*****《ある町の退任人権擁護委員のメモ》*****

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【生きる羅針盤の提案(67):自己肯定5】


 人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。

 「私が生きる羅針盤」を考える第67版です。「こんな自分はダメだ」「本当の自分を知られたら嫌われる」自分の存在そのものに恥や欠落感を感じ,無意識のうちに「私は劣っている」「どこかおかしい」と信じてしまう状態に苦しむ人は少なくありませんが,この欠陥感から抜け出すための5つのステップを紹介している記事がありましたので,生きる羅針盤に参照してみました。
  ※参照先の「私には価値がないと感じてしまう人へ、自己肯定感を育むためのステップ」は こちらです。

生きる羅針盤の提案(自己肯定5)です
【「私には価値がない」と感じてしまう人】
《説明》「こんな自分はダメだ」「本当の自分を知られたら嫌われる」。これは,欠陥/恥スキーマと呼ばれる心のクセによるものかもしれません。自分の存在そのものに恥や欠落感を感じ,無意識のうちに「私は劣っている」「どこかおかしい」と信じてしまう状態です。

※私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,もう一人の自分は自分に寄り添い自分を大切に思うことです。周りの人からマイナスの評価をされることをむやみに恐れてばかりいると,自分が情けない存在に思えてくるだけです。自分は自分であるということは,周りの人からの思われようとは無関係です。自分らしさという自尊がなければ,選択し決断するという自立が成り立たなくなります。私は私でありたい,それでいいと思うことです。《WHO》

【ステップ5:誰かに否定されても、自分の価値を守れる土台を育てる】
《説明》変化の指標のひとつは,「他人の否定的な言葉に過剰に傷つかなくなること」です。たとえば,誰かに「あなたは無能だ」と言われたとしても,「そうかもしれない…」ではなく,「それはあなたの見方。でも私は私のことを知っている」と思えるようになること。これは,自分との関係性が深まり,自己肯定感の"土台"が育った証拠となります。「自分はダメだ」と思い込んでいた人が,「こんな自分でもいい」と思えるようになること。それは、ほんの小さな気づきと優しさの積み重ねで起こります。完璧じゃなくても,人に好かれなくても,"欠けたまま"のあなたには,ちゃんと価値があります。あなたがあなたに優しくなることが回復の第一歩です。

※私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,人はそれぞれに名前が違うように違っていて,そのままにお互いを尊重する関係を維持することです。さらには,お互いに違っているからこそ,それぞれに自分のことに気付くことができます。人の感覚は違うことに反応するからです。自分が他者のことを完全には分かっていないということを自覚すれば,それは他者には自分が分かっていないと理解できます。分からない同士であるから,気配りをする関係が必要になります。《WHERE》

【ステップ3:セルフコンパッションを実践する】
《説明》欠陥感に苦しむ人にとって,効果的なのがセルフコンパッション(自分への思いやり)の実践です。セルフコンパッションとは,自分がつらいときに「そんな自分でも大丈夫だよ」とあたたかく声をかける姿勢のこと。以下のようなステップで行えます。
 今,自分が苦しいと感じていることを認める。「これは人間なら誰でも経験する感情だ」と思い出す。「よくがんばってるね」「つらかったね」と自分に優しく語りかける。このプロセスを繰り返すことで,内なる「否定の声」が少しずつ「理解の声」へと変わっていきます。

※私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,もう一人の自分が自分の気持ちを素直に言葉で表現し,自分に理解していることを言葉で語りかけるようにします。言葉で整理していくと,落ち着くことができるはずです。言葉があると,状況を変えていく言葉も見つかります。誰かに相談していると気持ちが楽になるのは,相談が言語化によるものであり,自己整理ができるからです。言葉は人の間を結びますが,自分との対話も可能です。《WHEN》

【ステップ1:まず「気づく」ことから始める】
《説明》第一歩は,自分の中に「私はダメだ」「価値がない」といったスキーマがあると気づくことです。スキーマとは信念や価値観のことです。何かうまくいかなかったとき,「私はダメだ」とすぐに感じる。人からちょっと注意されただけで,「使えないやつだと思われた」と思い込んでしまう。このような反応が繰り返されるとき,自分の中に深く根づいた"自己否定のクセ"があるかもしれません。これは性格ではなく,過去の経験から形成された「思い込み」であることが多いのです。

※私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,世間という価値空間における自分の正当な位置づけをすることです。人は誰しも自分の経験だけに依拠した物事の判断のクセがあります。社会におけるあるべき姿を高く厳格に掲げてしまうと,何をしてもどんな状況でも自分の存在を否定的に評価するクセが付きます。周りの人との社会的な関わりを通して,お互いの価値観を見届けたり,行動を評価してみることで,自分の偏りやズレに気付くことができるでしょう。《WHAT》

【ステップ4:「嫌いな自分」との関係を変える】
《説明》欠陥感を抱えていると,自分の"過去"や"弱い部分"を嫌いになってしまいがちです。でも,本当の変化は,その「嫌いな自分」に少しずつあたたかいまなざしを向けることから始まります。たとえば,子どもの頃の写真を見て,当時の自分に「よくがんばってたね」と声をかけてみる。失敗ばかりしていた過去を「それでも生きてきた自分」として振り返る。"許せなかった過去の自分"に対して,ほんの少しの優しさを注ぐだけで,心の風景は大きく変わっていきます。

※私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,人は今日の前向きな気持によって,明日に向けて成長していることを信じることです。過去の自分を振り返ると,今日の自分が成長していることが分かるはずです。今日の自分より成長している明日の自分を楽しみにすると,今の自分を信じることができるはずです。弱いから嫌いになるのではなく,弱いから楽しみになって好きになる,それが希望を抱くことの力です。《WHY》

【ステップ2:「そのままの自分はダメ」という思い込みに挑戦する 】
《説明》欠陥感の背景には,「ありのままの自分は受け入れられない」「ちゃんとできる私でなければ価値がない」という考えがあります。この思い込みを見直すには,まずは日常の中で自分の内なる声に耳を傾けましょう。たとえば,失敗したときに心の中でどんな言葉が浮かんでくるかを観察してみてください。そして,自分に問いかけてみてください。それは本当に事実? 誰がそう言ったの? 過去の誰かの声では? 自動的な自己否定を"立ち止まって見つめる"だけでも,反応のパターンは少しずつ変わっていきます。

※私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,自らが適切に対処できない状況に直面することはチャンスであると認識することです。人は経験によって知恵や能力を獲得します。失敗して反省し,どうすればいいのか学習し再度挑戦する,それが明日に向かって生きることです。失敗したのは自分至らなさであるが,その自分は常に成長しているから,次は大丈夫と自分を励ませばいいのです。周りの人をまねる,学ぶことが具体的な次の行為です。そこから挑戦が始まります。《HOW》

○以上,私たちが自己肯定感を築いていく上で配慮したいポイントは,もう一人の自分が自分の生きる力を偏らないように気をつけて発揮することです。生きづらくなったとき,それは自分の生き方が正道から逸れているという警報です。落ち着いて自らを振り返ると、出直すことができます。迷ったときは少し休んで、ゆっくりと歩み直してみることです。
 自己肯定感を築くためのポイント5つを「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。

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 社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
 人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。

(2026年05月17日)