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北ア/白馬岳〜雪倉岳周遊スキー
(99年4月29日〜5月1日)


コースタイム:

4/29 猿倉6:48−−−−8:07白馬尻8:18−−−14:39村営小屋

4/30 村営小屋6:45−−7:30白馬岳7:45〜〜〜9:35鉢の鞍部9:45−−10:45雪倉避難小屋11:00

     −12:14雪倉岳12:40〜〜〜15:10瀬戸川15:40−−16:30兵馬の平

5/1  兵馬の平6:05−−7:15蓮華温泉7:25−−10:45天狗原11:15−−13:30白馬乗鞍手前13:40

     〜〜14:40栂池スキー場


1日目:猿倉〜大雪渓〜村営小屋
 猿倉への林道は二股で通行止め。仕方なく歩き出すが、間もなく後ろからやってきた車に便乗させてもらって楽をして猿倉に入れた。寒波が入ったため周囲は小雪で、上部は見えないが、とにかく大雪渓を上り詰める。
杓子岳北稜をバックに大雪渓を登る

大雪渓をしばらく登るとしだいに天気は回復してきてはるか上まで見渡せる。しかしなかなか稜線には到着しない。
 この日は柳又谷源頭を滑る計画だったが、このあと風が強くガスが出て地吹雪状態となったため、村営小屋の脇にテントを張った。夜は非常に寒かった。
2日目:白馬岳〜柳又谷源頭滑降〜鉢の鞍部〜雪倉岳〜北面滑降〜瀬戸川〜兵馬の平
 この日は標高差350mの柳又谷の滑降、さらに1400mの雪倉北面の滑降が待っている。天気も回復して素晴らしい一日になりそうだ。
柳又谷源頭を滑る

昨日の軽い新雪が積もってすばらしい雪質。さらに素晴らしい展望。
柳又谷源頭を振り返る

日本離れした景色に満足する。
 このあと長池付近から鉢の鞍部に登り、鉢ヶ岳東面をトラバースする。シールをつけて行動したが、緩い斜滑降で下った方が効率的だったと思う。雪倉避難小屋から雪倉岳へ登ると、待望の1400mの大滑降だ。
雪倉岳(2611m)から朝日岳をバックに

ここからは日本海も近い。日本海までスキーで縦走できたらなぁ。
雪倉岳北面を滑る

出だしはアイスバーンだったが、やがて新雪斜面となって大滑降を満喫する。こんな広い斜面が続き、自在にシュプールを刻む。傾斜は次第に落ち、沢の雪が割れ出すので、ひょうたん池に入って瀬戸川の鉄橋に至ると2時間にわたる大滑降は終了する。
 鉄橋を渡ってからはアイゼンをつけての急登で兵馬の平に出る。ここからの景色は出色で、テントを張って満喫した。

3日目:兵馬の平〜蓮華温泉〜天狗原〜栂池スキー場
 兵馬の平から蓮華温泉を経由して天狗原に至る。天狗原にはへリスキーで運ばれてきた人がいっぱいいて、興ざめだった。スキー場までのコースはシュプールいっぱいでまるでゲレンデ。あとはゴンドラを利用して下山する。天候と雪質に恵まれた素晴らしい3日間だった。

 白馬周辺は日本有数のスキーエリアだ。しかし僕はまだ行ったことがない。ということで今年のコールデンウィークは白馬周遊スキーとなった。はじめての山域ということで、大雪渓を登り、柳又谷源頭を滑って雪倉に登り、蓮華温泉に下ってから天狗原に登り返し、栂池に滑り込むという一般的なコースをとった。なお、これはいちおう合宿ということにたが、メンバーは二人なのであまり合宿らしくない。

4/29 大雪渓から村営小屋へ
 この時期は猿倉まで車で入れないので、曇天の下二股から出発する。猿倉まで1時間はかかる林道歩きだ。ところが、歩き始めてすぐ、後ろから来た車に乗せて貰ってあっと言うまに猿倉まで着いてしまった。村の職員の方だそうだが、職員だからゲートを通れるというのは不条理な気もする。しかし乗せて貰ったのだから、まあいいか。彼らは何と今日一日で蓮華温泉まで行くらしい。
 猿倉でははやくも積雪1mはある。寒気が入ってきているため、小雪がちらついている。車のパーティは軽装でさっさと出発していった。我々はテント泊の重い荷物である。大雪渓に向けていざ出発。
 約1時間で白馬尻に到着。この時期小屋は撤収されていて雪原が広がるのみ。白馬主稜へ向かうトレースが右手に延びている。しかし大雪渓はどこまで登っても同じ景色である。登っても登っても大雪原。これはかなりうんざりする。見えていてもなかなか着かない。上には先ほどの車のパーティ。下を見ると、遥か下の方に2人歩いているだけでがら空きである。GWの白馬大雪渓といっても、猿倉まで車が入れない時期はこんなものらしい。
 天気は次第に回復してきて、青空が広がってきた。左手には杓子岳の岩壁が大きくなってきて、まさにアルプスの雰囲気満点である。しかし、斜面はだんだん急になってきて、我々は息絶え絶え。上のパーティもそのようである。彼らは軽装なのに、重荷の我々とほとんど同じペースである。あれでは今日中に蓮華温泉には着かないだろう。
 途中でアイゼンにかえて、村営頂上小屋にたど着いたのだが、さっきまで晴れていたのに突然ガスって来て強風の中に入ってしまった。寒い。計画では柳又谷源頭を滑る予定だったが、ここまでとする。小屋の間にテントを張った。水は、小屋の屋根のひさしツララを使って作った。夜はこの時期としてはかなり寒かった。

4/30 柳又谷源頭と雪倉岳北面を滑る
 翌朝、起きてみると素晴らしい好天である。さっそく白馬山頂をピストンする。いやー素晴らしい眺めである。昨日5cmくらい積もったようで、一面の銀世界である。新雪滑降が楽しみだ。下を見ると白馬主稜がうねうねと続いていた。
 さていよいよ待望の柳又谷源頭の滑降である。が、山頂から見ていると、一人のスキーヤーがもう滑っているではないか!しまった先を越された!急いで村営小屋の上まで引き返して滑降の準備に入る。しかし、出だしはカリカリのアイスバーンである。板を付けるだけで一苦労だ。氷の上をトラバース気味に滑ってから、ちょっとした急斜面を横滑りでガリガリ下ると、柳又谷である。こんなガリガリはもう沢山と思ったが、そこは予想外に、昨日の新雪が積もった素晴らしい斜面であった。我々は歓声を上げて縦横無尽に滑りを楽しんだ。滑りの下手な清香も、この雪質と傾斜は楽しめたようだ。振り返れば旭岳が鋭く天を衝いていて、ここが日本だとは信じられない。我々のシュプールもくっきり。こんな素晴らしい斜面はじめて!!
 滑りを楽しんだ後は、長池付近から鉢の鞍部に登り返し、鉢ヶ岳東面をトラバースし、雪倉避難小屋に向かう。この小屋で、子供用のソリを背負った女性に出会った。山ではもちろんだが、行き帰りの電車ではかなり注目されたことだろう。ASCの中にも伊吹山でソリで滑った「あやしげな探検隊」がいるが、今度は是非アルプスで滑ってほしい。
 足を引きずってたどり着いた雪倉の山頂から振り返ると、白馬の山頂はすでに遠くなっていた。あんな遠くから滑ってきたんだなー。でもここからが今日のメインの実に標高差1300mの滑降である。日本で、標高差1300mもあるスキー場はない。奥美濃では野伏でも林道滑降を入れて950mくらいだ。その標高差を重荷を背負って滑るのはどんなものだろうか。
 出だしはしばらくアイスバーンである。比較的緩い稜線の脇をガリガリと音を立てて滑っていくと、急な新雪斜面に入る。こんな素晴らしい斜面はじめて!!とまたまた感激してターンを切る。途中で左に回り込むつもりだったが、一層の急斜面でしかもクラストしていそうだったのでそのまま滑る。一箇所右が切れた狭い斜面があって注意がいったが、それ以外は実に快適。下るほどに雪質は新雪からザラメに変わっていく。調子に乗ってゲレンデのように猛スピードで滑っていたら、突然大爆発して雪だるまになってしまった。膝がいたくてしばらく唸っていたが、なんとか捻挫はしなかった。こんなところで捻挫したらたいへんだ。
 重荷だと滑るのにも息が切れるので休憩。地形図上の2002m地点でフルーチェを作って食べる。雪を混ぜて食べるとおいしいのだ。そこからは少しだけ板を持って左に移動してから再び滑る。もう600m滑ったのに、まだ600m以上滑れるとはさすがアルプス。下部はすっかりザラメになって、傾斜も落ちてくる。朝日岳からのスキールートを左から会わせると、ようやく白高地沢も水が出てくるようになった。そのあたりでひょうたん池側に乗り上げて、瀬戸側の鉄橋を目指す。ここは地形図を読まないと間違えやすい所だ。
 今日の行程は長い。さらに蓮華温泉まで登り返しがある。我々は蓮華温泉の手前の兵馬の平で幕営した。ここは水が得られて眺めのいい場所である。暖かかったので夕食は雪のテーブルを作って食べた。積雪期ならではの風流な夕食だ。

5/1 天狗平から栂池スキー場へ
 最終日は金山沢を滑って猿倉に戻る、はずだったが、体力切れで栂池スキー場に下った。白馬周辺は本当にスキーヤーを満足させてくれるエリアだと実感した。下山してもあの素晴らしい斜面の記憶が強い印象として残っている。
 今回、我々はプラスチックのテレマークブーツを使用した。去年までの皮ブーツではザラメ雪になるとすぐに浸水してきて大変不快だったが、プラスチックは実に快適だった。