TL-922のグリッドRFCの不思議


TL-922を使われている方の多くが経験しているトラブルです。運用中に、グリッドを接地しているRFC(L7又はL8/450μH)が、片管側のみ焼損し断線する現象で、場合によってはパーンと音も伴います。写真左はNGになったRFCで、内部が黒焦げになっている様子が分かりますが、これが1Aの規格とはとても思えません。このRFCは2分割巻きですが、発熱によりコイルを固定している接着材が溶け、磁界の影響でもう一方のコイルに引き寄せられたため、あたかもシングル巻きの様に見えます。写真右もNGになったRFCで、これは引き寄せられる時に巻き線が断線し焼損に至らなかったものです。殆どの方は代替RFCを買い求め交換して対策した事にしていると思います。しかしそれでは再び同じトラブルが発生するのを待っている様なものです。元々RFCとその他(220PFx3と4.7KΩ/単管当たり)の並列ネットワークの目的は、GGアンプにNFBをかけIMDの改善を目指したものですが、動作が不安定で故障を誘発するのでは本末転倒です。2管が同じ状態で動作していない理由を考える必要があります。Test&Dataリストの3-500Zフィラメント直列接続の注意 を参考にして下さい。
なお、RFCを使わないでグリッドを直に接地したとしてもIMDデータはエキサイタのそれを上回る場合が殆どです。したがって、RFCによる不安定要素を抱えながらIMD改善する事の意味が薄れてきます。よってグリッドはまとめて最短で接地することをお勧めします。
この写真は正常な状態のRFCです。この大きさでは100mA以上の電流を流す気にはちょっとなれませんが・・・皆様如何でしょうか?。
不思議の整理
@片管に集中するIg・・・フィラメントのドライブポイントがGNDやグリッドに対しバランスし、Igのレベルと位相は2管で合っているか
ARFCが変形・焼損し断線する・・・RFCの電流容量(規格)に余裕はあるか
BNFBネットワークの定数管理・・・WARCを含む全バンドの特性が不明(確かにNFBはかかるが・・・)、位相は管理されているのだろうか