解体工事前
内装設計、現場監理をしたIKMOが書く現場日誌

MONOBITの前は、パソコンショップ、その前は戦前から続いた共栄ストア(市場みたいな)だったらしい。約40坪と広いが、木造2階建ての1階で、L字型平面の店内には16本もの柱(増築を重ねているためか、間隔は不均一)があった。入口付近の天井高は約2mとかなり低く、圧迫感のある店内だった。 設計期間は実質約1週間。 既存の16本の柱は、木造の柱のまわりをふかしてボードを貼っていて、250〜350角くらい。ただでさえ太いのに、間隔はかなり狭い。 内装デザインの最重視ポイントは「16本の柱のうっとうしさをどうやって消すか」「天井の低さからくる圧迫感をどうやわらげるか」だった。 オーナーの久保田さんから「あまり大がかり工事はしない」を言われていたので、壁を塗り直したり補修したりする程度に考えていた。また、ボードを剥がして壁のふかしをとると、柱のまわりの天井に、ぽっかり穴が空いてしまう。穴をふさぐとコストアップとなりきびしい。結局、柱はそのままで、柱を縫うようにしてカーテンを巡らして、柱の多さをごまかすことにした。 図面ができあがって工事業者に見積をとっていた頃、ある晩ふと思いついた。 柱のまわりのボードだけ剥がして、軽鉄スタッド(この頃は、木の間柱だと思っていた)は 残したらいいんじゃないか?その周りにワーロン紙を貼れば、天井の穴は外から見えないし、 中に照明を入れれば柱が光っておもしろいかも! 早速次の朝一でオーナーの久保田さんに電話。でも、柱のボードの内側は、実際どうなっているかはわからないので、久保田さんを期待だけさせて、できなかったじゃ申し訳ないから、 久保田さんにはそのアイディアは秘密にしてとりあえず柱の内側を調査してみることにした。ボードを剥がしてからやめますという訳にはいかないので、コンセントの隙間から懐中電灯で中を覗いた。IKMOの2人が朝急にやってきて、床に這いつくばって懐中電灯で何か除いている...久保田さんにはとても奇妙に写ったことだろう。
16本の柱のうち、数本覗いてみて、内部はおそらく木柱が中心にあって、その周りに軽鉄スタッドを4本立てて壁をふかしているということがわかった。
ほっとしたところで久保田さんに設計変更の了承をとった。
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