SSPA用電力分配器・電力合成器の製作例(May 5, 2009)

HF半導体パワーアンプ(SSPA)で使う電力分配器と電力合成器の製作例を写真と図で示す。

電力分配器は電力が少ない(25W程度を想定)と言う理解で負荷同士のアイソレーションは考慮せず、50Ω信号源を25Ωにトランス変換し50Ω負荷(アンプ入力)を並列(25Ω)に駆動する。トランスの誘導性リアクタンスの影響で分配がリニアに行われないのでCoで補償する。トランスは43材の大型メガネコアを使用しテフロン線を1t:1t:1tのトリファイラで巻き、巻数比で3:2の位置がZ比で概ね50Ω:25Ω=2:1となる。

電力合成器は500W超の電力通過を想定したものである。FT-114-43材に3tのバイファイラ巻で合成トランスを構成する。アイソレーション抵抗は100Ω/5W級以上を使用する。合成信号の位相や電力が異なるとアイソレーション抵抗で電力吸収される。Z比は合成器で50Ω:25Ωになるので、変換トランスで25Ωを50Ωに戻す。変換トランスはFT-114-61材コア2スタックに4t:4t:4tのトリファイラで巻き、巻数比で2:3=25Ω:50Ωに変換する。線材はテフロン線か耐熱電線を使用する。この場合もトランスの誘導性リアクタンスの影響で合成がリニアに行われないのでCoにより補償する。この規模の合成・変換トランスで容易に500W超の電力を取り扱う事が出来る。
左はMRF429プッシュプルのPAの2合成で合成出力は500W〜1KW超に及ぶ。ただしこれは連続ではなくCW-Keyingでのデータなのでご注意を。

写真のアイソレーション抵抗には、入力ケーブルの接触不良が原因で発生した焦げ跡が確認できる。補償コンデンサCoの効果はてきめんである。測定機レベルで整合が取れているように見えても、高電力を通過させると様子が変わって来るので注意したい。Coが無いと合成電力が早期に飽和したりする。トリマーコンデンサ等を併用して微調整できるようにすると良い。 本ページは内外からの問い合わせに応え、SSPA実験ページから抜粋した。コア類は秋葉原東京ラジオデパート3Fの斉藤電気商会が入手し易い。