らない間に誰かに仕込まれた身体は、
麻薬のように中毒性を持つ。

この身体に代わりはない。
この存在に代わりはない。
それが不愉快でたまらない。

ザンザスのために伸ばした髪は、
もうスクアーロの一部だ。
ザンザスのものであって、
ザンザスのものでない。

殴った時に、角にでもぶつけたのか、スクアーロは頭から血を流していた。
色素のない白い肌に赤い血がからまり、行為の異常さを際立たせた。

食い殺してやろうか。
ザンザスの雄の本能が、
捕食者としての欲望が、
ザンザスの動きを加速させていく。
「思い知れ!!」
ザンザスは思い切り内部をえぐると、スクアーロの身体の中にどくどくと欲望を吐き出した。

「ゔあ゛あ゛あ゛っ!!」
より深く荒い結合に、スクアーロは声を上げた。
意識をとばす前に、
体内にザンザスの迸りを感じ、スクアーロも同時に達した。

気の狂うような屈辱と快楽。
それは、もうスクアーロにとって馴染んでしまったものだった。






 
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