皇帝の正しくないチェス

2003 全国大会 12R


はじめに

 12Rのお相手は・・・、chitosejinこと千歳君(なんじゃそりゃ)。

 共にyahooチェスでは初期からのメンバーで、ネット上のつきあいも長い。
 チェス歴は僕の方が2〜3ヶ月ほど長いらしいが、実力では千歳の方がはるかに上を行っている(涙)。

 公式戦ではこれが初対局なのですが、大会の終盤にyahoo仲間と対局すると、どうの緊張感が・・・(笑)。
 ともあれ、自戦記は千歳に書いてもらいました。チェスの解説なのかコントなのかよくわからないと思いますが、私自身もこっそり加筆しています。

棋譜解説

[Event "Zenkoku Taikai"]
[Site "PIO"]
[Date "2002.05.04"]
[Round "12"]
[White "anon_emperor"]
[Black "chitosejin"]
[Result "1/2-1/2"]

 ゴールデンオープン3日コースに参加しているとくとの試合がどうなっているのかを楽しみにしつつ昼食から戻ってみると、チェス会場入り口には12Rの対戦者名簿が張り出されてあった・・・。

 そこにはなんと、まぎれもなく皇帝との対戦とかかれてあったのである。
 今日はヤフーの誰かとあたるのではないかと予感はしていたのだが、2試合ともまさに現実のものとなってしまった。
 ちなみに11Rは黒白さんとの対戦で18手ドロー(やるきなさすぎっ?)だった。

 とくとの対局は、"圧倒的優勢(Q&ポーンEndingでの3ポーンup)"の試合がパペチュアルでドローになってしまい、みんなで大笑いした後についに12Rが開始した。

            
1 e4 e5
2 Nf3 Nc6
3 Bc4Be7(図−1)
図−1
【図−1】

 3手目の段階で『普通に3. ...Bc5かNf6にしようかな』とも思ったが、皇帝の不得意そうな"穏やかな試合"になるようにBe7と指してみた。
 すると皇帝は面食らった顔で「・・・、知らねぇ〜よ」と試合中にも関わらずつぶやく始末(笑)。

 それが聞こえたのか、皇帝の後ろで試合をしていたY氏も振り向いて苦笑い^^
 試合は穏やかに、そして、つぶやきが激しくぶつかり合う(?)試合運びとなった。

 ちなみに、この 3. ... Be7はHungarian Defenceと言いまして、メインラインは1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Be2 4.d4 d6 5.d5 Nb8 6.Bd3 Nf6 7.c4 o-o 8.h3 Nbd7 9.Nc3 Ne8 10.0-0となります。

   
4 0-0 Nf6
5 Re1 d6
6 Nc3 0-0
7 h3 a6
8 a4 Bd7
9 d4(図−2)
図−2
【図−2】

 4手目皇帝は少し長考(5分程度)した以外は大体1分以内に指していた気がする。
 まあ、お互い常識的な手を指してるからあたりまえか。

 それでも、黒の手に皇帝はしょっちゅう首をかしげては「えー?」とつぶやく。
 わたしは『はやくd4指せよ〜』と心の中で叫びつづけていた(通常は4手目)。

 その願いが通じて、9手目にようやくポーンがぶつかる。

   
9 ... exd4
10 Nxd4 Ne5
11 Bf1 c5
12 Nf3 Ng6
13 Bc4(図−3)
図−3
【図−3】

 皇帝は10. ... Ne5を考えていなかったらしく、ビショップを動かす位置にさんざん悩んだ挙句のBf1。
 悪くはないんだけどさぁ〜。
 思わず「(皇帝)らしくねぇ〜」ってつぶやいちゃった♪
 しかも「皇帝ならBb3だろ!」と突っ込むのも忘れずに^^
 皇帝の後で対局中のY氏は、またも振り向いて「くくく・・・」

 13手目には、一度"さようなら"したはずのビショップがお約束の"こんにちは"Bc4。

 指したあと、お互い笑いあう。
 わたし「またでてきたよ・・・」
 皇帝「しょうがないぢゃん」

   
13 ... Bc6
14 Nd5 Bxd5
15 Bxd5 Nxd5
16 exd5 Bf6
17 c4 Qd7
18 Rb1 Rfe8
19 b3 b5(図−4)
図−4
【図−4】

 このあたりは、お互いのつぶやきの応酬が続く。

14. Nd5:わたし「もうぶつけるのか。ドローまっしぐらだ」
皇帝「やっぱり、そうなるのか」
 14. ... Bxd5:皇帝「えー、ビショップでとるのぉ?」
わたし「あたりまえだろ」 16. exd5:わたし「ここはQ(xd5)だろっ!!」
皇帝「良いじゃんよぉ」
17. c4:わたし「(d5に)もうヒモつけるのかよ・・・」
18. Rb1:わたし「つぎ皇帝ならb4だね」
皇帝「そうなのか!?」
19. b3:わたし「らしくねぇ〜よぉ〜」
19. ... b5:皇帝「げげっ、どうしよう・・・」
わたし「皇帝が消極的だからだ!」

 とこんな感じで、ここまでは互角の展開です。

   
20 Bd2 b4
21 Qc2 Kf8
22 Kf1 Rxe1+
23 Rxe1 Re8
24 Re3 Rxe3
25 Bxe3(最終図)
最終図
【最終図】

 20. ... Qf5なら黒優勢だった。
 20.Bd2とか消極的な手を指すから釣られて、20. ... b4(考慮時間5秒)と指してしまった。

 先に21.Qc2とされ、f5にかけてのラインを押さえられ、黒から攻める手がほとんどなくなった。

 R交換して、皇帝からドローのオファー。
 少し考えたけど、その前にY氏もドローだし(後ろ振り向きすぎ・笑)、結局ドローにした。

 皇帝の持ち味を活かせない試合になったので、わたしとしては良しとしよう。

 しかし、ドローになった本当の理由は・・・、ゴールデンオープンに参加しているとくとがあまりにもすごい試合をするからだった。

 早く終わったわたしと皇帝が見に行くと、さっきまで劣勢だったとくとがいつのまにか勝勢になってるんだよ!
 皇帝と二人でささやきあった。「あいつ、ありえないっ!」

 その後、試合の終わった人たちで閉場になるまでブリッツや検討を行っていた。
 『ああ、明日帰るんだなぁ』としみじみ思う・・・。

 閉場後、いつものメンバー+ssymととくと、観戦に来たあつしとハンゲームの葵子さんの8人で白木屋で飲んだ。(エンペラー・ムーヴによりとくとがパシられてたが^^)
 もちろん主役はとくと!
 当日行われた3試合すべてをみんなで面白おかしく検討する。
 オープンファイルがいくつあっても足りない彼には脱帽するしかありません・・・。

 あと、いるかさんが皇帝に槍玉に挙げられていたなぁ〜(笑)。
 あれは初耳だったけど、みんなにオオウケしてましたね。

 2時間の飲み会があっというまに過ぎ、解散となった。