皇帝の正しくないチェス

2003 全国大会 13R


はじめに

 いよいよ迎えた最終ラウンド、お相手は福岡のH氏。
 あ、今まで勝ったことないや(汗)!

 実はここまでで5ポイントを獲得し、昨年の成績はすでに超えていました。
 仮にこれを最終ラウンドを勝って、6ポイントとなると、参加者の中でも中位近くの成績まで上昇するので、かなり気合が入っていましたが・・・。

棋譜解説

[Event "Zenkoku Taikai"]
[Site "PIO"]
[Date "2002.05.05"]
[Round "13"]
[White "Ko.H"]
[Black "anon_emperor"]
[Result "1-0"]

                
1 e4e5
2 Bc4(図−1)
図−1
【図−1】

 2手目を少し考えたH氏、2.Bc4でビショップ・オープニングです。
 ラトビアンを避けたか!?

   
2 ... Nf6
3 d3 Nc6
4 a3 Bc5
5 d6 h3
6 h3 0-0
7 Bg5(図−2)
図−2
【図−2】

 お互いに駒組みを進めます。

 4.a3や6.h3は、b4やg4にナイトやビショップが来るのを防ぐ手ですが、とても慎重なのが感じられます。
 必要以上にこういった手を指すのは手損になると思うのですが・・・。
 私も、いつその手損を咎めるのかと考えはしましたが、なかなかそのチャンスは巡ってきません。

   
7 ... Nd4
8 Qd2 Be6
9 Bxe6 Nxe6
10 Bh4? h6?(図−3)
図−3
【図−3】

 c4に居座る白のビショップは、g8にいる黒のキングを狙っていますから、これは目障りだと思い、7. ... Nd4から8. ... Be6で白マスのビショップを交換することとしました。

 10.Bh4?が疑問手なのですが、10. ... h6?がそれを咎めていないので、これまた疑問手。
 10. ... Nxe4が正解で、例えば11.Bxd8 Nxd2 12.Nxd2 Raxd8となって、黒のポーンアップでした。

 実は、10. ... h6?を指した瞬間にその手に気付き、それを悔やみながら対局を続けたことを覚えています。
 チャンスを逃したことに気付いても、すぐに切り替えることが大事ですね。

   
11 Nf3 Nd4
12 Nxd4 Bxd4
13 Nc3 c6
14 0-0 Bb6?(図−4)
図−4
【図−4】

 10. ... Nxe4と出来ずに、それを悔やんでいる割には反省が活かされていません。

 11. ... Nd4からナイトを交換し、再びh4のビショップを浮きゴマにし、13. ... c6と事前にポーンを逃げた後に(白からBxd8とされた後に、そのままBxc7とされるのを防ぐ)、14. ... Nxe4!?が成立していました。

 もうひとつ、局後の検討でシームに「14. ... Bxc3 15.bxc3 Nxe4で良いじゃないですか」とも指摘されました。

 いずれも、h4で浮いているビショップと、Nxe4とすることでクイーン取りになるという白の弱点を攻めるものです。

 ここらへんのチャンスをものに出来ずに、局面は一気に白が優勢になっていきました。

   
15 Kh1 Bc7?
16 f4(図−5)
図−5
【図−5】

 15. ... Nxe4なら、16.Nxe4 Qxe4 17.Nxd6 Bc7あたりで互角だったようです。

 しかし、16.f4でついに白の攻撃が始まりました。

   
16 ... exf4
17 Qxf4 d5
18 Bxf6 gxf6
19 Qxh6 Qd6
20 Kg1? Qh2
21 Kf2 Qg3+
22 Ke2 d4?(図−6)
図−6
【図−6】

 20.Kg1?が悪手。正着は、20.g3 f5 21.Qxd6 Bxd6以降、白優勢になります。

 その悪手を咎められたのが、22手目でした。
 22. ... d4?が悪手で、22. ... Bf5として、23. ... Bxc6以降、ルークを中央に持ってくれば、まだまだ戦えたようです。

   
23 Nd1 Qg6
24 Rxf6 Qxf2
25 Nf2 Qg7
26 Ng4 Qxh6
27 Nxh6+ Kg7
28 Raf1 Be5
29 Rxf7+(図−7)
図−7
【図−7】

 とにかくクイーンを交換して、不利なエンディングを耐え抜こうとも思ったのですが、甘い考えでした。

 fファイルにルークを重ねられ、2ポーンダウンのエンディングへと入っていきます。

   
29 ... Rxf7
30 Nxf7 Bf6
31 Nd6 Rh8
32 Rh1 Kh7
33 b3 Rg8
34 Kf3 Be5
35 Nf5(図−8)
図−8
【図−8】

 キングの位置も悪く、ジリ貧態勢です。

 ルークをgファイルから敵陣に突入できれば、とも思ったのですが冷静に対処されました。

   
35 ... Rg6
36 h4 Rg8
37 h5 Rg5
38 h6 Rg6
39 Rh4 Rg1
40 Rg4 Rxg4
41 Kxg4 Kg6(図−9)
図−9
【図−9】

 とうとうルークも交換され、白のキングもいよいよ臨戦態勢です。

   
42 a4 a5
43 Ne7+ Kf6
44 Nc8 Kg6
45 Nb6 Bc7
46 Nd7 Bd6
47 Nb6? Bc7(図−10)
図−10
【図−10】

 白はhポーンを黒のキングに取らせて、黒の陣地に進入するのが最もわかりやすい勝ち方です。
 白の指し手には一貫性が無いようですが、それでも白の優勢は動きません。

   
48 Nc4 Bd6
49 Nb2 Bd6
50 h7 Kxh7
51 Kf5(図−11)
図−11
【図−11】

 あとは棋譜だけです。

   
51 ... Kg7
52 Ke6 Bf8
53 Kd7 bxa4
54 Nxa4 c5
55 Kc6(最終図)
最終図
【最終図】

 クイーンサイドのポーンも白のキングに取られてしまいます。
 で、リザインです。

 今年も最終局を飾ることは出来ませんでした、残念です(涙)。