《楽しみは 目にする記事を どう読むか》

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 新聞記事に,目がとまりました。
 「仕事より余暇」67%で最高,の見出しで,余暇の過ごし方の調査報告が紹介されていました。「あなたは仕事(勉強や家事を含む)と余暇のどちらに重きをおいているか」との質問に対して,「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」が37.8%,「仕事は要領よく片付けて,できるだけ余暇を楽しむ」が30.0%ということです。仕事と余暇に同じくらい力を入れる人は20.7%,仕事を重視,仕事を生きがいにする人は計11.5%でした。
 日本生産性本部の研究員は「余暇が充実すれば仕事もはかどり,生産性は高まる。好意的に受け止めている」と説明していると,記事は結ばれていました。

 仕事と余暇という形で対比されると,押しつけられしなければならない仕事,思いのままに楽しむことができる余暇となります。どちらかを選ぶとなれば,余暇に重みが感じられることは,想像されます。どちらかを選ばせるという調査の意図が見えてきません。調査した側の結果の受け止めでも,余暇が充実すれば仕事もはかどると,余暇と仕事を対比ではなく相補的に認識しています。
 もう一つ深読みすると,仕事を手段とし余暇を目的としているのか,余暇を手段として仕事を目的にしているか,その選択であるのかもしれません。ただ,いずれにしても,余暇だけ,仕事だけという状況はあり得ないはずです。

 仕事一筋という生き方がありましたが,今の時代にはそぐわないのでしょう。仕事はその営みを通じて人とのつながりを確保することができます。仕事の先にいる人の笑顔が何よりのはげみになります。人が生きていくことに手伝うことができるという仕事のやりがいがあります。それは,誰かと共に生きていくという喜びです。今の時代,共生というキーワードが見出しに掲げられるようになった背景は,共生イメージの衰退を示していることから,仕事のやりがいが感じられなくなっているはずです。余暇はみんなではなく私一人の生きがいに結びついていきます。
 統計という世情の指数は,読み解く指標をきちんと認識しておかないと,理解を誤らないまでも,その利用に際して,方向にズレを引き込んでしまいます。仕事より余暇を大事にする人が7割もいるという情報,その出会いが私にどのような影響をもたらすことになるのでしょうか?

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(2025年07月27日:No.1322)