CM型方向性結合器について
自作した送信機やHPA置の特性を測定するためには何らかの方法で出力の一部を取り出す必要がある。この際負荷状態を変えないで信号の一部を安定にピックアップする装置がCM型方向性結合器(CM Directional Couppler)やサンプラである。
この部分をおろそかにするとピックアップ系にf特がついてしまう場合がある。また測定器への引き込みも適正インピーダンスで行わないと線路長によるf特の影響を受ける事になる。
装置の近傍にリード線を沿わせ漏れを拾う測定手法は極めて不安定で好ましくない。またコモンモードノイズも拾い易い。
出力の一部を取り出すだけなら無誘導抵抗による抵抗分割方法もあり自作派には参考になる。ただしこの場合は方向性は無い。広帯域で取り扱う場合は周波数の上昇よって結合度が上がる(6dB/OCT)傾向があり、スペアナ等でそのまま表示すると6dB/OCT分大きくなりるので注意が必要。また測定器へのケーブル長により高域ロスが変わるのでこれも考慮する必要がある。
(1)色々な結合器
写真は手持ちのカプラーを並べてみたもの。
@中央下はアルミダイキャストボックスに組んだ自作サンプラ(方向性は無し)で抵抗による分圧を行っている。高域になると抵抗の静電容量が効いてくるのでどうしても表示が多めになる。
A中央上は日本電業工作のUHF方向性結合器。UHFと標記しているがピックアップレベルを気にしなければVHFからも問題なく使える。ピックアップ出力がロッドになっていて、ロッドの差込具合で結合度の可変が出来ATT代わりになり大変便利である。ピックアップはC結合。
B左は製造会社は不明だが前項と同じ様にロッドの差込具合で結合度が可変できる。ただしこちらはM結合でロッドの先端にコイルが配置されている。
C右はアンリツのMP520D。標準的な方向性結合器で我々が使うSWRセンサーに酷似している。測定側には終端抵抗を取り付けるが、その位置により進行波・反射波を選択できる。また減衰特性が記入されており一番信頼がある。周波数範囲は100〜1700MHz(6dB/OCT)となっている。
(2)ピックアップ部分のクローズアップ
前述のロッド抜き差し型のカプラー2種のピックアップ部分を比較する。左は日本電業工作の物でC(静電)結合され50Ωの無誘導抵抗で終端されている。右は製造メーカー不明のM(電磁)結合の物で先端にコイルが3ターン巻かれ50Ωの無誘導抵抗で終端されている。