ライ症候群

どんな病気? 原因は? 症状は?  治療は? お家ではどうする?

どんな病気?

 1963年にReye(ライ)らによって、「諸臓器(特に肝臓)に脂肪沈着を伴う原因不明の急性脳症」として報告された。
 それまで健康に育ってきた子供(乳幼児に多い)が突然けいれんや意識障害などの広範囲な脳の機能不全が急激に出現し進行するが、髄液には以上は見られず、血液でも脳炎のような炎症所見を欠くものを「ライ症候群」という。

 予後は入院時の意識障害の程度や全身状態による。脂肪する例も少なくない。約3分の1が死亡し、生存者の40%が重度の神経系後遺症を残すと言う報告がある。

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原因は?

 原因は不明。
 しかしインフルエンザや水痘(水疱瘡)などのウイルス疾患や解熱鎮痛剤であるアスピリン(サリチル酸系)が病気の発症に関与しているとされている。

 アメリカでは1986年にサリチル酸系製剤(アスピリン製剤)の使用との因果関係に関する調査を開始。この調査により、ライ症候群の発症前にサリチル酸系製剤(アスピリン製剤)を服用したこととライ症候群発症との間に有意な差が認められ、その後アメリカで小児にサリチル酸系製剤(アスピリン製剤)を使用しない処置をとったところライ症候群は激減したという報告がある。

 この病気で特徴的なことは、
 肝臓に脂肪の沈着がある(肝生検で脂肪変性が有無が診断に役立つ)
 黄疸はないのに肝機能障害を起こし、血中アンモニア値が高くなる。(中にはアンモニア値が上昇しないタイプもある)
 脳炎の所見はない。

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症状は?

高熱・けいれん・意識障害・不規則な呼吸
 約50%に咳・鼻水などの風邪症状があり、熱が下がった時期に突然のけいれんや意識障害、頻回の嘔吐が出現。意識障害は急速に進行し1〜2日後には昏睡状態になる。
日本の症例では高熱・けいれん・意識障害が多いが、無熱でも意識障害が出現することもある。

 症状が進行すると脳の浮腫(むくみ)によって脳循環障害を起こし、さらにむくみが進行し、呼吸障害を伴い死亡率が高くなる。

 
呼吸を止めたり、呼吸数が多くなったり不規則な呼吸症状が目立つ症例もある。
 
 肝臓機能障害により、出血しやすく、血が止まりにくい状態になる。(出血傾向・凝固障害)

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治療は?

原因があきらかではないので、根本的な治療はない。今ある症状に対する対処療法が原則

 脳の浮腫(むくみ)にはマニトールという薬剤を点滴し、脳の水分を尿としてからだの外に出し、脳の腫れを押さえる。
 けいれんにはけいれん止め
 出血傾向にはビタミンKの投与や、FFP(新鮮凍結血漿)の輸血
 呼吸不全には呼吸機による呼吸管理
 血中のアンモニアを下げる治療(ステロイドの投与、抗生剤の使用)

時には交換輸血や血液透析を必要とすることがある。

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お家ではどうする?

「風邪は万病の元」すっかり回復するまで油断しないで観察をする。
 ふつう風邪なら2〜3日で回復の傾向が見られます。その時期に意識がふつうでない、けいれんをおこしたときは、集中治療室(ICU)のある病院を受診。
 
 意識障害の初期とは?

 言っている事はわかるが反応が鈍い、あるいは眠りがちになる(=嗜眠状態)になる。
 こんなときは受診しましょう。この時期だと治療に反応し、速やかに回復することがある。

 現在小児科で処方される解熱剤はアスピリンを含まないものになっていますが、その他にもインフルエンザ脳症の原因とされているものもありますので、むやみに解熱剤を使用するのは避けましょう。

 アスピリンを含む小児用バファリン(一般市販薬ではなく、多くは病院で抗血栓剤として使われていたもの)は平成13年4月から病院におかれなくなりました。一般の薬局で売っている小児用バファリンはアスピリンを含んでいないので心配はいりません。
(どちらも同じ「小児用バファリン」ですが、内容はまったく違うものです。)

発熱時のケアインフルエンザと解熱剤も参考にしてください。

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